サブブランドのあおりを受け、契約者の伸びにブレーキがかかったMVNOだが、そのMVNOがネットワークを借りるドコモの純増数も減少傾向にある。第3四半期の純増数は31万7000と、前年同期の64万5000から半分以下になった。一方で、スマートフォンやタブレットの契約者は増え、前年同期比で7%増の3747万に達した。ドコモ自身の解約率は0.63%で、スマートフォンやフィーチャーフォンに絞ると0.49%で依然として低く、ユーザーをしっかり囲い込めていることが分かる。
解約率が低いのは、総務省のガイドラインで過度なキャッシュバックが禁止され、MNPの利用が減っていることに加え、既存ユーザーへの還元を手厚くしていることが大きな要因といえる。またドコモ光の増加によって、ARPUも上昇した。ドコモ光の契約者数は第3四半期で448万を突破。前年同期比で150%増と大きく伸びており、「ここにきて、フレッツからの転用ではなく、新規の割合も増えてきた」(吉澤氏)という。
ただし、「全体としては、年間契約数の増加は、少しずつ減っていくと思っている」(吉澤氏)といい、頭打ちも見えている。その強化策として、大容量プランのウルトラパックや、家族と分け合えるシェアパックを利用するユーザーに向け、セット割の割引額を増額。2月分の請求から最大で500円、割引を拡大した(関連記事)。
他社への流出が少なく解約率が低いことに加え、伸びは緩やかになったものの純増は続いているドコモだが、他社のサブブランドにはやや押されている印象を受ける。ドコモ自身はサブブランドを作らない方針を貫いているが、現状を維持していると、MVNO分の純増や、そこから得られる収入の伸びが小さくなっていくだけだ。
また、BIGLOBEモバイルやLINEモバイルのように、もともとドコモのネットワークを借りていたMVNOがMNOの傘下になるケースも増えている。必ずしも対抗策がサブブランドである必要はないが、上位のMVNOとより密接に連携して接続の条件を変えるなど、何らかの対抗策を検討すべき時期に差しかかっているのかもしれない。
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