AirH"つなぎ放題の詳細は?(1/2)

5月21日,DDIポケットはAirH"に関する記者説明会を行った。これまで公開されていなかった詳細な情報に加え,128Kbpsパケット通信についての具体的な情報も初めて公開された。

【国内記事】 2001年5月28日更新

高性能基地局を生かした無線区間

 「AirH"」は7000円/月(年間契約1年めで5950円/月)で,最大32Kbpsながらつなぎ放題を実現している。効率よいパケット通信を採用したことに加え,既存のインフラにほとんど手を付けずに効率のよいネットワークを実現したことが大きい。

 AirH"では基地局にはまったく手を付けていない。DDIポケットの基地局はほかのPHSキャリアに比べてずっとインテリジェントになっており,ソフトウェアを書き換えることでさまざまな機能を付加できる。これがAirH"でも生かされた形だ。

 たとえば,32Kbps(PIAFS1.0)や64Kbps(PIAFS2.1)のデータ通信サービス導入時にも,DDIポケットは基地局には手を付けていない。さらに,新サービスの導入はほぼ全ての通話エリアで一斉に開始するのが慣習で,AirH"も例外ではない。

 これは32Kbps,64Kbps(PIAFS2.0)と新サービス導入のたびに基地局の改修を行ってきたNTTドコモ(旧NTTパーソナル)とは対照的で,NTTドコモではいまだに64Kbpsデータ通信が可能なエリアが限定されている。

パケット通信を実現できた仕組み

 PHSでは無線区間(基地局ー端末間)は1つの周波数を時間で分割し(TDMA),4スロットを確保している。1スロットは32Kbpsで,1つの通話,1つの32Kbpsデータ通信に利用される。4スロットのうち3スロットを音声通話や回線交換でのデータ通信,1スロットを制御用に使用している。ここでは便宜上前者を通話スロット,後者を制御スロットと呼ぶ。

無線区間(基地局ー端末間)
用途 速度
制御用 32Kbps
通話・データ通信用 32Kbps
通話・データ通信用 32Kbps
通話・データ通信用 32Kbps

 制御スロットは通常32Kbpsの20分の1程度しか使用していない。残りの帯域をデータ通信に使用すれば音声通話や回線交換でのデータ通信に影響することなく,最大で32Kbpsでのデータ通信が可能だ。AirH"のパケット通信はまずこの制御スロットを用い,複数の端末での共用も行う。

 さらに音声スロットも利用する。無線区間はそもそもDDIポケット所有であり,いくら利用しても追加コストは発生しない。そこで空いている音声スロットに限りパケット通信でも使用し,無線区間での帯域をさらに確保する。音声スロットはパケット通信に利用している場合でも,音声通話,回線交換でのデータ通信の発着信があればパケット通信を中止してあけわたす。

無線区間のスロット(AirH"の場合)
用途 速度
制御+パケット通信 32Kbps
通話・データ通信+パケット通信 32Kbps通信
通話・データ通信+パケット通信 32Kbps通信
通話・データ通信+パケット通信 32Kbps通信

 AirH"のパケット通信が無線区間のトラフィックやコストに与える影響は限りなくゼロに近い。従来どおり最大3つの音声通話や回線交換でのデータ通信に加え,複数のAirH"でのパケット通信にも対応できるからだ。

 無線区間に関しては,NTTドコモでもアステルでも自社の所有物という点はDDIポケットと変わらない。しかし新たな無線区間で新たな通信方式をサポートするには基地局を改修する必要があり,この点がDDIポケットと異なる。例えばアステルは64Kbpsデータ通信で独自方式を採用しているが,これは基地局の改修を避けたかったからだ。

 もちろん基地局に関してはキャリアごとの事情もある。DDIポケットは1基地局あたりのカバーエリアが広い高出力基地局を標準とし,自立電柱や建物の屋上を中心に基地局を配置した。これに対してNTTドコモは既存の公衆電話ボックスや電信柱,アステルは電柱を中心に基地局を配置している。NTTドコモやアステルは小出力基地局を中心に,コンパクトに抑える必要があり,DDIポケットのようにインテリジェントだが大きめの基地局ユニットが採用できなかったともいえる。

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