ITmedia Mobile 20周年特集

auのスマートフォンを振り返る 反転攻勢の「IS」シリーズ、INFOBARやWindows PhoneもITmedia Mobile 20周年特別企画(1/3 ページ)

» 2022年01月16日 10時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

 ITmedia Mobile 20周年を記念し、大手キャリアが取り扱ってきた端末を振り返る企画。ドコモのスマートフォンに続き、今回はauのスマートフォンを取り上げる。

スマホで出遅れたauが専用ブランド「IS」シリーズで猛追

 「au初 スマートフォン」などのキーワードで検索をすると、ITmedia Mobileの記事「au初のスマートフォン『E30HT』、5月1日発売――個人向けにも販売」がヒットする。2009年4月27日に公開された記事だ。

 E30HTは台湾HTC製の端末で、OSにはWindows Mobile 6.1 Professional Editionを採用。ディスプレイは約2.8型VGA(480×640ピクセル)液晶で、下り最大3.1Mbps、上り最大1.8Mbpsの通信ができるとある。法人向け端末だったが、通常のau端末と同じく、auショップなどで購入できた。

auスマホ振り返り HTC製の「E30HT」。初期のスマートフォンはビジネス用途だったため、カラーはブラックが多かった

 当時、ソフトバンクは唯一の取り扱いキャリアとしてiPhoneを猛プッシュし、ドコモは既にAndroidスマホを取り扱っていた。それらに比べるとauはスマホに関しては出遅れていた。それは当時常務だった高橋誠氏も認めている(関連記事)。auが採用していた通信規格CDMA 2000への対応に時間がかかったことなどが出遅れの要因だった。

 auのスマホ専用ブランド「ISシリーズ」の端末が発表されたのは2010年3月。Android搭載スマートブック「IS01」とWindows Phoneの「IS02」の2機種が同時に発表された。ただし、IS01はノートPCをグッと小さくしたようなキーボード付きのスマート“ブック”。また、IS02はE30HTに次ぐWindows phoneだ。

auスマホ振り返りauスマホ振り返り 5型のディスプレイを搭載し、パンタグラフタイプのQWERTYキーボードを備えていたIS01。開いて通話アプリを開く手順が必要だが通話もできた。深澤直人氏のデザイン

auスマホ振り返り IS02は東芝製。個人向けとしてはau初のスマホ

 現在のようなAndroidスマホは、2010年11月に発売されたシャープ製の「IS03」からだ。3.5型(640×960ピクセル)のタッチパネルを搭載し、おサイフケータイやワンセグ、赤外線通信、キャリアメール(@ezweb.ne.jp)といった日本の定番機能に対応し、“メインで使えるスマートフォン”として市場に投入された。KDDIはIS03の発表時に「Android au」というキーワードを掲げ、反転攻勢を目指していた。

auスマホ振り返り 満を持して登場したIS03。Androidスマート“フォン”としてはau初。OSはAndroid 2.1。メインディスプレイの表示が消えても時計や電池残量を確認できるメモリ液晶を組み合わせた「コンビネーション液晶」を採用していた
auスマホ振り返り カラーはブラック、オレンジ、ホワイトの3色

 ちなみに、「IS04」は「REGZA Phone」であり、「IS05」はシャープ製の小型Androidスマホ、「IS06」は「SIRIUSα」で韓国Pantech製だった。

iPhoneの取り扱い開始!「INFOBAR」や「Windows Phone」も

 2011年になるとスマホが増えていく。最大のトピックが、KDDIもiPhoneの取り扱いを始めたことだ。

auスマホ振り返り ソフトバンクに続き、「iPhone 4S」からKDDIもiPhoneの取り扱いを開始した。当時の表記はSが大文字

 また、「INFOBAR」のスマホ版「INFOBAR A01」も注目された。ディスプレイは3.7型、カメラは805万画素。アプリのアイコンとウィジェットが整然と並ぶホーム画面は、インタフェースデザイナーの中村勇吾氏が手掛けていた。

auスマホ振り返り カラーはおなじみのNISHIKIGOIに、KURO、HACCA、CHOCOMINTを加えた4色。INFOBARらしさと使いやすさを両立していたタイルキーが印象的だった

 INFOBARブランドのスマホはこの他に、ストレートでテンキー付きの「INFOBAR C01」(2012年)、アルミフレームと3つのキーでINFOBARらしさを表現した「INFOBAR A02」(2013年)、正面にトリコロールカラーの静電式タイルキーをレイアウトした「INFOBAR A03」(2015年)がある。

 「Windows Phone IS12T」も印象深いauのスマホだ。メーカーは富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(現FCNT)で、OSにWindows Phone 7.5を搭載した世界初のスマホだった。3.7型のワイドVGA(480×800ピクセル)液晶を採用したコンパクトなモデルだが、Officeファイルの閲覧・編集やクラウドストレージサービス「Windows Live SkyDrive(現OneDrive)」といったMicrosoftのサービスを利用できた。

auスマホ振り返り Windows Phone IS12T。当時社長だった田中孝司氏が「じわじわじわじわ気持ちよくなってくる」と評し、“田中プロ”として推薦した

 国内初のWiMAX対応スマートフォンとして話題を呼んだ「HTC EVO WiMAX ISW11HT」、表示を外部ディスプレイや薄型テレビにミラーリング出力したり、独自のデスクトップ向けOS「Webtop」を活用するとPCライクに使える「MOTOROLA PHOTON ISW11M」、G'zOneブランドのタフなAndroidスマホ「G'zOne IS11CA」も登場している。現在も続く「ARROWS」や「DIGNO」の他、ドコモのスマホというイメージが強い「MEDIAS」のスマホも女性向け端末としてauから登場していた。

auスマホ振り返り au向けとしては初めて“F”を型番に持つスマホ、ARROWS Z ISW11F。動作が不安定な面はあったが、シーソー型の物理キーをはじめ使い勝手に工夫があった。
auスマホ振り返り 3.6型のワイドVGA液晶を搭載したG'zOne IS11CA。G'zOneでおなじみのセンサーアプリ「G'z GEAR」も搭載
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