先述の通り、今回の会合ではMVNO3社からのヒアリングが行われた。3社に対しては公取委から「接続条件および接続料などにおける競争政策上の課題について」「その他競争政策上の課題について」の事前質問が送られており、それに答える形でプレゼンテーションが進められた。
IIJは接続料の予見性(将来の接続料の見通し)を高めるについて、長期的な向上はMVNO事業の計画・立案で役立ち、短期的な向上も企業会計の観点で好ましいとする。
特に短期的な予見性向上については「今年の接続料が分からないまま事業を進めざるを得ないことは、MVNOにとって事業上の大きな制約になると考える」として四半期ごとの接続料算定が望ましいと語る。同社は過去に、接続料の値下げ幅が小さかったことが原因で業績の下方修正を余儀なくされたことがある。先を見通せることの大切さを身をもって知っているからこそ出てきた主張といえる。
ただし、接続料の予見性は回線の検討要素の1つであり、それが全てではないともいう。
接続条件のあり方については、卸電気通信役務の仕組みをさらに活用することがMVNOの多様化につながる説明。また、現状では無条件で卸提供となる音声通話サービスについても、大手キャリアとの交渉によってボリュームディスカウント(回線数に応じた割引制度)を拡充できればサービス面での差別化も実現できるとする。
その他、MVNE(MVNOを支援する事業者)の重要性、大手キャリアのグループ企業であるBWA(広帯域移動無線アクセス)事業者に対する規制強化、大手キャリアが自らあるいはグループ企業を通して提供している格安サービス(いわゆる「サブブランド」サービス)に対する検証など、従来から同社が発信してきた意見も改めて紹介した。
ケイ・オプティコムは、現状のMVNOの競争環境を比較的前向きの捉えている。MVNOサービスが普及したことで、大手キャリアとMVNOの競争だけでなく、MVNO同士でも競争が発生することで、プラン、サービスや端末の多様化が進み、利用料金の低廉化が進んだからだ。
しかし、同社は接続料のあり方に課題を認識している。接続料の算定ルールやそのプロセスの透明化については評価する一方で、同社のMVNOサービス「mineo(マイネオ)」においてサービス原価に占めるデータ利用料(接続帯域の確保・拡充にかかる料金)の割合が高まる傾向にあることから、接続料のあり方を継続的に検討していくことの重要性を訴えた。
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