HuaweiのP20 Proに話題が集中したハイエンドモデルだが、XperiaやGalaxyなど、以前から人気の高いシリーズもしっかり取りそろえられている。Xperiaは、ドコモが「Xperia XZ2 Premium」「Xperia XZ2」「Xperia XZ2 Compact」とシリーズ全てを取りそろえたのに対し、auはXperia XZ2 Compactを除く2機種、ソフトバンクはXperia XZ2のみを取り扱うことになった。
Galaxyは、「Galaxy S9」「Galaxy S9+」がドコモとauから発売された。また、シェアが急回復しているシャープのAQUOSは、3キャリアともフラグシップモデルの「AQUOS R2」を発売する予定だ。ラインアップを見渡すと、3社ともに共通のモデルは多い一方で、ドコモは他社にないハイエンドコンパクトモデルのXperia XZ2 Comapctを導入して、他社と差別化を図っている。
逆に、ソフトバンクはドコモやauにあるGalaxyが欠けていたり、Xperiaも1機種のみだったりと、少々ハイエンド側が手薄になっている印象だ。もっとも、これは同社のハイエンドスマートフォンにおけるiPhone比率の高さも影響してのことだろう。一方で、フラグシップモデルはどれもMNPでの実質価格を1万円台に抑えるなど、Androidを強化しようとしている様子もうかがえる。
夏モデルを見渡すと、ハイエンドモデルは共通の傾向として、カメラを強化している。中でも、Xperia XZ2 PremiumやGalaxy S9+、AQUOS R2はデュアルカメラを採用。P20のトリプルカメラと合わせて、カメラの複眼化が加速している。とはいえ、その使い方はメーカーごとに微妙に異なる。
ソニーは2つのカメラで撮った映像を処理する専用の画像処理エンジン「AUBE」を載せ、夜景の撮影を強化した。暗い場所での撮影に強いのはHuaweiのP20 Proも同じだが、専用のエンジンで処理をすることで、夜間の動画にも強いのがXperia XZ2 Premiumの特徴といえる。対するシャープは、2つのカメラを動画と静止画それぞれに特化させ、画角や解像度などを変えている。動画撮影中に、AI(人工知能)で最適なシーンを静止画として撮影する機能にも対応した。
サムスン電子のGalaxy S9+は、「Galaxy Note8」と同様、2つ目のカメラはズーム用だ。2つのカメラで距離を測り、被写体の背景をボカす「ライブフォーカス」にも引き続き対応している。単眼のGalaxy S9も含め、機械式の絞りを導入し、F1.5とF2.4を自動で切り替えられるのもGalaxyのカメラの新機能だ。
P20 Proが3倍ズームに対応した3つ目のカメラを搭載したように、複眼化の流れは今後も続いていくだろう。「なぜ2つのカメラを載せるのか」という理由や考え方が、メーカーごとに異なるのも面白いところだ。Huaweiが久々に発売するハイエンドモデルのP20 Proや、存在感が高まっているミドルレンジモデルに注目が集まりがちな夏商戦だが、他のハイエンドモデルも全体的に完成度が高い。ユーザー視点で見ると、選びがいのあるラインアップがそろった商戦期といえる。
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