使ってみましたAirH"でルータ接続──「つなぎ放題コース」を仮想テスト

8月29日に待望のAirH"「つなぎ放題コース」がサービス開始される。モバイルでのつなぎ放題はもちろん,デスクトップPCでの利用環境も整いつつあり地方部での常時接続手段としての注目度も高い。今回はNTT-MEのISDNルータ,「MN128 Slotin」との組合せでの使用レポートをお送りしたい。

【国内記事】 2001年8月10日更新

ルータ接続で固定回線と変わらない使い勝手に

 NTT-MEのISDNルータ,「MN128 Slotin」が最新ファームウェア(1.60)でAirH"対応の通信カード「MC-P300」に対応したことは既にお伝えした(8月1日の記事参照)。ルータ接続が可能になったことでAirH"の活躍の場が広がったことは間違いない。

 実は現時点でAirH"では「つなぎ放題コース」は利用できない。サービス開始は8月29日だ。しかし「ネット25」でも32Kbpsパケット固定,つまり「つなぎ放題コース」と同じ通信条件で接続することはできる。今回は32Kbpsパケット固定で接続を行うことで,未知の「つなぎ放題コース」の使い勝手を検証しよう。

 MN128 SlotinへのMC-P300の組み込みは簡単だ。背面の空きスロットに装着し,「モデムカード設定」でMC-P300を指定するだけ。特に標準状態から設定変更する必要もなく,追加設定などもなく利用できた。

 接続の設定もISDN回線を利用する場合と変わらない。通信チャネルでPCカードを指定するだけ。注意する点があるとすれば電話番号の指定で番号に続き「##61」(32Kbpsパケット通信の指定)を追加することを忘れないこと。「つなぎ放題コース」では32Kbpsパケット通信以外で接続すると別途通信料金が発生してしまう。この設定を忘れて常時接続を行うと酷い目に合うことになる。

 ここまで終了すれば後はISDN回線の場合と同じようにルータから接続させるだけ。一度設定を済ましてしまえば特別な作業は一切必要ない。後はルータの設定しだいで常時接続にすることも可能だし,オンデマンドで自動的にダイヤルアップ,切断を繰り返すことも可能だ。

 MN128 Slotinはテレホーダイ対応機能があるが,残念ながらこれはAirH"とISDN回線の自動切換えには利用できない。接続チャネルを切り替えることはできるが,接続IDやパスワードは切り替えられないのだ。テレホーダイタイムはISDN回線,それ以外はAirH"といった接続を自動で行わせるには別途フリーウェアやシェアウェアなどのユーティリティソフトなどを使うしかなさそうだ。

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MN128 Slotoinの下段スロットにMC-P300を差し込んだところ。きちんと型番まで認識されている

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モデムとしての設定部分。モデムとしてMC-P300を指定するだけで32Kbpsパケットでの接続もフレックスチェンジ方式での接続もすんなり利用できた

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接続先の設定。通信チャネルでMC-P300を差し込んだスロットを指定すれば,あとはISDN回線でのダイヤルアップと変わらない。電話番号の後の「##61」が32Kbpsパケット通信での接続の指定

現在ならスループットはほぼ理論値,実用性は使い方しだいか

 今回は実際にISPにprinを利用し,ルータ経由での32Kbps接続を行ってみた。スペック上は32Kbpsとはいえ,エアー部分(端末から基地局まで)はPIAFSと同じ29.2Kbpsが最大スループットになる。

 筆者は仕事場兼自宅ではADSL(フレッツADSL),編集部などへ出向いた場合には社内LANを拝借してインターネット接続を行う場合が多い。どう比較しても「つなぎ放題コース」の32Kbpsはかなり遅い。

 とりあえずメール送受信を行ってみたが,取り合えず添付ファイルのない文字中心のメールなら特に不満を感じる速度ではなかった。

 Webブラウズとなるとやはり普段との格差は明白だ。筆者はタブブラウザを常用しているが,どちらかといえば文字中心であるニュースサイトを同時に5つほど開いただけでもなかなか各トップページが表示されない。

 ブラウザをInternet Explorerに切換えて見たところ,我慢できるかな,という表示速度になった。いや筆者は普段が普段だけに「遅い」と感じることには間違いないのだが,これではWebブラウズする気にはならない,という表示速度ではないだろう。

 実際に受信スループットを計測するサイトで通信速度を計測してみたところ,平均値で26Kbps。エアー部分の最大速度が29.2Kbpsだから,オーバーヘッドなどを考慮すればほぼ理論値の通信速度。今後利用者が増加すると状況も変わると思うが,パケット通信だからPIAFSに比べて遅いということはなさそうだ。

 少々大きめのメールを送信し,送信スループットを監視してみたところ,約13Kbpsと受信のほぼ半分程度になった。32Kbpsパケット通信では送受信非対称という説明がされていたがこれが実証されたことになる。

 通信速度以上に気になるのはレスポンスの悪さだ。ISDN 64Kbps接続とpingで比較すると,おおよそ10倍ほどパケットの返り時間が長い。パケット通信の宿命的部分でもあるし(パケット通信の場合,パケットサイズまで送信データが溜まるか,一定時間が経過しないとデータを送り出さない),ISPも異なるので単純な比較はできないが,例えばネットワークゲームなどには向かないといえるだろう。Telnet接続の場合でもレスポンスの悪さは感覚的に分かってしまう。

 少々きついことも書いたが,コストと常時接続という利便性を考慮すればAirH"の32Kbps通信は悪くない。メールの送受信も巨大な添付ファイル付きでない限りそう遅いという感じはしないし,Webブラウズも1ページずつじっくり閲覧する分には実用的といえる範疇だろう。

 ルータ接続で複数PCから同時にインターネット接続するにはやはり通信速度が足りないが,現実には複数のPCがまったく同時にデータの送受信を必要とすることは少ないはず。SOHOレベルならぎりぎり実用の範囲といえるのではないだろうか。

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AirH"の32Kbpsパケット通信接続の場合の受信速度計測結果。平均で26Kbpsを記録していることと,受信速度にムラがないことが分かる

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こちらはISDN回線で64Kbps接続した場合の受信速度測定結果。32Kbpsパケット通信のおおよそ倍の速度だ

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上半分がAirH"の32Kbpsパケット通信,下半分がISDN64Kbs接続でZDNetに対してpingコマンドを発行したところ。AirH"のほうはエコーバックの時間が10倍以上かかっている

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送信速度を計測するサイトがないので,実際にメール送信時の通信速度を測定。13Kbps,と受信の半分といったところだ

[坪山博貴,ITmedia]

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