内閣総理大臣に就任した菅義偉氏が「携帯料金値下げ」の提言を続けている。
9月16日の内閣総理大臣就任会見では「国民の財産の電波の提供を受け、携帯電話の大手3社が9割の寡占状態を長年にわたり維持して、世界でも高い料金で、20%の営業利益を上げ続けている」との理由から値下げに対する意欲を示す。
「他にも当たり前でない、いろいろなことがある」として、「現場の声に耳を傾けて、何が当たり前なのか、そこをしっかりと見極めた上で、大胆に実行する」と断言した。
菅氏といえば、安倍内閣で官房長官を務めていた頃から携帯料金の値下げについて提言し続けてきた。2018年には「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」とコメントして3キャリアが料金プランを改定するきっかけを作った。
2019年10月の電気通信事業法改正によって通信と端末の分離が義務化され、解約金の値下げや撤廃も敢行されたが、菅氏は3キャリアの営業利益が20%を維持していることを問題視。2020年6月の会見では、依然として値下げの余地があるとのスタンスを示していた。この考えは総理大臣に就任した現在も変わっていない。
武田総務大臣も携帯料金は「見直す必要がある」との考えを示す。「もはや今、携帯電話はぜいたく品ではなくて、国民の命に関わる大変重要な通信手段となっている」「果たして国民が納得する料金なのか。そして国際的に見て、日本の料金体系はどうなのか。私は見直す必要があると考えている」と、9月17日の就任会見でコメント。今後については、事業者(キャリア)とユーザーの意見を聞いた上で、「一刻も早く結論を出したい」と述べている。
9月18日の会見では、具体的な値下げのレベルについて「1割では済まない」趣旨のコメントも残している。「もっと健全な市場競争が果たされれば、1割以上の値下げも可能と踏んでいる。1割で決めつけていいのか。できる限り公正な競争の下で通話料金を下げたい」と同氏。ただ「1割というのは私が言ったものではない」とも述べており、具体的な値下げ幅を占うのは早計といえる。
3キャリアはこの状況をどうみているのか。
NTTドコモは、日本の携帯料金が世界でも高いことを示す根拠として指摘されている「内外価格差調査」について、「1つの事実として受け止めている」とコメント。一方で、「お客さまが得られる価値という観点では価格に加え、例えば、各国におけるエリアカバー率やつながりやすさなどのサービス品質の違いや、利用形態、商習慣、制度にも差異があると考えている」と述べている。この件については吉澤和弘社長も同様の考えで、単純な価格のみを比較することに対して抵抗を示している。
またドコモは以下のコメントも残している。
KDDIは「これまで通り、市場競争を通じてよりよいサービスを提供していくことに努めていく」、ソフトバンクは「今後もよりよいサービスを提供できるよう、引き続き努力する」とコメントしている。
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