ポケモンGOの横須賀イベント、スマホの通信環境は改善されたのか?(3/3 ページ)

» 2018年08月30日 14時00分 公開
[田中聡ITmedia]
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Nianticとキャリアのネットワーク対策

 結果として問題なくプレイできたわけだが、Nianticと3キャリアは、今回のイベントでどんなネットワーク対策を実施したのか。NianticでポケモンGOのグローバルマーケティングリーダーを務める須賀健人氏にお話を聞いた。

ポケモンGO横須賀 Nianticの須賀健人氏。右は横須賀市文化スポーツ観光部観光課の古崎絵里子氏。古崎氏によると、イベントの経済効果(直接効果)は5億円を見込んでいるという

 須賀氏は「イベントを始めた2017年は学びも少ない状態で、ポケモンGOのプレーヤーが数千人〜数万人も集まることは経験したことがありませんでした。キャリアさんともお話はしていましたが、シカゴや横浜のイベントで実際にネットワークがつながりにくい状況になりました」と振り返る。

 2017年の横浜のイベントは、基本的にどのユーザーでも参加可能としたことから、200万人以上のトレーナーが集まったが、ネットワークの許容範囲を超えてしまったようだ。そこで今回のイベントでは参加者を抽選して10万人に絞った。開催地を3箇所に分けたことも、ネットワークの負荷分散に貢献した。「特定エリアに(トレーナーが)集まるには限界があるので、チケット制にして、なるべく広いエリアで遊んでもらおうと考えました」と須賀氏。

 須賀氏によると、ヴェルニー公園、三笠公園、くりはま花の国の周辺にある商店街では、イベントの参加者でなくても、他の地域に比べてレアポケモンが出現しやすくなっているようだ。となると、参加できないユーザーが商店街に押し寄せる可能性もあるが、そこで増大するトラフィックも加味して、問題ないようキャリアとは話し合っているという。多くのトレーナーが訪れることは、横須賀市にとっては経済効果が高まって願ったりかなったりだろう。

 Pokemon GO Safari Zone in YOKOSUKAのコンセプトは「横須賀の街全体を楽しんでもらうこと」だと須賀氏は言う。「横須賀には公園だけでなく、『よこすか海軍カレ−』や『ヨコスカネイビーバーガー』など、さまざまな魅力があります。ゲームは“ついで”でいいんです。大切なのは、出掛けて、その場所を楽しんでもらうことです」(同氏)

 Nianticは3キャリアと密にコミュニケーションを取り、最適なネットワーク環境を構築できるよう尽力した。3キャリアは今回のイベントに合わせて、移動基地局車とWi-Fiスポットを新たに設置している。

 移動基地局車は、ドコモが6台、auが3台(三笠公園×2、くりはま花の国×1)、ソフトバンクが2台(ヴェルニー公園×1、くりはま花の国×1)を設置。

 Wi-Fiスポットは、ドコモが10箇所、auが5箇所(ヴェルニー公園×1、三笠公園×2、くりはま花の国×2)、ソフトバンクが5箇所(ヴェルニー公園×1、三笠公園×1、くりはま花の国×2)に設置。

 ドコモは各会場で複数台の移動基地局車を配備しており、Wi-Fiスポットは移動基地局車5台にアクセスポイントを2台ずつ(計10台)搭載している。また周辺基地局の設備増強を前倒しで行った。KDDIはヴェルニー公園に臨時基地局を1箇所設置した他、基地局の増設も行っている。ソフトバンクは近隣基地局の最適化も図っている。

【訂正と追記:2018年8月30日16時48分 ソフトバンクのWi-Fiスポット数を、より詳細なものに修正しました。ドコモの対策詳細を追記しました 】

 Nianticのサービス設計と、3キャリアとの連携により、快適な通信環境を実現した今回のイベント。こうしたノウハウを蓄積し、今後も快適なユーザー体験を提供してほしいと思う。

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