楽しみが広がったら我慢を強いられる――ソフトバンクが「動画・SNS放題」で変えたい“現状”(2/3 ページ)

» 2018年08月30日 06時00分 公開
[井上翔ITmedia]

質疑応答

 ウルトラギガモンスター+は、大手キャリアとしては初めて特定通信を無料とするサービスだ。また2年契約プランの場合、端末購入による料金割引を行わない、いわゆる「分離プラン」となっている。

 これらのこともあり、発表会の質疑応答コーナーでは活溌なやりとりが繰り広げられた。せっかくなので、主なやりとりを簡単にまとめた。

質疑に応じる榛葉副社長 質疑に応じる榛葉副社長

新プランは実質「分離プラン」

―― 今回のプランは、端末の購入で割り引きが行われない分離プランの導入と見て良いか。

榛葉副社長 おっしゃる通り、いわゆる「端末分離(プラン)」と考えている。

 ただ、従前の「月月割を(付けてほしい)」というお客さまの声もあるので、選択できるようにしている。

―― 分離プランにしても、支払いの総額としては従来プランとあまり変化がないように見えるが、その認識で良いか。

榛葉副社長 端末価格の変動具合にもよるが、基本的には計算上、従来と同等かおトク(安価)な設定となっている。

 今回はキャンペーンで(どの通信でも)ギガノーカウントとし、キャンペーン後も8つのサービスが使い放題となっている。内容を(従来よりも)アップグレードした上で同等かよりおトクになるように準備をさせていただいた。

―― 今回、分離プランを導入したのはなぜか。今後、端末の買い替え需要がしぼむことを想定したためか。

榛葉副社長 1番の理由は「お客さまの声」に応えたということだ。

 従前から、「ストレスフリー」を目指して、常にお客さまの声を聞き、サービスやプログラムを考えている。その中で、1つの選択肢としてこういうもの(分離プラン)があっても良いのではないかという結論に達した、とご理解いただければと思う。

 ただ、あくまでも“選択肢を広げる”ことが目的なので、先ほどの質問で回答した通り、月月割を付けられる選択肢も残している。

―― くどいかもしれないが、なぜそのような声(分離プランを求める声)があったのか教えてほしい。

榛葉副社長 いろいろな利用状況などを調べていく中で、一部にそのような声があった。それを踏まえて「選択肢を広げるべきだ」ということで、今回のプランになった。

自社内・グループ内での「カニバリゼーション」は起こらない

―― 今回のプランで、Y!mobileブランドとのカニバリゼーション(共食い)が起こる懸念がある。何か対策を考えているのか。

榛葉副社長 弊社は「ソフトバンク」と「Y!mobile」のダブルブランドを大切に育ててきた。

 今月(8月)、Y!mobileでも発表会を開催した。その際も社内で議論を重ねた上で、いろいろなお客さまに合うような形でブランドを分け、ニーズに合ったプランやサービスを設定している。

 100%完璧とは行かないかもしれないが、いろいろなお客さまにY!mobileとソフトバンクを選んでもらえるように検討をしてきたので、(カニバリゼーションの)心配はないと考えている。

Y!mobileのスマホプラン Y!mobileは9月からスマホプランの基本容量を倍増する(参考記事)が、ソフトバンクブランドで発表したウルトラギガモンスター+とのすみ分けを考慮した上での判断のようだ

―― 今回の発表では(動画と)SNS放題を前面に出しているが、こういうことは(子会社化した)LINEモバイルでも以前からやっている。

 LINEモバイルが少しかわいそうな気がするのだが、すみ分けは大丈夫なのか。

榛葉副社長 私たちはソフトバンク、Y!mobileに加えてLINEモバイルの3つのブランドを持っている。

 当然(ブランド間の)かね合いは検討していて、それぞれのユーザー特性を見る限りは、十分に分別(差別化)できると考えている。

5Gに向けた中国ベンダーとの関係について

―― 最近、米国において中国の通信メーカーの製品を閉め出す動きがあり、オーストラリアでも5G(第5世代移動体通信)基地局について同様の動きを見せている。世界や日本でも同様の検討しているという報道もある。

 御社も4G(LTE)の通信機器や5Gに向けた動きの中で中国の通信メーカーと協力関係を構築してきたと思うが、今後どうするのか。

榛葉副社長 現時点では(中国メーカーの通信機器の)安定性が立証されているからこそ、私たちはサービスを提供している。

 世界の動向は注視しているが、現在(日本政府などにおいて)正式に決まっていることはない。監督省庁の動きを見つつ、討議をしながら(5Gにおいても中国メーカーの機器を使うかどうかを)検討していきたい。

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