アップル・FaceTimeが32人同時ビデオ通話に対応――本気で普及を狙うなら、Androidにも展開すべき石川温のスマホ業界新聞

» 2018年06月15日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 今週開催のWWDCでは、FaceTimeの新機能として「Group FaceTime」が発表となった。最大32人でビデオ通話が可能となり、喋っている間はその人の表示が大きくなる。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年6月9日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 TrueDepthカメラにより、顔の動きに合わせて、自分の顔を模したキャラクターを動かし、表示できるというデモが紹介された。実際に、顔の動きなどを試してみたが、たしかに舌の動きなどもきっちりと追随するようになるなど、より細かな表現が可能になったようだ。

 Group FaceTimeが発表になったことで、TrueDepthカメラはiPhoneだけでなく、iPadやMacBookにも搭載されることがほぼ確定的になったと言えそうだ。Group FaceTimeはiPhoneだけでなく、iPadやMacBookからでも参加できるといい、顔の動きに合わせてキャラクターを動かせるというのはTrueDepthカメラがなくては実現できないからだ。

 将来的に、アップル製品はほとんどが顔認証でロックを解除するようになるだろう。

 ただ、Group FaceTimeの最大の弱点は「アップル製品にしか使えない」というところだ。32人のグループで使えるといっても、一人でもAndroidがいれば、その人は参加できない。そう考えると、まだマルチOSで展開しているLINEやグーグル・Hangoutのほうがグループチャットとして導入しやすいというものだ。

 実際、自分の場合、FaceTimeでビデオ通話をする相手といえば家族だけという感じだ。海外出張中に子どもの顔を見たくて、FaceTimeしているのがほとんどだ。

 ビジネスシーンで、社員の業務用端末がすべてiPhoneというのであれば、実用性は高いのかもしれない。

 しかし、アップルが本気でGroup FaceTimeを流行らせたいのであれば、少なくともAndroidアプリを提供すべきではないか。もちろん、全機能ではなく、ビデオ通話機能提供だけを提供し、「グループにとりあえずは参加できる」レベルでもいい。TrueDepthカメラで顔のキャラクターをつけて参加するなら、アップル製品が必要という棲み分けでいいのではないか。

 FaceTimeをアップル製品の差別化要素としたいのは理解できるが、グループ通話を広めようとするとなると、その戦略にも早晩、限界が来てしまいそうだ。

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