ThinkPad i Series s30速攻レビュー

ThinkPad i Series s30は,B5サイズながら,ユーザビリティという面でも大きな進化を遂げた。スペック表に現れない部分を紹介する。

【国内記事】 2001年5月23日更新

 モバイルユーザー待望の“B5サイズのThinkPad”に新機種が登場した。「ThinkPad i Series s30」(以下,s30)は,i Seriesながら漆黒のボディを身にまとう,重さ1.45キロのサブノートPCだ(5月23日の記事参照)。

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 「とことん尖がったマシンにした」(日本IBMのPS製品モービル・コンピューティングの北原祐司氏)というs30の特徴を,写真を交えてお伝えしよう(詳細写真ページはこちら)。

ThinkPad 1124の後継機は最新仕様に

 s30は,位置付け的には「ThinkPad 1124」の後継機に当たる。スペックだけ見れば,大きく違うのはCPUクロックとコンパクトフラッシュスロットの有無くらいだ。

 しかしユーザビリティという面から見れば,「ThinkPad 240」のデザインを引きずっているThinkPad 1124に比べて,s30は大きく進化している。

 まず目立つのはキーボード周りだ。キーピッチが18.25ミリに広がった(ThinkPad 1124は18ミリ)ことも重要だが,IBM伝統の7列配列が採用されたのが一見して分かる。

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キーピッチの拡大に伴い,ボディの左右に少々はみ出るという特異なデザインとなった。キー配置のほかにも,センター・ボタンが設置され,トラックポイントを使って上下左右のスクロールに利用できる(拡大画像

 キーボードの7列化に伴い,電源ボタンは運搬中の誤動作を防ぐために中央に,その左にはインジケータと「ThinkPadボタン」「検索ボタン」「メールボタン」などが用意された。最新シリーズである「ThinkPad A」「ThinkPad T」「ThinkPad X」などと似たレイアウトが実現されている。キーボードライトも搭載した。

 ただし「半角/全角」ボタンなどの配置には苦しんだようだ。またB5サイズに大きなキーボードを載せたため,パームレストが極端に狭くなってしまっている。その解決策が,標準バッテリーにも付属する可動式のチルトスタンドだ。これによってキーボードが傾斜し,パームレストの不足を補う形になる。

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トラックポイントに指を当てると,手のひらはパームレストからはみ出てしまうが……

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回転するチルトスタンドによって,手のひらの置き場所も確保される

 ちなみに,B5サイズながらスピーカーはステレオになった。ただし位置は“まさにパームレスト”なので,音楽をスピーカーで聞きながらキーボードを打つのは少々厳しいかもしれない。

リカバリーにCD-ROMは必要なし

 CD-ROMドライブが内蔵されていないノートPCは,OSの再インストールが実にやっかいだ。たいていは純正のCD-ROMドライブが,リカバリーのためだけに必要だったりする。

 s30は「Disk to Disk」というリカバリー機能を搭載している。これは,いわばリカバリーCDの内容がHDDに書き込まれているようなもので,起動時に「F11」キーを押すだけでHDDからリカバリーが行われる。この機能はThinkPad Xシリーズにも搭載されており,いざという時に威力を発揮する。

 ただしs30でリカバリーできるのは,プリインストールOSである「Windows Me」だ。Windows 2000を導入して使おうと思っている人は,じきに登場すると思われるs30のThinkPadモデルを待つのもいいだろう。欲をいえば“OSのバックアップ”という意味で,現在のHDD内容をイメージ化してリカバリー領域に保存できるように進化してほしいものだ(もちろん,その分HDD容量は減ってしまうわけだが)。

コンパクトフラッシュスロットは下側

 s30は,TypeIIのPCカードスロットのほかに,コンパクトフラッシュTypeIIのスロットも備えている。ただし,注意してほしいのは上段がPCカードで下段がCFスロットだということ。

 スロットの外にはみ出るようなエクステンションタイプのカードを利用するときには,互いに干渉しないことを確認したほうがいい。

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CFスロットのほうはシャッターがついているが,なぜかPCカードスロットはダミーカード方式だ

無線LANか,イーサネット+IEEE1394か,それが問題

 s30を購入するに当たって,真剣に悩むのは「無線LANモデル」にするか「イーサネット+IEEE1394モデル」にするかだろう。理詰めでいけば,どの機能もPCカードで搭載できるものなので,最も利用頻度の高い機能を内蔵してしまえばいいということになる。

 ただし,もし無線LANを使ったことがないならば,一度その快適さを体験してから考え直すことをお勧めする。筆者は日常的に無線LANを利用しているが,職場と自宅の2カ所に無線LANのアクセスポイントを置いただけでPCの利用範囲が格段に増加した。せっかく軽量でバッテリー駆動時間も長いのに,利用できる場所がイーサネットケーブルに制限されるのはもったいない。

 大きなファイルの転送などで,11Mbpsの無線LANでは速度が足りない……というときだけ100Base-TのPCカードを使うというのはとても現実的だ。さらに付け加えておけばPCカードで無線LANを実現した場合,アンテナ部分がかなりボディからはみ出てしまう。s30は液晶の両脇に2つの無線LANアンテナをスマートに内蔵しており「PCカード型とはかなり感度が違う」(日本IBM)ことも考慮しておこう。

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無線LANモデルにもIEEE1394と書いてあるが,内部は結線されていない。残念

 もちろん,イーサネット+IEEE1394モデルを選んだ場合でも,

  • PCカード×1
  • CFスロット×1
  • ミニRGP
  • USB×2
  • ワールドワイド対応モデム
  • マイク/ヘッドフォン
  • 100Base-T
  • IEEE1394

 と実に豊富な外部インタフェースを持つことになる。ラインインやウルトラポート,ウルトラベースへの接続ポートこそないものの,上位機に迫る拡張性の高さだ。

このキーボードのs30は?

 さて,最後におまけ写真を1つ。これは発表会場で発見したs30だ。キーボード上部には「メール」ボタンや「検索」ボタンではなく,ボリューム調整のボタンが付いている。そして,動いていたOSはWindows 2000。貼ってあるシールや印刷は「i Series」とあるが……。

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[斎藤健二,ITmedia]

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