5Gが創出する新ビジネス

5G・IoT時代の新ビジネスを“共創”する拠点に――「KDDI DIGITAL GATE」オープン 「∞ Labo」も移転し同居

» 2018年09月05日 17時50分 公開
[井上翔ITmedia]

 KDDIは9月5日、法人企業と5G(第5世代モバイル通信)やIoT(モノのインターネット)を生かした新ビジネスを“共創”するための拠点「KDDI DIGITAL GATE」(以下「KDG」)を東京都港区虎ノ門にオープンした。同所には、同社内でスタートアップ(ベンチャー)企業の支援を行う「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」も移転することで、法人企業やスタートアップ企業との「化学反応」も促す。

KDDI DIGITAL GATE

「通信とライフデザインの融合」をビジネスユーザーにも

高橋誠社長 KDG開設のあいさつをする高橋誠社長

 KDGは、KDDIの高橋誠社長が掲げる「通信とライフデザインの融合」をB2B(対ビジネスユーザー)やB2B2C(対ビジネスユーザーを介した個人ユーザー)にも広げる取り組みの一環として開設された。

 同社内でアジャイル開発を担当してきたチームや、高い専門性を持つパートナー企業(同社子会社を含む)のスタッフが結集し、顧客である法人企業と一緒になって新ビジネスや新サービスを作り上げていくことを目指す。

「アジャイル開発」とは?

 アジャイル(agile)は、英語で「機敏な」「すばやい」という意味の形容詞。

 アジャイル開発は端的にいうとスピードを最重要視した開発のこと。短期間で「企画・開発(設計)・検証」を繰り返すことで、製品をどんどん進化(改善)させていく。

 そのため、製品の企画者(提案者)・開発者など、関係者のコミュニケーションがより重要となる。


概要 KDGの概要。「アジャイル」と「デザイン思考」を軸に置いている

アジャイル開発を支える設備

KDGの山根隆行センター長 KDGの山根隆行センター長

 施設内には5GやLTE-M(空き帯域を使った機械向けLTE通信)の通信を検証するための設備と、画像認識やxR(AR・VR・MR)といった最新技術を体感できるツールを備えている。ソフトウェアやサービスのプロトタイプ開発や検証を行える「PoC(概念実証)開発ルーム」や「ラボラトリー」も備えている。

5Gアンテナ 施設内に設置された「au 5G」のアンテナ(28GHz帯用)。実際に通信できるものだ
xR用ツールセンサー・モジュール ラボラトリーではxR技術や各種センサー・モジュールを体験・検証できる
PoC開発ルーム アジャイル開発を進めるための開発ルームは複数ある。開発ルームを含む部屋の名前は、一部を除き全てGate(門)にかけて「○○門」になっている

 開発ルームやラボラトリーとは別に、「デザイン思考ワークショップスペース」や「オープンエリア」も設けられている。

 ワークショップスペースに設置されたホワイトボードは取り外し可能で、開発ルームやラボラトリーに持って行き、開発者にひらめいたアイデアを直接見せるといった使い方もできる。オープンエリアでは、随時イベントやセミナーを開くことを予定しているという。

共創空間 ワークショップスペース(左)やオープンエリア(右)も設置

TORANOMONはイノベーションエリアに

KDDI ∞ Laboの中馬和彦ラボ長 KDDI ∞ Laboの中馬和彦ラボ長

 KDGを虎ノ門に設置した背景として、高橋社長は「ビジネスビルの建設ラッシュ」を挙げる。5GやIoTが話題となる中、ビルの新陳代謝と共に「イノベーションを起こす(企業が集まる)場所になるのではないか」との見立てだ。

 また、KDDI ∞ Laboも同居させるに至ったのは、新しいビジネスモデルを組み立てて行く場に「(KDDIが)続けてきたスタートアップ企業との取り組みを組み合わせるとどうなるのだろうか?」(高橋社長)という、KDGを利用する法人企業と∞ Laboが抱えるスタートアップ企業との“化学反応”を期待してのことのようだ。

 ∞ Laboの中馬和彦ラボ長は「KDGは『“会社を変えたい”と考える大企業が集まる場所』だと考えると、(大企業が)スタートアップ企業と交わる機会を設けることも重要」とした上で「∞ Labo(にいるスタートアップ企業)の持つイノベーションのノウハウをKDG(にいる大企業)に提供でき、KDGの持つ豊富なアセットを∞ Laboで生かすこともできる」と、同居するメリットを強調した。

同居のメリット KDG内に∞ Laboが移転することで、大企業とベンチャー企業がシナジーを発揮できる場になる

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