ソフトバンクは11月5日、2019年度第2四半期の連結決算を発表した。第1四半期を含む上期は、全セグメントが堅調に推移したことから前年度同期比で増収増益となった。2019年度はヤフー(※1)を連結子会社化した効果もあるが、効果を控除した場合でも増収増益だという。営業利益と純利益の進捗(しんちょく)率はそれぞれ62%、68%。普通であれば通期決算の「上方修正」を検討しても良い場面ではあるが、修正を見送っている。
※1 ヤフーは10月1日付で会社分割を実施し、「Zホールディングス」に商号変更している
この記事では、同日に開催された決算説明会における、報道関係者と宮内謙社長とのやりとりの中でも、とくに注目すべきものを紹介する。
―― 上期が非常に順調だった中で、通期の業績予想を据え置いています。下期に何を見ているのか(業績面で影響を及ぼす事象があるのか)も含めて、理由を教えてください。
宮内社長 確かに、進捗は利益面での進捗は良好で、普通に考えれば伸びる(≒上方修正を行う)と思われるかもしれません。ただ、今回の半期決算ではコミットした数字(通期業績予想)は達成できると言うことをお示ししました。
私たちは新規事業に向けた投資をしていくので、今回は(通期業績予想を)保守的に見積もることにしました。現時点では修正の予定はありません。
―― 新しい事業に向けた投資をお考えということでしょうか。
宮内社長 それも含めて、総合的に判断した結果です。世の中、何があるか分かりませんから。常に、少し余裕を持ちながら、消費者に喜んでいただけるようなことをきちんとやっていきたいと思います。
―― 9月までの端末販売について、前年度の上期(の売り上げ)と比べると少しビハインド(減少)があると思うのですが、これはルール変更(電気通信事業法の改正)を見越して、端末の販売価格をある程度下げて、顧客を取りにいったという理解でよろしいでしょうか。
宮内社長 10月1日から事業法が改正されて、販売奨励金が2万円以上にできなくなり、端末代金との完全分離を求められるようになりました。
「10月以降から(端末販売台数が)下がるから、それを見越してやっていこう!」と考えた訳ではありません。ありませんが、競争環境においてKDDIなどが“ガーン”とやって来る中で、負けるわけにはいきませんから、少し激しい競争になってしまいました。
少し安い値段で、「iPhone 8が6万円引き」といった感じになったことは事実としてありますが、新事業法に向けて行ったものではないと思っていますし、そのような意思決定をしたつもりでもありません。
―― 端末販売について、決算資料を見ると販売手数料や広告宣伝費が増えた理由として「積極的な販売活動をした」とする一方で、端末の販売台数が減少しているとしています。端末販売の採算は悪化しているという理解で良いでしょうか。
藤原和彦専務 端末販売は、機種変更が少し減りました。一方で、獲得という意味で新規契約は順調だったので、そのコストが増えたということです。
宮内社長 新規は非常に順調です。ただ、機種変更のサイクルが延びているという面があるのだと思います。
―― 電気通信事業法が改正された10月1日以降の販売状況について教えてください。
宮内社長 新規販売数はやはり少し減りました。特に、高価格帯のものが影響を受けています。一方で、Y!mobileの低価格端末は順調に動いています(売れています)。
従来は大手キャリア3社やMVNOで(顧客の)取り合いをしていましたが、流動性が低下し、その分が減っているという感じです。解約の数や率も少し減っています。
ただ、先にも言いましたが、9月は「インセ競争」ではないですが例年にない感じで“ドーン”と行ったことと、10月は消費増税直後であるということもあって、10月単体では法改正の影響の結論は出せません。
恐らく、次の(第3四半期)決算説明会までにはどんな影響があったのか明確にできるのかな、と思います。現時点では「少し下がりました」という回答になってしまいますが、法人の売れ行きは非常に好調ですから、大きな減少ではないと思っています。
―― 「トクするサポート」について、他社の類似サービスは36回払いを前提にするプログラムに変更しましたが、御社では内容を変えずに行くのでしょうか。
宮内社長 半額サポートについては、いろいろな方面からご指摘を受けましたが、誤解を招くということで名称を「トクするサポート」に変えました。
総務省の皆さんともいろいろと話をしながら進めてはいますが、4年の残価保証プログラム的なものは継続してやっていきたいと思っています。というのも、ユーザーからのクレームはほぼ皆無です。また高額端末に限らず8割くらいの利用率で、以前の半額サポートと比べて少し比率が減った程度でほとんど変わっていないこともあります。
例えば「iPhone 11 Pro」が欲しいということでいきなりバーンと(一括で)払うんじゃなくて、2年後に残価保証がある上で機種変更できることに対してユーザーからの一定の支持があると考えています。
マズい部分はできるだけ修正はしますが、今の所は(このプログラムのまま)継続したいと考えています。
―― 3Gから4Gへの移行に関連して、他社ではサービスの終了時期を公表しています。御社ではどうでしょうか。
宮内社長 私たちも然るべきタイミングで発表したいと思っています。
しかし、今は大口の法人顧客もいらっしゃって、総務省とも話し合いをしないといけないので、まだいつですと申し上げられない状況です。
ただ、いずれは4G、5Gと移行するので、どこかのタイミングで話します。
―― 最近も台風15号や16号もありましたが、災害対応について、どこに課題があると感じていますか。
宮川潤一副社長 災害の規模が私たちの想定を上回るという状況が続いています。どこかのタイミングで、3キャリアが有事の際に連携できるようにしなくてはならないと思っています。
今までも、光ファイバーの相互貸し出しや物資の譲り合いはしてきてはいる所ですが、今後は、ヨーロッパのように有事の際は(1社の基地局から)複数のキャリアのコードを発射できるようにして、生き残っている基地局で全キャリアをカバーできるようにする話し合いを始めるべきだと思っています。
災害復旧時には、同じ被災場所に作業員がワッと行ってしまうこともあります。被災地域が広い場合は、これをうまくバランス良く分散させたいといったことを他社のCTO(最高技術責任者)とも話し合っています。
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