―― CM開始後に、au回線を使ったAプランを発表しています。これは、間に合わなかったのでしょうか。
有泉氏 リリースのタイミングが間に合わなかったという、悲しい事情があります。タイミングとして、どうしても9月中にCMの話とコーポレートロゴの打ち出しをしたかったので、大変申し訳ないのですが2段階になってしまいました。
―― このAプランのメリットをあらためてご説明ください。
有泉氏 今までのドコモのMVNOに加え、auのMVNOを出す狙いには、SIM替えを広げたいということがあります。お客さまにとってはドコモもあればauもあるというように、選択肢を広げています。ただし、料金面で差別化することはせず、同じタリフ(料金体系)で、好きな方を選んでいただけるようにしています。
―― ドコモとKDDIでは接続料に差があると思いますが、この差は御社がかぶっているということですか。
有泉氏 はい。サービス料金は統一で使っていただけるようにするという方針です。
―― これまでのDプランと、新たに始めたAプラン、どちらを推していくご予定でしょうか。やはりグループとして、Aプランに力を入れていくことになるのでしょうか。
有泉氏 正直、どちらを選んでいただいてもうれしいというのが、基本的なスタンスです。
―― ユーザーの選択に委ねるということですね。一方で、Aプランをauユーザーが選ぶと、KDDIグループ全体としてはARPUが下がってしまうことになります。
有泉氏 確かにMVNO事業全体のパイが増えていくことで、収益状況は下がっていきます。ただ、もう1つ考えなければいけないのは、グループの中で、お客さまの数を維持、拡大するという考え方があることです。au本体とJ:COM、UQとBIGLOBEで、お客さまがチョイスできるメニューを持ち、幅広く趣味嗜好に応えられるようにして、IDを拡大していくという方針もあります。
(BIGLOBEは)SIM替えという嗜好に応えるメニューと、低料金ながら、通信制限などのペインを同時に解決するものをセットにしたエンタメSIMという2つで、グループの中でも、他にはない色を付けています。これも、全てのレイヤーで、お客さまを増やしていく取り組みの1つですね。
―― そのエンタメSIMの反響はいかがでしょうか。
有泉氏 通信制限がペインになっているというのは、いろいろな調査結果で出ていることで、BIGLOBEとしては、エンタメフリー・オプションという形で2016年11月にリリースしていました。その後、いろいろなメディアで紹介されたこともあり、認知が広がって、お客さまの数が日に日に伸びているという状況がありました。
全体のマーケットの中での比率は申し上げられませんが、今回のCMがあったことで、それに重畳する形で上がってきています。オプションという形で提供しており、認知も広がっていましたが、その想定よりもかなり速い立ち上がりです。「エンタメSIMって何?」と思ってサイトに来ていただき、メリットがあることを知っていただけるお客さまが増えています。
―― 同じカウントフリーでも、他社だと特定のサービスの通信料が無料になることをアピールしていますが、BIGLOBEの場合はあくまで通信制限がかからないというスタンスで、方向性が異なります。これはなぜでしょうか。
有泉氏 ペインとなっているポイントをどう突くかの話です。動画の視聴はYouTubeやAbemaTVなどを皆さん、よく見られていますが、1時間でかなりの容量を消費してしまい、その恐怖感が大きい。それに対する回答としては「気にしなくてもいい」ということです。
もちろん、全ての動画はカバーできていませんが、YouTubeという代表的なメディアを取り扱っている。YouTube、AbemaTV、U-NEXTであればカバーするというのが、ウォンツに対する1つの回答で、これは第1弾としてやっています。
―― エンタメSIMは、オプションに別途入るよりも安くなり、ちょうど1980円という価格になりますが、これはサブブランドの価格設定を意識したのでしょうか。
有泉氏 意識したところもあります。ただ、そこで動画が見放題になるというところは、われわれの付加価値ですね。
―― LINEモバイルなどと比べたときのメリットは、動画も含め、対応サービスが広いことでしょうか。
有泉氏 そうです。逆に、われわれにはSNSのフリーがありませんが、まずはペインになっている動画や音楽も含めたゼロカウントをやっていくという方針です。動画、音楽などを中心に、日本人の好むメディアを一大フィーチャーしました。
―― 動画については、解像度を落としているといいますが、720pで再生するのは難しいのでしょうか。
有泉氏 そうですね。360p、480pぐらいで持続させるようにしています。画面が大きくなってくると厳しくなるのはご指摘の通りで、あくまでもスマホ用に最適化しています。
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