NTTドコモは10月6日、2021年冬/2022年春モデルを発表した。今回の新モデルは全て5G対応で、5Gスマートフォン8機種、ノートパソコン1モデルが投入される。
スマホの新モデルのうち、5機種は既にメーカー発表済みのもの。プレゼンテーションでは、この発表会で初披露となる3機種が重点的に紹介された。興味深いのは、3機種のうち2機種がシニア向けのスマホであることだ。
FCNT製の「らくらくスマートフォン F-52B」と、京セラ製の「あんしんスマホ KY-51B」は共に60歳以上のシニア層のユーザーに向けて開発された製品で、2022年2月以降の発売を予定している。ドコモはなぜ、同じユーザー層を狙った2つのスマホを同じ時期に発売するのだろうか?
あんしんスマホ KY-51Bは、2018年発売の「カードケータイ KY-01L」以来となる京セラ製ドコモ端末だ。「京セラ製スマホ」というくくりでは、初めてのドコモ向け製品でもある。
ドコモには既に、FCNT(旧富士通コネクテッドテクノロジーズ)製の「らくらくスマートフォン」というシニア向けスマホがある。あえてらくらくスマートフォン“ではない”シニア向け端末を導入する狙いは、ずばりらくらくスマートフォンではすくいきれないニーズをつかむことにある。
らくらくスマートフォンは、ドコモとFCNTが手がけるロングセラーのシリーズだ。2022年には初代モデル(F-12D)の発売から10周年を迎える。今回発表されたF-52Bはシリーズの第8世代モデルにして、初めて5Gに対応する製品でもある。
らくらくスマートフォンは、シニア層でも扱いやすく、親しみやすい製品として開発されてきた。デザイン面において操作感が大きく変わらないようにする配慮が行き届いていることも特徴である。
ひと言で「シニア層」とはいっても、スマホに求めるニーズはさまざまだ。らくらくスマートフォンでは対応できない要望もある。
例えば、フィーチャーフォン(ケータイ)と同じように、物理的な押しボタンがあると良いと考えるユーザーは一定数存在する。そこで、あんしんスマホでは終話キーやメールキーを物理キーとして配置している。物理キーを組み合わせた操作に不慣れなユーザーも想定して、画面表示される操作キーとして「画面メモ」を用意した。
一般的なAndroidスマホとは異なり、「戻る」「アプリ履歴」といったナビゲーションキーは、あえて“文字”で表示されている。
らくらくスマートフォンもあんしんスマホも、シニア層に対する配慮がなされている点において変わりはない。ただ、仕様をよく見てみると、あんしんスマホは最近のスマホのトレンドをより多く取り入れていることが分かる。ディスプレイは縦長で、SNSや動画を見るのに適した形状である。
要するに、あんしんスマホは「フィーチャーフォンに近い操作感」「一般的なスマホに近いスタイリッシュさ」が、らくらくスマートフォンとの差別化要素となっているのだ。
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