カラフルなiPhoneというと、5色展開だったiPhone 5cを思い出すところだが、型落ちのプロセッサを採用したわゆる“廉価版”とは異なり、iPhone XRは中身もフラグシップ級だ。冒頭で述べた通り、iPhone XRにもiPhone XS、XS Maxと同じA12 Bionicが搭載されており、パフォーマンスではそん色ないレベルに仕上がっている。
「Geekbench 4」でiPhone XRのベンチ―マークスコアを取ったところ、CPUはシングルスコアが4681、マルチコアスコアが1万914だった。先に計測したiPhone XS、XS Maxよりやや数値は低めに出ているが、先代のiPhone 8や8 Plusは超えており、十分なパフォーマンスだと評価できる。
次に、GPU性能を測ってみたところ、Metalスコアは2万1480だった。iPhone XS、XS Maxのレビューでは前者が2万804、後者が2万2288だったため、ちょうどその中間といったところ。測定時の誤差の範囲に収まるスコアで、3機種ともほぼ同等と見ていいだろう。スマートフォンの中では、最高峰のスペックを誇る。
ただし、メモリ(RAM)に関しては、iPhone XS、XS Maxが4GBだったのに対し、iPhone XRは3GBに抑えられているようだ。これは、ディスプレイの解像度が828×1792ピクセルで326ppiと、iPhone XS、XS Maxより抑えられているためかもしれない。
もちろん、A12 Bionicには、機械学習の処理をつかさどるニューラルエンジンも搭載されている。そのため、Appleがサードパーティーに提供する機械学習のフレームワーク「Core ML 2」や、AR(拡張現実)を実現するための「ARKit」をフル活用したアプリも、スムーズに動く。
初期状態で内蔵されたアプリや機能では、例えばアニ文字がスムーズに動くのはもちろん、長く使っていても、iPhone Xのように本体が熱くなりにくかった。Apple純正アプリのClipsでリアルタイムに映像を合成するシーンを使うと、その差はさらに顕著になる。気付きにくい差かもしれないが、わずかながらFace IDでのロック解除もスムーズになっているようだ。さらに機械学習は、次に評価していくカメラにも活用されている。
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