―― ロイヤリティーを取るというお話でしたが、これは企画料のようなものでしょうか。
大平氏 アイデア部分の権利を利用していただき、それをレベニューシェアしているという考え方が近いですね。これが世界に広がれば確かに収入源になりますが、必ずしもそれを狙ったわけではありません。こういうものを開発して、いい関係を築きたいということがまずあり、収入は副次的な目的です。
―― グローバルで規模が出せて、収入が入りやすくなるという意味では、社内の企画を通しやすくなるメリットもありそうです。
大平氏 そういうこともありますね。本格的にそういったことができるのであれば、完全にグローバル販売を狙った企画にするのかもしれませんが、今回はこの企画をスムーズに進めるためのビジネス条件としてやっています。
―― 通常のスマートフォンとは形が大きく異なりますが、開発はスムーズにいきましたか。
大平氏 そこはZTEさんにご協力いただけました。ヒンジを使って大画面にするというハードウェア面は、比較的スムーズに進みました。ただ、初めてのUIになるので、そこは弊社の開発部隊とZTEさんが密にコミュニケーションを取りながら、こういう操作性になっていないと使いづらいというようなやりとりをして、時間をかけています。
―― どういう方に使っていただきたいのか、ターゲットを教えてください。
大平氏 あいまいに聞こえるかもしれませんが、そこは分からないところです。この商品を発表した後、いろいろな人に見せましたが、反応する人が1つのタイプに絞られませんでした。テッキーな男性だけかと思ったら、若い女性もこれがいいという。目的で言えば、エンターテインメントで2画面を使ってみたいという方もいれば、学習目的で使ってみたいという方もいます。訴求しにくいところではありますが、そこがこれの面白さでもあり、お客さまには使い方を見つけていただければと考えています。
―― 先ほどMEDIAS Wをもう1回やろうとしたわけではないとおっしゃっていましたが、経験が生きたところはありますか。
大平氏 その経験は生かしたというより、ほぼ前提にして進めています。MEDIAS Wをやろうとしたわけではないと言いましたが、いざ振り返ってみると、MEDIAS Wもよくできた端末で、それは生かされています。
―― それは、特許を活用したという意味も含まれているのでしょうか。
大平氏 具体的な特許ではなく、こういう操作性で動くというようなノウハウを活用しました。もちろんですが、特許についても侵害がないかどうかはチェックして進めています。
―― サムスンも折りたたみスマートフォンの開発を進めているというウワサがあり、今後、こうした形はスタンダードの1つになるかもしれません。そういったところも見据えていたのでしょうか。
大平氏 これはあくまで想像ですが、これからネットワークも5Gになり、大画面がより生きてきます。使い方もさらに多様になるので、マルチウィンドウやマルチタスクも必要になります。今回のMは、その第一歩になると考えています。
―― ちなみに、残念ながらおサイフケータイが入っていません。これはなぜでしょうか。
大平氏 機構的な問題で、入れたかったのは山々ですが、今回はできませんでした。ただ、やれない技術ではなかったので、本当はやれるとよかったのですが……。
―― グローバル展開とは特に関係がないということですね。
大平氏 そうです。グローバル展開する端末として考えてはいましたが、NFCやおサイフケータイの部分はローカライズしようとしていました。
―― MEDIAS Wのときは、2画面が普通でなかったこともあり、アップデートに苦労していた印象もあります。今回はAndroid標準の機能を使っているというお話なので、アップデートもスムーズに行きそうでしょうか。
大平氏 基本的に(2画面の機能は)Androidの標準に沿っています。Android Nからマルチウィンドウの機能があるので、それに沿った作りにしました。2画面なので、(アップデートは)少し苦労するかもしれませんが、できると考えています。
―― アプリの中には、マルチウィンドウに対応していないものもあります。こういったものを使うと、どうなるのでしょうか。
大平氏 対応していないものも含めてマルチウィンドウ化できる設定がAndroidの中にあり、最初にパーミッションを取ることで、それをできるようにしています。
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