ケータイの電池は強くて長持ち! そして燃えない??最近悲しかったこと。私はauの着せかえケータイをメインで使っているのですが……電池パックが交換になるそうですね。くすん。今回そのニュースを聞いて,電池パックを外してみたのですが,いろんな記載があるんですよね。はい,じゃ皆さんもご自分の携帯の電池パックに注目! そこで問題です,“Li-ion”とは何でしょう?
こんにちは! もばいるのつくりかた第10回です。おっと,もう10回になるんですね,早いなー。 さてさて,今回は携帯電話の“電池”に注目です。 私はauの着せかえケータイをメインで使っているのですが,電池パックが交換になるとのことで,ちょっと悲しい今日この頃(7月4日の記事参照)。今回そのニュースを聞いて,電池パックを外してみたのですが,改めて見るといろんな記載があるんですよね。型名に商品コード,製造番号などなど。 調子に乗った私は,ついでに友人たちの携帯の電池パックも外してみました。型名などが違うのは当然として,機種によってボルト数が違ったりもして,みな記載内容はバラバラです。 なのですが,1点だけ,同じところがあるんですよね。それが「Li-ion」という文字でした。皆さんは,これが何だか知っていますか? ●●● Li-ionって何のこと?ということで本日来ていただいたのは,いつも「もばいるのつくりかた」の相談に乗ってもらっている電気関係の現役エンジニアの……あ,匿名希望ですか?(笑),通称「ケータイ博士」さんです。よろしくおねがいしますね。 「やー,ども。こちらこそよろしく。今回は携帯電話の電池のお話ですね」 そう! 早速ですが「Li-ion」って,何のことなのでしょう? 「それは,電池の種類のことだよ。“リチウムイオン”って聞いたことない?」 あ,それは聞いたことがあるかも。携帯電話は,昔は1日くらいしか電池が持たなかったそうですが,今では充電をするのを忘れてしまうくらい持つようになりましたよね。それは「リチウムイオン」になったからだ,って。 「本当は,携帯の電池が長持ちするようになった理由は電池だけじゃなくて,携帯自体の省電力技術も大きいんだけれども,確かに電池自体の進化って一番大きな要素だからね。それじゃ“リチウムイオン”て何なのかな?」 えーと,それは……リチウムが,イオンなんでしょう,やっぱり。 「なんじゃそりゃ。知ったかぶりはしなーい!」 す,すみませーん! ●●●電池についてのおさらい「じゃあ気を取り直して。まず聞くけど,絵本さんは充電池って初めて使ったのはいつですか?」 うーん,「充電」の思い出というと,小さい頃に使っていたラジコンかな? 一晩かけて充電していました。それと高校生の頃のウォークマン。これは今でも使っていますけれども……。 「あ,いい感じのお返事ですね(笑)。そう,それって充電池なんです。正しい用語で言うと,充電池は“二次電池”と言うんだけどもね。パワーをチャージして再利用可能,という意味だね。それで,おそらくその当時だと,ラジコン用は“ニッカド(NIi-Cd)”電池で,ウォークマン用は“ニッケル水素(Ni-MH)”というタイプかな。どちらもリチウムイオンじゃないなぁ」 うーん,「ニッカド」というのは聞いたことがあるかも。でも電池は電池じゃないの? 「確かにニッカドもニッケル水素も,リチウムイオンも二次電池であることには変わりはないんだけれども,それぞれの名前はその二次電池に使用されている素材の名前なんだ。それぞれ特徴があって,ダントツで充電したときのエネルギー密度が高いのがリチウムイオン。小さくても,高い電圧が確保できて,たくさんの電力を充電できる。だから,簡単に言えば,リチウムイオン電池を使うと小さいけれど大きな電池を付けてるのと同じになるんだね」 ふむふむ。じゃあ,今はもうリチウムイオン電池が全盛なのかしら? 携帯とか,パソコンってほとんどそうなんでしょう?ニッカド電池なんて古いふるい!って感じなのかな? 「いや,ニッカドもニッケル水素もまだまだ現役だよ。リチウムイオン電池はすごいんだけれども,比較的値段が高いし,手軽に使えるという点ではほかの電池もいいしね。要は適材適所。でも小型化が進む携帯電話の場合,ほとんどがリチウムイオン。でも,外国の携帯にはまだまだニッカドを使っているものも多いね」 ●●●リチウムイオン電池の特徴「リチウムイオン電池が実際に市販されるようになって,まだ10年と経っていない。でも,電池の研究をしているメーカーの技術者には,電池の原理として“リチウムイオン(みたいな仕組み)にすれば電池はもっと高容量のものが作れる”というのは分かっていたんだ」 ケータイ博士によると,リチウムイオンの「ここがすごい!」というのは主に以下の点なのだそうです。
1. に関しては,小さい携帯電話を作っても長時間の待ち受けができるということ。2.については,特にパソコンなどは(低電力・低電圧化は進んでいるとはいえ)高い電圧で動作する部品が多いことから,メリットがあること。そして3は……あの,「メモリ効果」ってなんですか? 博士ー? 「うん,たぶん今の30代以上の人は経験があるんじゃないかな? 電気ヒゲそり機とか,ほかのものでもいいんだけれど,充電した電池は電力がカラになるまで使い切ってから充電しないと“電池が弱る”ってよく言ったんだよ。具体的に言えば“充電できる電力が少なくなる”(電池がもたなくなる)ということがあったんだ。だから,僕らはリチウムイオンが登場する以前は,充電してあるのを使い切ってから(完全放電),充電したもんだよ」 つまり,たとえばいっぱいに充電して半分しか使わないで,また充電,と繰り返していると,もともとの容量の半分しか使えなくなるように「メモリー」されてしまう,ということかしら? 「そうだね。だから,賢いニッカドやニッケル水素充電池の充電器は,充電機に電池がセットされた時に“あ,まだ電力が残っているな”と分かると,放電してから充電するようになっているんだ。でも,それも時間かかるし,完全ではなかったのだけれども,リチウムイオン電池にはそれがない。もっとも,使っているうちに材質自体は劣化してくるから,別の理由で若干容量は減っていくんだけれども,断然よくなったね」 ●●●リチウムイオンが持っていた問題点リチウムイオン電池の利点はたくさんあるんですね! ……でも,先ほど,電池の原理としては以前から分かっていたんだけれど,という話が出ましたよね。リチウムイオン電池の原理が分かっていたなら,どうしてもっと早く作らなかったんですか? こんなに便利なのにー。 「うーん,確かにスゴイのは分かっていたんだけれど,製品にするまでにはいろいろと問題もあったんだ。その中でも一番怖かったのは,そのままの材質としては“不安定”だったということ」 不安定,ってなんですか? 加工しにくいとか? 「いやいやいや……簡単に言うとね,火を噴いたり,燃えちゃったりするんだよー」 燃えちゃったりするんだよー,って,それは大問題ですやん! あー,だから私の携帯の電池パックは交換になったのねー! 「それは全然違う! まったく別の問題。現在商品として出ているものは,通常燃えることはないよ。今回のことは製造上の問題だから,仕組みの問題とは,別! 今作られているリチウムイオン電池は燃えたりしない。というのは,燃えない仕組みが確立されているからなんだ。その具体的な方法については,また来週話そうか」 はーい,よろしくお願いします! ということで,来週は引き続き「燃えない」リチウムイオン電池の作り方を勉強したいと思います。皆さんが今使っている電池は,こんな仕組みで安全に作られているんだよ,というお話です。 それでは,また来週〜! [絵本 智,ITmedia] 連載バックナンバー Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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