「ahamoの契約数は?」「半導体不足の影響は?」――NTT決算説明会一問一答(2021年8月編)

» 2021年08月06日 20時45分 公開
[井上翔ITmedia]

 日本電信電話(NTT)は8月6日、2021年度第1四半期の連結決算を発表した。各種通信事業が堅調だったことから増収したものの、NTTドコモ(移動通信事業)で携帯電話料金を値下げした影響などから、前年度同期比で増収減益となった。

 この記事では、同日に行われた報道関係者向け決算説明会における質疑応答から、NTTドコモに関連する注目すべきやりとりを体裁を整えた上で紹介する。

連結 第1四半期決算の概要(NTT連結)
連結 第1四半期決算の概要(NTTドコモ連結)
NTTドコモセグメント別 NTTドコモ連結のセグメント別の営業収益と営業利益
NTTドコモ増減 NTTドコモ連結の利益増減要因。携帯電話料金の値下げに伴う「モバイル通信サービス」の収入減と、各種費用の増加が影響して減益となったという
澤田社長 NTTの連結決算の概要を説明する澤田純社長(中央)

ahamo(アハモ)を含む料金プランについて

―― NTTドコモについて、決算説明の中で「ahamoは足元で約180万契約」という話がありました。資料には「MNPも順調に推移している」ともありますが、「他社への流出の減少」「他社から(顧客を)奪う」という観点ではどのような状況なのでしょうか。

澤田純社長 足元でahamoの契約数は180万を超えておりまして、非常に順調であると考えています。

 MNPについてはドコモから何度かお話しがありましたが、(制度が始まってから)13年ほど、ほぼ毎月マイナス(転出超)が続いてきました。その中で、ahamoを発表して3月にサービスを開始したわけですが、月によっては他社さんが大きくなる(ドコモの転出超過になる)こともありますが、ほぼ変わらないような状態(プラスマイナスゼロ)で推移するようになりましたahamoが1つのきっかけとなって、私たちのお客さま接点における販売力が強化されたと認識しています。

 サービスや料金(プラン)は、お客さまのニーズや対応によって動いていくものなので、今後も弾力的に良いサービスを出していきたいと考えています。

―― 3社が3月にオンライン専用プランを一斉に始めた中で、ahamoのスタートダッシュが良かったということだと思うのですが、何が良かったと思いますか。

澤田社長 今までドコモは「安いプラン」や「セカンドブランド(サブブランド)」といったものを持っておりませんでした。ドコモのブランドを好いているお客さま、あるいは(ドコモに)関心のあるお客さまが、そのようなプランであるahamoに注目したからではないかと思っております。

 (ahamoは)ドコモのバックボーンを持っていますから(通信)品質は良いです。いろいろな要望もありますが、「使いやすい」「良い」といったご意見の方が多く寄せられているので、(サービス開始の)タイミングと(ユーザーの)ニーズがうまくかみ合ったのだと思います。

ahamoは好調 第1四半期はahamoを中心に携帯電話回線/端末の販売が好調だったという

―― オンライン専用プランについて、他社はもっと安いプランを打ち出しました(参考記事)。競争環境が変わる中で、ahamoをてこ入れするお考えはあるのでしょうか。

 また、収益の増を考えたときに、大容量プランへの転換(いわゆる「アップセル」)を進める必要があると思うのですが、どう進めていくお考えでしょうか。

澤田社長 ここは(事業会社である)ドコモが回答することが妥当だと思います。(持株会社の社長である)私が語ると、どちらかというと一般論になってしまうので……。

 その前提で申し上げると、商品のマーケティングについて「不断の努力」が必要なのだと思います。(データ通信を)あまり利用されないお客さまに合ったサービスも、どこかのタイミングでそろえないといけないでしょう。おっしゃる通り、ahamoの付加価値をどう高めるかも重要です。

 サービスやアプリケーションの面もあれば、(単純に)料金の面、データ量の面、5Gでできること――(ドコモの中で)幅広く議論を進めている所だと思います。今日の時点で何か発表ということはありませんが、今後ドコモで決まったことがあれば発表されるでしょう。

―― ahamoや大容量プランの料金見直しに関連して、「年間2500億円のお客さま還元(≒減収)」という話があったと思うのですが、これはどうやってはじき出された数字なのでしょうか。また、それはどうやってカバーするのでしょうか。

澤田社長 これは単純に「(5G)ギガホ」から「(5G)ギガホ プレミア」への変更を含めた料金値下げの影響額です。年間2500億円落ちる分から、ドコモのモバイル通信サービス収入は約600億円減に“戻す”計画です。(差分の)1900億円はいろいろなもので埋めていくことになります。

 「では(全体の)利益は?」という点では、(現時点で)増益を目指しています。モバイル通信事業で600億円の減収があったとしても、スマートライフ(非通信)領域を含めて、トータルでプラス(増益)となるということです。この第1四半期は、計画に対して順調だったということを(説明では)申し上げた所です。

還元 ドコモでは年間2500億円の「お客さま還元(≒料金収入の減少)」を見込んでいる。そのうち、1900億円は別の部分の増収で埋めるという

―― ahamoの純増に関連して、2021年4〜6月は毎月「転入超過」だったのでしょうか。また、累計契約者数が180万とのことですが、自社内のプラン変更と他社からの転入の比率を教えてください。

澤田社長 開示をしていない数字なので、月々の状況については話せないですが、第1四半期としては純増は「プラス」だったということです。

 内訳という点では、ドコモ内の移行が圧倒的に多いですが、他社からの転入もそれなりにあります。当初は「他社から全然来ないんじゃないか?」とも思っていたのですが、そうでもなかったと。これ(具体的な比率)も開示対象外なので、具体的な話はできません。

半導体不足について

―― 昨今、半導体不足が産業界に打撃を与えている状況だと思います。その点に関する澤田社長の受け止めを教えてください。NTTグループの事業への影響はあるのでしょうか。

澤田社長 むしろ、中長期的に影響を受けないようにするために、「光半導体」という新しい技術では、自らがコントローラブルなサプライチェーンにしたいと考えています。

 足元の半導体不足にはいろいろな要因があると思っていますが、まだ長期に渡って影響が出る側面があると思います。日本という国、あるいは世界の環境の中で捉えると、(半導体などの供給に関する)パートナーをうまく選定しながら、バリューチェーンを持続的に使えるように努力をしていく必要があるだろうと考えています。

 「私たち(NTTグループ)はどうか?」という話ですが、一部のパッド製品(タブレット端末)において半導体不足が影響していまして、(調達の)ご要望を受け付けられない商品が出てきています。一方で、(ドコモの)5Gを含めて装置として使っている半導体は(調達に関する)調整を行って、設置工事に遅れの出ないようにしています。元々(ネットワーク設備は)マルチベンダーで調達しているので、組み合わせをうまくやることで、工事はうまく進めている所です。

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