FOMAカードで複数端末を使い分け?

電話番号を記録した小さなICチップ「FOMAカード」。このFOMAに挿入されたカードを入れ換えることで,電話番号はそのままで複数の端末を使い分けることが可能になる。

【国内記事】 2001年10月16日更新

 FOMAに採用されているUIMカード「FOMAカード」(用語)は,単なるメモリカードではない。携帯電話の販売形態を変えるほどの可能性を秘めているカードだ。

 FOMAカードでいったい何が可能なのか,その機能と可能性を探ってみた。

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FOMAカード。正確には,左の小さな部分が本体だ。大きさは親指の先くらい。FOMA端末はFOMAカードを差し込むことで初めて動作する

電話番号はFOMAカードに

 通常の携帯電話の場合,電話番号は携帯電話内部に書き込まれている。そのため機種を変える場合などは,電話番号の登録情報を新端末に移し変える作業が必要だ。

 FOMA端末では,電話番号はFOMAカードに記録されている。契約も端末とではなくFOMAカードと行う形になる。そのためFOMAカードを入れ替えることで,複数の端末を同じ電話番号で利用可能だ。

 現実にはなかなかあり得ない例だが,普段はスタンダードタイプのFOMA端末を使い,テレビ電話が必要なときだけFOMAカードをビジュアルタイプ端末に差し替えて使う……ということも可能。相手から見れば,電話番号やメールアドレスなどは同一だ。

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FOMA N2001のFOMAカードは電池パックを取り外して差し込む

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FOMA P2101Vでは電池パックを取り外したあと,ふたを上げて装着する。ふたは華奢なつくりなので,破損に注意

FOMAカードを交換すると?

 実際にFOMA端末間でFOMAカードを交換して使うと使い勝手はどうなのか。

 N2001とP2101Vの間では,簡単に交換して利用できる。ただし端末とカードの組み合わせにより,機能に少々違いがあるのには注意。N2001ではSMS(ショートメッセージサービス。従来のショートメッセージに当たるもの。N2001でのみ利用可能)をFOMAカードに保存できるが,P2101Vではそれらを確認できない(9月25日の記事参照)。

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N2001のメール受信BOXの画面。SMSは通常のiモードメールと同じメールボックスに保存される。FOMAカードに移動したSMSメッセージにはアイコンが付くようになっている。どちらのメモリに格納されているのかを特に意識することなく閲覧可能だ

 またN2001は本体内のアドレス帳のほかに,FOMAカードにもアドレスを登録できる。こちらは残念ながら本体のアドレス帳とシームレスに扱えるわけではなく,「電話帳」メニューからどちらのアドレス帳を使うのか,切り替える必要がある。

 FOMAカードのアドレス帳は,メモリ容量の関係から本体のアドレス帳より簡便なものだ。1件につき電話番号とメールアドレスを1つづつしか登録できない。また合計で50件しか登録できない(本体は700件)。

項目 本体 FOMAカード
登録件数 700件 50件
×
グループ
電話番号 5個 1個
メールアドレス 1個 1個

 ただしグループ名は本体とFOMAカードに共用となっており,片方で変更するともう片方も同時に変更されるようだ。

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アドレス帳は本体とFOMAカードのどちらを使うか切り替えて使う

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FOMAカードのアドレス帳にはこれだけの情報しか登録できない。ただし本体のアドレス帳にコピーすることはできる。逆に本体からFOMAカードにコピーする場合,「一部のデータがコピーされません。コピーしますか?」と聞いてくる

データタイプのFOMAカードは?

 PCカード型のデータ通信専用カード「P2401V」でも,もちろんFOMAカードは使われている。このFOMAカードをスタンダードタイプやビジュアルタイプの端末に挿入したらどうなるだろうか?

 データタイプ端末のFOMAカードをN2001に挿入してみたところ,電話はかけられなかった。それもそのはず。データタイプ端末を購入したときのプランは「FOMAデータプラン22」。こちらは音声通話をサポートしないプランだからだ。ちなみにN2001のSMSは利用できた。

 音声通話はできないが,P2101Vに挿入してみると,テレビ電話は可能だった。これはテレビ電話が音声通話ではなく“64Kデジタル通信扱い”であるためのようだ。iモードも利用できなかったが,これはiモード契約をしていないのが原因のようだ。

FOMAカードがもたらすもの

 このように複数の端末を,1つの契約で切り替えて利用できるFOMAカードだが,現在のところ活用は難しい。というのも,端末単体での販売はかなり高額になるからだ。

 そもそも,FOMAカードに対して契約を行い,自分の好きな端末を購入して,組み合わせて使えるのがFOMAカード採用のメリットだ。しかし,現状では端末とFOMAカードのセット販売がメインで,入れ換えてもあまりありがたみはない。

 単体で販売されているFOMA端末は,契約とセットの時よりも大幅に価格が上がってしまう。新規契約時には通信キャリアからコミッションと呼ばれる報奨金が出るからだ。

 FOMAカードはUIMというIMT-2000の規格で定められたカードで,IMT-2000を謳う端末ならば同じカードが利用できることになっている。つまりJ-フォンのIMT-2000端末にドコモのFOMAカードを差し込めば,ドコモの電話番号でJ-フォン端末を使えるということだ。

 しかしドコモは「キャリアロック」と呼ばれる仕組みを使い,FOMAカード,端末共にドコモのものでないと利用できないように設定している。「第3世代携帯電話では番号を変えずに好きなキャリアを選べる」という誤った噂が広まったこともあったが,それは不可能だ。キャリアロックがかかっていなかったとしても,iモードに代表されるネットワークサービスは各キャリアで大きく仕様が異なっており,他社のハードウェアからアクセスするのは難しいはずだ。

 今のところは活用が難しいFOMAカード。ただしFOMAの2世代目が登場したときには,機種変更がより簡易になる可能性はある。新しい端末を契約なしで買ってきて,カードを入れ換えればいいからだ。ただしFOMA2世代目がどのくらいの価格で単体販売されるかは明らかになっていない。

[斎藤健二,ITmedia]

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