あるとりかえ〜るのユーザーも、「とりかえ〜るの(交換が可能になる)時期が来たら、端末を買い替えようと思っていたのに……」と、現在の状況に困惑した様子を示す。このユーザーは、とりかえ〜るの対象端末が拡大したことを受け、Huaweiの「P10」を購入。端末価格が通常より高いことは承知していたというが、「ころころ端末を変える方だったので、(旧端末の)買い取りを考えると楽そうだった。(3年間で利用する)3台分の割賦を組むつもりで利用していた」といい、交換制度そのものには魅力を感じていたようだ。
この点については、POMの狙い通りだったといえるだろう。もしPOMが経営破綻していなければ、P10の後継機が発売された際に残債免除で買い替えができ、旧FREETELに対して満足もしていたはずだ。このユーザーに関しては、楽天側にとりかえ〜るを引き継いでほしいと思っているようだ。「FREETELの端末だけだったらとりかえ〜るは利用していなかった。他社端末までそろえている楽天が、とりかえ〜るは引き継ぐべきでは」と語り、楽天の救済に期待を寄せた。
一方で、MAYA SYSTEMも「この問題は懸念している。楽天側とは話をしていきたい」(代表取締役 吉田利一氏)といい、何らかの救済措置に動く考えはあるようだ。
もちろん、楽天もMAYA SYSTEMも、POMから自社に必要な事業を引き継いだだけで、ユーザーを救済する義務まであるかといえば、答えはノーになる可能性は高い。MVNO事業を買収した時点で、POM自身が端末事業を継続する前提になっていたため、楽天側はこのような事態になることは予想できていなかっただろう。一方で、MAYA SYSTEMにも、中古端末を回収して資金化するノウハウはないはずで、仮にとりかえ〜るを継承したとしても、FREETELブランドの端末以外は提供するのは難しい。とはいえ、2つの事業を切り売りしてしまった今のPOMにも、とりかえ〜るを提供する余力はなさそうだ。
ただ、そのままユーザーを放置してしまうと、FREETEL SIMを引き継いだ楽天モバイルや、MAYA SYSTEMの元で運営されているFREETELのブランドイメージに、傷が付きかねない。ユーザー保護の観点からも、両社にPOMを加えた3社で、何らかの救済措置を検討してほしい。また、政策としてMVNOを推進してきた総務省にも、責任の一端はある。サブブランドや大手キャリアの低料金プランに押され、一部MVNOの淘汰(とうた)が始まっているなか、当のユーザーが置き去りにされないための仕組み作りが必要な時期に差し掛かっているといえるだろう。
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