携帯を財布にする──KDDIなど決済連動型モバイルコマースを2002年春

2002年春には携帯電話が財布になる? KDDIなど6社はモバイルコマースの実現を目指し,1万人という大規模な実証実験を行う。

【国内記事】 2001年8月22日更新

 icePAY Japan,KDDI,イーバンク銀行,伊藤忠テクノサイエンス,韓国のWoori Technology,プロシードは8月22日,携帯電話を使ったモバイルコマースサービス「icePAY」を2002年春を目処に開始すると発表した。これに先駆けて,今年11月より1万人が参加する実証実験を行う。

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icePAYモジュールを装着した携帯電話を手に持った,icePAY Japanの斎藤良弘社長

 特別な携帯電話を使うのではなく専用のモジュールを利用することで,既存の携帯電話が利用でき,モバイルコマースだけでなく実店舗の決済にも簡単に利用できるのが特徴。ユーザーはKDDIのcdmaOne端末にicePAYモジュールを装着することで自動的にサイトに接続し,サイト上で商品を購入できる。代金は即座に銀行口座から引き落とされる。

 icePAY Japanの斎藤良弘社長は「(現在のモバイルコマースは)決済がクレジットカードだったり,コンビニ決済だったりする。icePayを使えば,商品を購入した店舗ですぐに決済できる。銀行入金なのですぐに出入金が行われる」と,従来方式に対するメリットを説明する。

 KDDIも開発時から全面的に協力し,「日常的に使われるトラフィックを,この新たな市場の中から作っていく。日用品,例えばトイレットペーパーからガムなど,100円10円のものまで携帯電話で決済するというコンセプトで参加する」(KDDI商品企画部の原口英之氏)と意気込む。

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icePAYのサービスイメージ。現在,実験に参加予定の企業はNEC(BIGLOBE)や翔泳社,キューサイなど17社。実店舗でのサービスは,タクシーの決済を行うフットコールや沖縄県国際通り商店街など3社が提供する(拡大画像

モバイルコマースに加え,実店舗でも

 icePAYはInternet Certification Paymentの略。携帯電話のインターネットサービス(KDDIのEZweb)上から個人認証を行い,ショッピングを行うと銀行口座から即座に決済が行われるというモバイルコマースを実現する。

 モバイルコマースで課題とされるセキュリティに関しては,韓国Woori Technologyが開発した小型モジュール「icePAYモジュール」を携帯電話に接続することで解決する。

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icePAYのまさにキーとなるこのモジュールのコストは1個当たり1000円未満。商用化時には数百円のレベルまでコストダウンを図るという

 icePAYモジュールには独自開発の暗号アルゴリズムが搭載されており,認証ごとに異なった「可変番号」が生成される。携帯電話ごとに決まっている「携帯電話識別番号」,ユーザーが指定した「暗証番号」とモジュールが生成した「可変番号」の3つを組み合わせて高度なセキュリティを実現する。

 また,モジュールと携帯電話は認証センター側で一組として登録されており,「仮にこのモジュールを紛失しても,ほかの携帯電話に使おうとしても受け付けされない」(icePAY Japanの斎藤良弘社長)という。

 もう1つ,このモジュールを利用することで実店舗でも決済が可能になっている。加盟店には決済用の特別な携帯電話が用意され,商品購入時にモジュールを加盟店に手渡すことでモバイルコマース時と同様に決済が行われる。

 さらにモジュールには特別なURLを埋め込むことができ,携帯電話にモジュールを挿し込み,ボタン1つであらかじめ設定されたサイトにアクセスすることができる。

 モジュールを無償で配布するか有償にするかはビジネスモデルしだいだが,URLを埋め込めることを生かして,参加するショッピングモールが自社のサイトを埋め込んだモジュールをユーザーに配布するような方法も考えているという。

 モジュールが対応する携帯電話は,「イージーパレット」(9月28日の記事参照)に対応したC309H以降のcdmaOne携帯電話。「C309H」「C401SA」「C404S」「C405SA」「C406S」「C407H」「C409CA」「C411ST」「C412SA」「C413S」「C451H」の11機種となる。

イーバンク銀行はネットバンキングサービスも

 実験を行う6社の役割は以下の通り。

icePAY Japan icePAYモジュールを使ったサービス,認証代行ビジネス
KDDI サービスモデルの構築支援,モジュール接続インタフェースの開発支援
イーバンク銀行 ネット決済サービス,ネットバンキングサービス
伊藤忠テクノサイエンス システムの構築全般にわたる支援
Woori Technology icePAYの認証システム,モジュールの開発/製造
プロシード 実証実験の企画・運営支援

 イーバンク銀行は決済専門銀行という特性を生かして,icePAYでの決済を一手に引き受ける。合わせて,従来からの構想だったという「メールを使っての携帯間の送金サービス」も行う。

 プロシードとWoori Technologyの合弁会社であるicePAY Japanは認証代行を事業の中心とし「スタート時はKDDIのみだが,来年の春の段階ではほかのキャリアへの展開も積極的に考えていきたい」(斎藤社長)という。

 KDDIの原口氏も「初年度100万人ほどのアクティブユーザーを見込んでいる。実験の1万人という規模は,その意思の現れだと思ってほしい」と力の入れ具合を表現する。

 現在でこそ携帯電話にモジュールを接続するタイプだが,icePAY Japanの斎藤社長によると「次世代端末になっていけば,UIM(用語)などを使ったソリューションもあり得る。内蔵型やソフトウェアタイプのものも考えていきたい」という。

[斎藤健二,ITmedia]

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