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つくりかた
 [第13回]

通信方式の進化は止まらない! 国際派ケータイへの道

ケータイであっという間に音楽や動画をダウンロードしたり,さらに世界中どこでも使えたり! そんな未来は来るのでしょうか? がんばれIMT-2000!! ということで,今回は通信方式についてのお話です。

【国内記事】 2001年8月1日更新

 こんにちはー,もばいるのつくりかた第13回です。

 前回に引き続き,携帯電話の通信方式についてのお話。IMT-2000とかW-CDMAとか……最近耳にするけれども,それって何なんだろう?? そんな言葉について勉強していきたいと思います。

 ということでケータイ博士,よろしくお願いします!

PDCはTDMA? CdmaOneはCDMA?

 「前回の最後の話では,IMT-2000とかGSMとかW-CDMAとかとか,そんな言葉について知りたいということだったよね。……えーと,じゃあこれを見てくれるかな」

 と,ケータイ博士がさらさらっと書いたのが以下の表。

第1世代 FDMA(Frequency Division Multiple Access) 周波数分割多元接続
応用例:NTT方式のアナログ携帯電話
第2世代 TDMA(Time Division Multiple Access) 時分割多元接続
応用例:GSM,PDC,PHS(現行のデジタル携帯電話)
2.5世代 CDMA(Code Division Multiple Access) 狭帯域スペクトル拡散を使った符号分割多元接続
応用例:cdmaOne
第3世代 CDMA(Code Division Multiple Access) 広帯域スペクトル拡散を使った符号分割多元接続
応用例:W-CDMA,CDMA2000(次世代デジタル携帯電話(一部試験サービス中)

 「W-CDMAというのは,サービス名としてはFOMAと呼ばれていて今日本で試験サービスをやっているやつ。これまでのものよりもデータ通信が飛躍的に早くなるということもあるけれども,通信方式としては第3世代のCDMAだね」

 えっと,たしかGSMというのはヨーロッパなどでメジャーな携帯電話の方式ですよね。ドコモのPDCもPHSも,GSMも基本にしている技術は同じTDMAだったんですね。親戚みたいなものかな?

 「うん,技術的にはそうだね。でも,技術的に似ているからといって相互に通話ができるわけじゃない。そもそも同じ理論を使っているということと,実際に端末を技術的にどう作るかということ,また,通信のインフラなどのシステムをどう作るかということは別だからね。

 でも,逆にいうとGSMなどはヨーロッパやアフリカ,アジア一帯で広く使われているから,その人の持っているGSM電話の通信事業者が許していれば,その範囲内ならどこに行っても自分の携帯電話の番号で通話ができる。ただし使っている周波数は複数あるから,端末がそれぞれの周波数に対応している必要はあるけどね。

 これはcdmaOneも同じで,現在は世界各国でサービスされているから本来は同じことができるはずなんだ。実際,KDDIのcdmaOne携帯電話は「GLOBAL PASSPORT」という海外ローミングのサービスを行っている(7月30日の記事参照)。でも,技術的に作れて実行できるということと,各通信事業者がビジネスとしてどう考えているかということとその調整は別問題だからね。それが,この世界の難しいところだなぁ」

 うーん,なんだか政治っぽい話ですね。じゃあ,現在のところの話としては,日本のPDCは本来どこまで使えるんですか?

 「PDCはニッポンオリジナル。島国モード。ほかには使っているところはないね。でも,技術的には非常に高度な進化を遂げたTDMAで,周波数を使用するときの効率などは世界有数だよ。あと,日本は携帯電話自体の進化がものすごいことになっているから,通話の品質(音質)でいえばドコモのハイパートークなどは世界的にも非常に評価が高い。日本人的なきめ細かい進化をとげているね。うんうん,技術大国日本!」

 博士,嬉しそうです。じゃあ,私の使っているcdmaOneは? と聞いたところ,これは米国のQualcomm(用語)という会社が中心になって開発した,実用レベルのものとしては最新の高度な技術なのだとのこと。アメーリカのケータイなんですって。You know?

がんばれITU! 〜IMT-2000へ〜

 技術的な理論は同じでも相互に通話はできない現在の携帯電話。でも,できそうなのにできない,ってもったいないですよね。これだけ国際化が進んで,国と国との行き来が気軽になって来ているのだもの,携帯電話にも壁がなくなればいいのに……。

 「そうだね,それは皆がしたいと思っていて,だから少なくとも今後技術的にはできるようにしておくために,携帯電話の第3世代方式(用語)では世界統一規格を作ろう,という動きもある。

 これの音頭をとっているのがITUという国際的な通信関連技術の標準化や調整をしている団体で,彼らは第3世代携帯電話の技術的スタンダードを「IMT-2000」という名前で決めようとしている。ここでは既に日本と欧州の推進するW-CDMA(例:FOMA)と,CDMA2000という米国主導の方式が競っている。うまくまとまると“世界中どこにいっても自分の携帯電話の番号がそのままで使える!”ってことが技術的には可能になるんだけどなぁ……」

 うーん,世界中1つの電話番号でどこでも連絡取れたりするといいなぁ,と素直に思ってしまう私なのでした。

 あ,そうそう,話は変わりますが博士,たとえば「音のいい方式」ってどんなものなんですか?

 「うーん,難しいな。いやね,そうなってくると通信方式だけでは決まらないんだよね。もちろん,アナログよりデジタル,とかいうのはあるけど,でも決定的じゃない。使用しているコーデックもそうだしビットレートもそうなんだけれども,実際にそのハードに使用されているスピーカーの特性が……製品っていうのは規格化されている技術だけではなく……音っていうのは……(以下2時間続く)」

 ……ぜーぜー。博士が暴走してしまいました。

 と,ともかく,さまざまな条件が関係してくるので一概には言えない,ということのようです。通信方式だけでなく,ハードの問題や,環境によっても「音質」というものは違ってくるので,○○だから音がいい! とは言い切れないもののようです。

 ということで,前回今回と2回にわたって携帯電話の通信方式についてをお送りしてきました。通信方式は今後も進化し続け,通話はもちろん,データのダウンロードなどにも快適な環境が作られていくのでしょうね。さらに世界中どこでも使えるようになったり! う〜ん,いろいろ期待しちゃいますよね。そんな未来が待ち遠しい私なのでした。

 それでは,また来週! もばいるのつくりかたでした。

[絵本 智,ITmedia]

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