PDA業界注目のメール通知システム「Wake-Up System」――ドコモと組んで標準化へ?

最近メールが届くと同時にユーザーに知らせてくれるシステムを搭載したPDAが登場し始めている。このシステムの開発の経緯を見てみよう。

【国内記事】 2001年10月25日更新

 アイコンはPDAでプッシュ型配信を実現するシステム「AICON Wake-Up System Ver1.0」を発売した。メールなどをプッシュ型で取得することが可能になるシステムで,現在「SigmarionII」(9月7日の記事参照)やカシオペア「E-800」(企業向け),ザウルス「MI-E1」(2000年11月21日の記事参照)などが対応している。

 AICON Wake-Up System Ver1.0では,サーバ側の情報が更新されるとプッシュサーバの呼び出し機能が働き,通信カードを装着したPDAを自動的に起動する(Wake On Ring機能)。PDAは最新の情報や画像を取得後に,再びスリープする。これにより,ユーザーは従来のように届いているかどうかも分からないメールをいちいちサーバにアクセスする必要なく,必要な情報をタイムリーに入手することが可能になる。

 メール以外にも「Auto Web Recorder」と組み合わせることで,設定時間になると予約したWebページを自動的に巡回・コンテンツ情報を取得させることもできる。現在,NTTドコモと共同で特許出願中だという。

以前にもPC向けシステムが存在したが……

 アイコンはAICON Wake-Up Systemの開発経緯について,次のように話す。

 「実はこのWake On Ringのシステム自体は,多くのメーカーが参加して作られた『モバイルコンピューティング推進コンソーシアム』(MCPC)で,ノートPC向けとして以前から既に開発されていた。しかし,ノートPCでは情報取得後,起動に時間がかかることもあり,うまく普及しなかった」(アイコン)

 「その後Pocket PCが商品化されるのに伴い,NTTドコモが『過去にこういったサービスがあったらしい』ということで,うちに話を持ってきた。これを利用して,データ通信とハードウェア側とうまく結びつけるようなミドルウェアを開発できないか,ということだった」(アイコン)

 こうしてアイコンは技術面を担当することになり,規格の面はNTTドコモやカシオ計算機,NECなどの主導により進められた。完成したAICON Wake-Up System Ver1.0はドコモのPDAであるsigmarionIIやカシオ計算機のカシオペア「E-800」などに対応しており,サーバ側ではWindows 2000やLinuxのOSのサーバに対応している。

 ノートPC向けに開発された過去の技術が,時を経てPDA向けに応用されることで,復活をとげたといえるだろう。

ドコモにより標準化の道へ?

 アイコンはまた,NTTドコモと共同で特許を出願していることについて次のように話す。

 「今回ドコモと共同で特許を出願したのは,システムの普及を狙ってのこと。自社のみで特許をとるよりもドコモのネームバリューがあったほうが,広まりやすいと判断した。他社もドコモがからんでいるとなったら,下手に動くこともできないだろう」(アイコン)

 ただし,特許を取ったことが“ドコモ専用技術”ということを意味するかというと,それは違うという。

 アイコンは「デファクトスタンダードにするのが目的であり,ほかのキャリアでは使えないということではない」と明言する。

 今月に入ってPocket PC 2002も発表され(10月5日の記事参照)6社が参入を表明するなど,ますます市場の拡大が期待されるPDA市場。その中でアイコンは,ドコモと組んでシステムの標準化を目指す。

[杉浦正武,ITmedia]

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