Huaweiが躍進、ミッドレンジの拡大、複眼カメラが多様化――3キャリアの夏モデルを振り返る石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2018年05月26日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

拡大するミドルレンジモデル、分離プランの影響も

 これに対し、KDDIはP20、P20 Proの廉価版にあたる「HUAWEI P20 lite」(以下、P20 lite)を導入し、ミドルレンジモデルの要に据えた。KDDIは、2017年に導入した「auピタットプラン」「auフラットプラン」が分離プランになっており、端末購入補助にあたる割引が付かない。「アップグレードプログラムEX」を活用すれば、2年間で端末価格の半分に相当する残債が免除され、機種変更できるが、端末の“素の価格”が他社以上に見えやすくなっている状況だ。

au auは、Huaweiを活用してミドルレンジを強化。P20 liteを導入する

 こうした中、KDDIはミドルレンジモデルのラインアップを徐々に強化している。KDDIの商品企画本部長 山田靖久氏は、「年間を通して、コストパフォーマンスのいい端末に力を入れていく」と語る。Huaweiのスマートフォンは、先に挙げたnova 2から2機種目となるが、「順調に販売している」という。

ドコモ コストパフォーマンスの高いミドルレンジに力を入れると語る、KDDIの山田氏

 P20 liteは、2017年、SIMフリー市場で大ヒットを記録したP10 liteの後継機だが、好評を受け、キャリア市場にも進出した格好だ。auだけでなく、UQ mobileやY!mobileといったサブブランドも取り扱いを表明しており、SIMロックフリースマートフォンとしての発売も期待される。

 ソフトバンクも、ミドルレンジモデルにはコストパフォーマンスの高いHuawei端末を選定。価格の安さに反して、普通に使える性能の高さと、デュアルカメラを兼ね備えた「HUAWEI nova lite 2」(以下、nova lite 2)をラインアップに加えた。ソフトバンクは、5月25日に1GB、2GB、3GBと3段階に料金が変動する分離プランの「おてがるプラン」を発表したが、ここでの対象機種にもnova lite 2が挙がっている。

ドコモ nova lite 2を導入し、新料金プランの対象に据えたソフトバンク

 ソフトバンクは、nova lite 2と同時に、京セラ製の「DIGNO J」や、シニア向けの「シンプルスマホ4」も発表。既に発表済みの「iPhone SE」や、「Android One S3」も合わせて、おてがるプランの対象とした。低容量プランを契約するユーザーはY!mobileに任せていた感のあるソフトバンクだが、docomo withやauのミドルレンジモデルへの対抗色を強く出しつつあることがうかがえる。

 ドコモは200万契約を突破したdocomo withのラインアップを強化した。新たに発売するのが富士通の「arrows Be」と、LGエレクトロニクスの「LG Style」。前者は泡ハンドソープで洗える特徴を加えつつ、プロセッサやカメラなどを2017年のarrows Beから強化。対するLG Styleは、docomo withの中では最もスペックを重視したモデルで、メモリ(RAM)が4GB、ストレージ(ROM)が64GBだ。18:9の縦に長いディスプレイを搭載しているのも、LG Styleの特徴だ。

ドコモ
ドコモ docomo withの対象となるarrows Be(左)とLG Style(右)

 分離プランの導入以降、KDDIでは「お客さまのニーズが上と下に寄っている」(山田氏)という。「フラグシップモデルは日本だとかなり強いご要望があるが、これと並行して、コストパフォーマンスのいい端末が選ばれる現実がある」といい、売れ筋が二極化してきている。ドコモも、「25日から提供予定の新料金プランと組み合わせることで、さらにお得にスマートフォンをご利用いただける」(吉澤氏)として、docomo withを料金プランで後押しする。docomo withが1年を待たずに200万契約を突破したことからも、二極化の傾向は見て取れる。

ドコモ 永年1500円割引が魅力となり、docomo withは4月に200万契約を突破した

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