サン・マイクロシステムズが語る次世代CLDC/MIDP──mobidec 2001

次世代のCLDCではセキュリティマネジャの搭載など，MIDPではHTTPS通信のサポートなどが検討されているようだ。

【国内記事】

2001年8月30日更新

　「mobidec 2001」（MCFモバイル・デベロッパー・コンファレンス2001）では8月30日，サン・マイクロシステムズのソフトウェア＆テクノロジー営業統括本部の門間純一氏がモバイル環境のJavaとJava最新動向について講演した。

サン・マイクロシステムズのソフトウェア＆テクノロジー営業統括本部，システム技術グループの門間純一氏

CLDC/KVMとは？

　門間氏の講演は，情報家電におけるJavaの背景説明から始まった。Java 2には大きく分けて3種類──Enterprise Edition（J2EE），Stadard Edition（J2SE），Micro Edition（J2ME）が存在する。これらのうち，J2MEが携帯電話も含む情報家電向けの仕様になる。

　従来のJavaでも，PersonalJavaとEmbeddedJavaがあったが「Personal Javaはかなりのメモリやフラッシュメモリの容量を必要としている。携帯電話とはハードウェア的にミスマッチだった」と門間氏は説明する。また「（組み込み向けの）Embedded Javaは具体的な仕様がなく，メーカーがAPIを決めていた。オープンスタンダードという点で問題があった」と言う。

　そんな中で携帯電話のハードウェアに合わせて，Personal JavaよりもCPU性能やメモリ容量の要求を減らしたのが「CLDC/KVM」（用語）と呼ばれる仕様だ。

　またPersonal Javaの後継として，ハイエンドなハードウェア資源を持つ情報家電向けに「CDC/CVM」という仕様も作られた。

CLDC
ROM	128K〜512Kバイト
RAM	64K〜128Kバイト
JavaVM	KVM
API	Java2 SEサブセット

　現状のCLDCでは，未サポートとなっている機能も多い。

CLDC未サポート機能

浮動小数点

Java Native Interfae（JNI）

Reflection

スレッド・グループ

Finalization

Weak References

ユーザー定義クラスローダー

　JNIのサポートはセキュリティ的な観点から見送られた。またAPIはJ2SEのサブセットではあるが，セキュリティの問題となる可能性を持つAPIも外された。「ファイルシステムを直接アクセスするAPIなどでは，携帯電話のアドレス帳が見えてしまう」（門間氏）

　また事前検証（Preverify）が必要なのもCLDCの特徴だ。アプリケーション実行時にVerificationを動かすとメモリをたいへん必要とする。Preverifyによってクラスファイル（attribute）へstack map情報を付加することで，「その分クラスサイズは（5〜10％ほど）大きくなるが，（メモリサイズが小さい）携帯電話には有効だ」（門間氏）という。

次世代のCLDC，MIDPは？

　門間氏は「あくまでドラフトだが」と断った上で，次世代のCLDCやMIDP（用語）がどのように拡張される方向にあるのかも解説した。

次世代CLDC

Java言語仕様，JVM仕様に準拠

最低限必要な機能をサポートするセキュリティマネジャの検討

Class Unloadingのサポート

API拡張は行わない

　Java言語仕様に準拠することで，CLDCになかった浮動小数点やエラー処理などが搭載される。また，セキュリティマネジャを搭載することで「現在は危険なAPIは仕様から排除しているが，次は認証などを用いて利用できるようにしたい」（門間氏）という。API拡張は行われず，「データタイプでFloating pointが使えるなど」だという。

次世代MIDP

ドメインセキュリティモデル

HTTP

ネットワーク接続（Socket/Datagram）

OTA（Over The Air Provisioning）

Pushアーキテクチャ

UIの拡張

XMLパーサー

サウンド機能

　現在J-フォンやKDDIのJavaサービスに採用されているMIDPではHTTP通信しかサポートされていない（KDDIはHTTPも未サポート）（8月30日の記事参照）。次世代のMIDPではiアプリのようにHTTPS通信がサポートされる模様だ。

[斎藤健二，ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

---