第3世代携帯電話はなぜ高い?──KDDIの回答W-CDMA方式を使うFOMAは,システムの成り立ちからいって,安価にはできない。対して,そもそもデータ通信を安価に行うことを目指して作られたCDMA2000 1xEVは,W-CDMAの2.5倍もの通信効率を持っているという。
NTTドコモがスタートさせた第3世代携帯電話サービス「FOMA」では,リッチコンテンツが扱える速度は手に入れたものの,そのコスト体系は第2世代とあまり変わらないものになってしまった(9月5日の記事参照)。「大容量の高速データ通信や携帯テレビ電話が実現」というのがドコモの売り文句。そこにはコストはまったく触れられていない。 このやり方に真っ向から反対するのがKDDIだ。「求められているサービスを安く支えられるインフラであれば(ほかはどうでも)いい」とコストを強く打ち出すのは,KDDIのau技術本部技術企画部長,沖中秀夫理事だ。 NTT-AT主催のシンポジウム「モバイル・インターネットの最新動向と今後の展望」にて「EZwebとCDMA2000が目指すモバイル・インターネットの世界」と題した講演を行ったKDDI,au技術本部技術企画部長の沖中秀夫理事 既にケータイは単なる“電話”ではない沖中氏は「まだ次世代携帯電話,イコール新しいインフラという捉え方をしている人が多い。もう違うのではないか」と語る。 「既に携帯電話は単なる電話ではない。マルチメディア化している。しかしできあがったシステムを見れば,必ずしもマルチメディアに向いていない」(沖中氏) そもそもFOMAに代表される第3世代携帯電話の研究は,デジタル携帯電話が登場した頃から始まっていた。「第3世代携帯電話は,発想としては7,8年,過去を引きずっている」(沖中氏)。インターネットの隆盛以前に作られたこれらのシステムは,既に時代遅れになっているというのがKDDIの主張だ。 確かに現在のFOMAサービスを見ても,テレビ電話には向いているが,現在マルチメディアを意味する“安価で高速なインターネット”を実現するには向いていないシステムのようだ。
沖中氏は「スピード的には100〜300Kbpsで十分。問題はスピードだけじゃない。単価だ」と言い切る。沖中氏がここまで自信を見せるのは,KDDIが導入予定のCDMA2000 1xEVが抜群のコストパフォーマンスを持っているからだ。 FOMAのW-CDMAはインターネット以前のシステムなぜドコモなどの第3世代携帯電話サービスが高いかというと,「ひとえにインフラを作るのにお金がかかっているから」(沖中氏)だ。 沖中氏によると,FOMAのW-CDMAもCDMA2000 1xもインターネットが大ブレイクする前からの構想であるため,速度対称型の回線交換データを指向しており,“速度上下非対称のパケット型”というインターネットの特性には向いていない。 それぞれISDNに似た“音声もデータも同じシステムで転送する”という統合型のため,データトラフィックが極端に増加すると,音声通話の品質が落ちてしまう。そのため,常に余裕を見ておかなくてはならない。このように多様性,柔軟性が高いシステムは,逆に低効率化につながる。 対して,CDMA2000 1xEV(HDR)は,高速パケットデータ通信に特化,最適化したシステムだ。音声通話はできず,“インターネット型のデータ通信”に特化するため,高効率化を実現できるという。 「(両者共にKDDIが提供する)ブロードバンドのDIONと,携帯のauをコンバージョン(転換)する。その道具がCDMA2000 1xEVだ」(沖中氏) また沖中氏はCDMA2000 1xEVとW-CDMAを比較して効率性をアピール。「1Hz当たりの利用効率で見ると,CDMA2000 1xとW-CDMAは同程度。しかしCDMA2000 1xEVは2倍以上も効率がいい」(沖中氏)
「少々乱暴な言い方だが,電波を出すためのコストが同じならば,(CDMA2000 1xEVでは)コストが(W-CDMAの)2.5分の1になる」と沖中氏は語る。 KDDIは2002年度中にCDMA2000 1xEVを導入し,定額制も考慮すると語っている。最大2.4Mbpsのスピードは果たしていくらで手に入るのだろうか。 [斎藤健二,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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