使いやすさに歴史あり――富士通スマホに込められた“思い”を聞くarrows先生が学ぶ(3/4 ページ)

» 2018年09月28日 10時00分 公開
[arrows先生PR/ITmedia]
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変わっていく世の中 それでも「変えない」「変わらない」大切さ

山田先生 話題を変えて、携帯電話の変遷について見ていきましょう。

 先ほども話した通り、携帯電話市場は2011年頃から本格的にスマートフォン中心となり、私もスマホの商品企画を担当するようになりました。ARROWSのキャッチコピーに表れている通り、2011年頃のスマホの競争軸は“スペック”でした。

 2013年ぐらいになると、スペックの向上が落ち着いてきて、「感性価値」や「体験価値」といった、いわゆる「UX(ユーザー体験)」に競争の軸が移りました

 そして現在はUXという軸を残しつつ、「価格」も重要な競争軸となりました。大手キャリアよりも比較的手頃なMVNOサービスが普及したこと、大手キャリア自身も「docomo with」を始めとする格安料金プランを打ち出してきたことも、その現れだと思います。

 携帯電話やスマホの商品作りは、このような時代の変化をしっかりと捉えて行う必要があるのです。

 時代は変化していきますが、こだわりをもって変えずにやっていきたいこともいくつかあります。

 1つは、先ほども言いましたがユーザーのために進化し続け、それを価値として提供し続けることです。私たちは「ヒューマンセントリック(人間中心)」という言葉で表現していましたが、この考え方は商品作りの原点としてこれからもしっかりと堅持したいと思っています。

 以前はお客さまからの「こうしてほしい」という顕在化したニーズをキャッチしやすかったのですが、現在はそれが見えにくくなっています。というのも、最近の機種で満足度調査を実施すると「満足度90%台、不満足度5%未満」といった感じで、以前と比べるとお客さまの不満が顕在化しにくい傾向にあるのです。

 そのような状況でも、お客さまが認識していない不満点やニーズを先んじて発見し、それを新たな商品価値として提供することはできます。

 その一例が「画面割れ対策」です。実はこれは、お客さまからの要望を受けて取り組んだものではなく、通勤中に画面が割れたままのスマホを使っている人をびっくりするくらいに見かけたことがきっかけなのです。「これはどうにかしないといけない」と確信して、取り組み始めたのです。

 2016年度発売の機種から本格的に対策に着手しました。ですが「arrowsは頑丈だ」「arrowsは画面が割れにくい」という認知や市場評価をいただくまでには時間がかかりました。腰を据え、商品開発とブランドプロモーションの両面から取り組み続けた結果、最近成果が見えてきています。非常にうれしいことです。今後も、この取り組みは継続していきます。

 商品企画の過程では、エスノグラフィー(行動観察調査)や家・マンションを貸し切った疑似体験ワークショップなどを取り入れて、デザイン思考を意識した商品企画を実践するようになりました。今後も、顕在化していないニーズを発掘して、それを商品に落とし込むことを継続していきたいと思います。

先んじた取り組み ニーズを「聞く」のではなく「先んじて見つける」

 2つ目は、「マーケットインとプロダクトアウトの融合」です。

 スマホシフトが始まった当初、主力機種はターゲットをあえて絞り込むことはせず、半期(半年)でおよそ100万台規模の出荷を目指していました。簡単にいえば「間口を広くとって、より多くの方にたくさん売る」という戦略です。今思うと、だいぶ“すごい”ことをやっていたと思います。

 しかし、市場環境の変化もあって、2014年頃からはそのような商品企画は通用しなくなりました。ターゲットをある程度絞り込み、その方々に必要とされる商品企画が求められるようになったのです。その一例が「ARROWS NX F-02G」(2014年)です。私としても思い出深い機種です。ARROWSのハイエンド機種を買ってくださるお客さまはどういう方々で、何を今まで以上に求めているのか、どのようなデザインを好むのか、といったことをプロジェクトメンバーが徹底的に議論し、企画・開発したものです。

 この機種以降、ターゲットを従来以上に重視した企画・開発の流れができました。ミドルレンジ寄りになり、販売期間も長期化してきたことから、最近のarrowsはターゲット層を広めに取る傾向に戻りつつありますが、メインのターゲットは絞り込み、必要な機能を必要なお客さまに確実に届ける姿勢は維持し続けます。当たり前のことを当たり前にしていきたいです。

F-02G arrows先生にとっても山田さんにとっても思い出深い「ARROWS NX F-02G」。ARROWSのハイエンドモデルを好むユーザーにターゲットを絞り込んだ機種だ

arrows先生 「ARROWS NX F-02G」は私にとってとても思い出深い機種で、今でもたまに使います。

 ただ、この頃のARROWSを使っていた人にとっては、最近のarrowsは率直にいって「らしさ」が足りないのでは……。

山田先生 程度の差こそあれ「arrowsはこうだよね」という潜在的な期待値というものはそれぞれのお客さまの中にあると思います。

 arrows先生のおっしゃる通り、ミドルレンジシフトになっている現状のarrowsを見て、昔からarrowsを使ってくださっているお客さまこそ「arrowsはもっとハイスペックじゃないと」と思っている方が多いことも分かっています。

 現状において、そのような期待に応えきれていないことは心苦しい面もあります。ただ、1台のスマホを長く使うお客さまが大半を占める現在の環境において、arrowsを手に取ってくださったお客さまにご満足いただけることはもちろん、さまざまな生活シーンの中でも安心して使い続けられるスマホを、当たり前にお客さまにお届けし続ける――それが、arrowsの魅力であり、本質的な価値になると思っています。

 これは2011年から2012年あたりまでのハイエンドARROWSでお客さまから得た“学び”でもあり、3つ目のこだわりポイントでもあります。

品質向上 2011年から2012年にかけての「やんちゃ」さから多くを学び、「当たり前品質」と「魅力的品質」の向上を図る
集中するarrows先生 授業時間は決して短くない。しかしarrows先生の集中力は途切れることがない

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提供:富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2018年10月4日

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