携帯と音楽は仲がいいのか悪いのか?(1)

最近,ポータブルCDプレーヤーやMDプレーヤーを持ち歩いていますか? では携帯電話は? あなたの耳を奪い合う携帯電話と音楽を両立させるための方法,教えます。

【国内記事】 2001年6月5日更新

 電車に乗ると,携帯でメールを打つ人の姿が目に入らない日はないという今日この頃。その一方で目にするのが減ったものがある。ヘッドホンで音楽を聴く人たちだ。携帯電話を持ち歩くようになってから,“CDプレーヤーやMDプレーヤーを持ち歩かなくなった”という人は多いのではないだろうか。

 音楽を聴いていると電話やメールに気付かないことが多い。電車の中で着信音を盛大に鳴らしておきながら,当の自分だけが気付かないというのは相当恥ずかしい姿だ。気づいたところで,今度はプレーヤーと携帯電話の操作が大変だ。再生を止め,ヘッドホンをはずし,着信ボタンを押す。これだけの作業を電話が切れる前にやらなければならない。これはかなり慌ただしい作業だ。

 CD/MDプレーヤーを持ち歩く人が減った理由は,以上のようなところではないだろうか。

ユーザーの耳を奪い合うもの

 “携帯電話が若者の娯楽を奪っている”という説がここ1,2年で主張されるようになってきた。「携帯電話にお金をかけるからほかにお金が回らない」という理屈だが,実はユーザーの耳が携帯電話のために占有されているという,物理面での事情も見逃せないのではないだろうか。

 特に外出時には,誰かと連絡を取り合うためにも携帯の方に注意が払われやすい。ポータブルオーディオと携帯電話はユーザーの「耳」という唯一のデバイスを取り合う直接の競合相手というわけだ。

 それを意識してか,昨年の秋ぐらいからポータブルオーディオにも携帯電話との両立を意識した製品が目に付くようになってきた。携帯電話側にもPHSの「M-stage music」や「SoundMarket」などの音楽配信端末など,音楽市場を取り込もうとする動きが出ている(5月23日の記事参照)。「ユーザーは外出の時に,どうやって電話と音楽を両立させるのか」この形を決める争いは,今年のポータブルオーディオ・携帯電話の両方の市場にとってホットな話題になるのは間違いない。

 音楽配信は確かに理想的な形の1つだが,まだ過渡期のサービスである。両立の形はほかにもいろいろ提案されており,それらが主流になる可能性もある。いくつかの「両立型」製品を取り上げて,今後の「快適なリスニング&ケータイ」環境の形を想像してみよう。

【その1】両立型ヘッドホンはどこまで使える?

 まず最初にピックアップしたのはイヤホンマイク付きヘッドホン「SE-HF03」(パイオニア製)。これに携帯もCDプレーヤーもつないで,ハンズフリー会話&リスニングを楽しもうというわけだ。

 多くの人は携帯もCDプレーヤーも持っているのだから,シンプルに環境を整えられるならその方がいい。なにせ音楽配信を受けるとなると端末も変え,課金もされ,録音メディアも新たに用意しなければならないのだから。

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パイオニア製のオープンエアー型ダイナミックステレオヘッドホンSE-HF03。価格は3300円

 このヘッドホン,CDプレーヤーなどに接続する部分が二股になっていて,そこから携帯のイヤホンマイク端子へのコードが伸びている。プレーヤーへのコードは短めに作られているが,これは同社の携帯型オーディオがリモコン付きであるのに合わせたもの。リモコンユニットのミニジャックに差して使用することを想定しているわけだ。ちなみにソニーなどは独自のミニジャックを使用しているので,変換プラグが必要となる。

 プレーヤーで音楽を聴いている時に携帯電話が着信すると,ヘッドホンの左側に着信音が流れる。携帯の着信ボタンを押せばそのまま手ぶらで話すことができるわけだ。

 が,テストしてみると意外なところに落とし穴があった。携帯が着信したとたん,両耳に携帯電話特有のブツブツノイズが入ってくるのだ。携帯オーディオの付属ヘッドホンと聞き比べてみると,どうもSE-HF03の方がノイズを拾いやすい。この現象はNTTドコモなどの800MHz機でのみ見られ,cdmaOneではそもそもノイズは聞き取れなかった。どうも携帯電話との相性があるようだ。

 また,電話を取ると会話は左耳のみからモノラル音声で聞こえてくるのも気になった。なにせ右からは以前と同じ音量でオーディオが流れてくる。うるさくて話が分からないのだ。自分でCDプレーヤーなどを取り出して音量を下げたり止めたりする必要がある。

 ユーザーは電話が鳴ったらできるだけ早く取りたいし,話をしながらカバンの中のプレーヤーを探すということもしたくない。携帯の音声はステレオにして欲しかったところだ。それが無理ならせめて右はミュートにするべきだろう。

 以上を除けば,ハンズフリーマイクやヘッドホンとしては満足できる仕様ではある。イヤーマウント式のハンズフリーヘッドホンはほかにはないし,オーディオ用のダイナミック型ユニットスピーカーは音楽だけでなく音声も高音質で再生してくれる。オーディオと接続しなければただのハンズフリーマイクとして使用することもできるので,ハンズフリー会話がしたいが,いかにも目立つあの片側イヤホンはイヤだという人には絶好のアイテムである。

 たしかに手軽に両立環境は構築できるが,ノイズの問題や,本記事では触れなかったが複雑に絡み合うコードの取り扱いなど,両立型ヘッドホンの行く道は険しい。安価で手軽な点は高く評価できる。特にドコモユーザーにとっては買う前に慎重なテストが必要な製品だといえそうだ。

 次回はさらに踏み込んだ挑戦的な製品にトライ! 果たして快適なリスニングと快適な電話環境は両立するだろうか? としたらそれはどんな製品なのか!? (続く)

[清瀬栄介,ITmedia]

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