SH505iS特集

1秒でピント合わせ〜SH505iSのAFを解剖する

 202万画素にオートフォーカス(AF)は必須。そうした考えから、超小型のAF機構を盛り込んだ「SH505iS」だが、その性能はどうなのだろうか。

リニアモーターによってレンズを駆動〜AF機構

 SH505iSのAFは、「いわゆるリニアモーター」(商品企画部の田中主事)によって、レンズを前後に動かすことでピントを合わせている。

 「レンズが直線移動する。0.3〜0.4ミリ程度の動きで、接写から無限遠までピントを合わせる」(技術部の奥村政雄係長)

リニアモーターを使ってレンズを駆動して、ピントを合わせる。動作はかなり高速だ

 シャッターボタンを押す、あるいはフォーカスロックボタンを押すと、レンズが動き、ピントが最も合うところで止まる。その速度は「最大の場合で1.5秒。目安としては1秒」と、かなり高速だ。

 では、レンズを動かしてどうやってピントを合わせているのか。「画面の中央部分のコントラストを取り出して、結果の一番ピークと思われる位置にレンズを置く」(ソフト開発部の田島浩二主事)という、いわゆるパッシブ型のコントラスト検出方式を使っている。

 コントラスト検出方式の場合、暗い場所など画像が鮮明でない場合に検出が難しいといった制約もある。そうした場合に役立つのが、「AFモード切替」だ。

 「標準」のほか、「接写」「人物」「風景」「マニュアルフォーカス」が用意され、シチュエーションによって使い分けることでピント合わせの速度アップ、検出の精度が高まる。

プレビュー画面で[7]キーを押すと、AFモードが切替られる(左)。マニュアルフォーカスを選べば、4方向ボタンの左右でピントを調節できる(右)

 「例えば風景ということであれば、最初からある程度遠くのものしか撮らないということで、ピントを合わせる範囲を1メートル以上にしてしまう。これによって認識する範囲──時間を短くすることができる。あとは夜景など、万が一失敗したときにも、それなりに、今までの1Mクラスと同等のピントが来るようになる」(田島氏)

AFモード ピント範囲
標準20センチ〜無限遠
接写10センチ〜20センチ
人物20センチ〜50センチ
風景50センチ〜無限遠

 基本的には「標準」のままで、近くから遠くまでピントが合う。AFモードを切り替えることで、レンズの動く範囲が狭くて済むため、速度がアップするというわけだ。マニュアルフォーカスも用意されているため、意図的にピントを調整するのも簡単になっている。

 ビデオカメラのようなAFの連続動作は、消費電力との兼ね合いもあって見送られたが、動画撮影時も「シャッターボタンの半押しを1秒以上すれば、AFが動作する」(田島氏)作りだ。

ソフト開発部の
田島浩二主事

 ちなみに、AF機構など目立つ機能付加のほかにも、目に見えないところでの改善も施されている。例えば、暗い場所での撮影だ。“暗いところに弱い”というのは、フラッシュを備えない携帯カメラの弱点だが、「SH505iS」は薄暗い場所での撮影も難なくこなす。「フレームレートを落とさずに、暗いところの画質を上げている」と田島氏。

 さらに処理速度も向上させた。画素数は2倍になったが、画像処理を高速化させ、速度低下を防いでいる。そして、「カメラの立ち上がりも速くなっている」(田島氏)。

絵作りはナチュラルな方向へ

 携帯搭載カメラの高性能化が進むに従って、無視できなくなってきたのが“絵作り”の方向性だ。同じレンズ、同じCCDを使っていても、このチューニングによって画質はかなり変わってくる。シャープのカメラは、コントラストはそれほど立てず、鮮やかで発色のいい表現が特徴だったが、「SH505iS」はどんな絵作りがされているのだろうか。

 「画質はナチュラルな方向へ」と田中主事。

 これまでシャープの絵作りは、カメラで撮影した画像が液晶画面上で美しく映ることを主眼としてきた。「人の肌の色が一番きれいに見えるように」(田中氏)という方向性だ。

 今回の「SH505iS」では、「今までの足りなかった部分として印刷を意識したチューニング」(田中氏)を最重要視している。開発のラスト数カ月は、写真を撮って印刷し、デジタルカメラで撮ったものと並べて比較。チューニングを行う……ということを繰り返してきたという。

 「他社のカメラ付き携帯やデジカメと同じ被写体を撮って負けていたら、チューニングのやり直し。しかし、今回はそういうのはあまりない」

 田中氏は、長期間かけてチューニングしてきた「SH505iS」の画質に相当な自信を持つ。「A4版まで引き延ばしても堪えます」──この言葉に、カメラとしての「SH505iS」の出来のよさが象徴されているだろう。