日本に特化した製品も開発したい――韓国のアクセサリーメーカー「Anymode」の戦略を聞く:GALAXY S II向け製品も多数
Samsung電子向けのアクセサリーを韓国で開発・販売しているAnymodeがGALAXY S II用の各種ケースとともに日本市場へ参入を開始した。今後の商品戦略について、同社のキーパーソンにインタビューを行った。
世界、そして日本でも好調な売れ行きを見せている、Samsung電子の「GALAXY S II SC-02C」。このGALAXY S IIの販売開始に合わせ、同じ韓国のアクセサリーメーカー、Anymodeが日本でも製品の販売を始めている。日本市場への参入について、同社副社長のキム・ヒチョル(Kim Hee Cheul)氏、デザインチーム常務のキム・ゴムスル(Kim Gum Sool)氏に商品開発の戦略を聞いた。
Samsung電子端末の公認アクセサリーを開発
―― 日本の量販店でもGALAXY S II用の「Anymode」ブランドのケースを見かけるようになりました。Anymodeとはどのような会社ですか?
キム・ヒチョル氏 Anymodeは韓国で2007年に創業された若い会社です。当時、Samsung電子が携帯電話だけではなくアクセサリーの販売も強化したいと考え、オフィシャルパートナー企業と協業していく道を選びました。当社はそれに合わせて創業し、Samsung電子の携帯電話向けの各種アクセサリーを開発・販売しています。
―― つまり、御社の製品はSamsung電子の公認アクセサリーという位置づけになるのですね。
キム・ヒチョル氏 その通りです。当社はSamsung電子のオフィシャルアクセサリーパートナー企業であり、同社と新製品情報を共有しながらアクセサリーを開発しています。そのためSamsung電子の端末が発売されると同時に、当社のアクセサリーも市場で販売を開始できるのです
―― どのようなアクセサリーを販売しているのでしょうか
キム・ヒチョル氏 韓国では現在、細かいものもあわせると約1000種類もの製品を販売しています。代表的なものは携帯電話向けのケースやカバーで、それ以外にも充電器や車載キット、ドッキングステーションや外部バッテリーなども手がけています。またスマートフォンやタブレット向けの画面保護フィルムも販売しています。
―― 日本でも御社製品の販売が始まりましたが、韓国以外でもビジネスは行っているのですか?
キム・ヒチョル氏 創業からこれまでは韓国内でビジネスを行っていましたが、昨年(2010年)6月には欧州や中東向けに輸出を開始し、各国でもAnymodeブランドで製品を販売しています。そして日本市場にはNTTドコモ向けのSC-02Cの販売に合わせ、今年(2011年)の6月から本格的な参入を開始したところです。日本でも韓国や海外同様、Anymodeのブランドで製品を販売しています。なお同社はCI(コーポレートアイデンティティ)変更を行ったため、日本向け製品のパッケージには新しいロゴが表記されています。
品質と情報管理を徹底して韓国で生産
―― 製品はすべて韓国で生産されているのでしょうか?
キム・ヒチョル氏 当社の製品はほとんどを韓国国内で生産しています。製造コストを考えると中国など人件費の安い国での生産が有利かもしれませんが、当社の製品はすべてSamsung電子の品質チェックを受けてから市場に投入されます。品質管理を厳格化するためには、安易に海外生産に頼るよりも、やはり自分たちで開発から生産まですべてを管理するのが望ましいと考えています。
また、当社はSamsung電子のオフィシャルパートナーですから、新機種の情報を早い時期に入手できる立場にあります。当社がアクセサリーを開発中に新機種の情報が漏えいするようなことがあってはなりませんから、機密管理を重視する製品は必ず韓国で生産しています。一方で、汎用のケースなどは韓国外で生産し、製品の価格を下げる努力もしています。
―― 今やスマートフォンのケースは何十社もが市場に参入しており競争が激しくなっていると思います。Anymodeの製品の特徴はどこにあるのでしょうか?
キム・ヒチョル氏 当社は「Anymodeにしかない製品」を常に考えて開発を行っています。その差別化の最大のポイントは製品のデザインです。これは当社の設立時からのポリシーであり、新しい素材の採用や、これから流行するであろうデザインの先取りを常に考えて新製品を開発しています。
また、当社のケースやカバーのほぼすべてが抗菌処理されています。携帯電話は毎日使うものであることから、消費者の方々が安心して使える製品を開発することも重要だと考えています。
GALAXY S II用の第2弾カバーも開発中
―― デザインチーム常務のキム・ゴムスル氏にお聞きします。御社の製品の最大の特徴はデザインとのことですが、そのアイデアは日々どのように考えているのでしょうか?
キム・ゴムスル氏 当社には多数のデザイナーが在籍しており、製品の約7割は自社でデザインを行っています。デザインのアイデアは国内外を問わず、常にあらゆるものに対して興味を持つことから生まれてくると考えています。洋服や時計、車などさまざまなものからインスピレーションを感じとり、それを製品に反映していくのです。
特に注意しているのはトレンドです。例えばケースの開発であれば、Samsung電子から新機種のデータを受け取ってからデザインを検討して製品化を行います。ですが出来上がった製品が市場に出てきたときに、そのデザインがすでに古いものになっていたり、市場の流行に合わないものであれば、品質がよくとも消費者は見向きもしてくれないでしょう。そのため製品が市場に出る時期に合わせてデザインを先取りして考える必要があるのです。さらには市場のトレンドをけん引していく製品の開発も心がけています。
―― ということは、市場のトレンドが変われば同じ機種向けのケースでも新しい製品を次々と投入していくということでしょうか?
キム・ゴムスル氏 新しい色の追加やデザインの変更は常に考えています。簡単な例では、季節によってもトレンドは変わるものなので、最初に製品を出してそれで終わり、とはなりません。また新しい素材を探すことも常に行っており、いいものが見つかればそれを製品に採用することも常に考えています。GALAXY S II用のカバーも現在「シーズン2」、つまり第2弾を開発中です。
―― 日本向けの製品については、独自に開発を行っているのでしょうか?
キム・ゴムスル氏 6月から日本で販売を開始したケース類は、韓国ですでに販売されているものを日本向けにローカライズしたものです。韓国ではキャラクターやデザインを入れて販売している製品の一部は版権の問題や好みもあるため、日本向けにはそれらを消去した特別なものも用意しました。
なお、日本ではGALAXY Sに続き、GALAXY S IIも高い人気となっていると聞いています。そのためGALAXY S IIのケース類は今後製品の数を増やしていくだけではなく、日本市場に特化した製品も開発していきたいと考えています。このあたりは日本でどのような色やデザインが好まれるのか、より深くリサーチしていく予定です。将来は日本発のグローバル向け製品も開発したいです。
日本メーカーが作らない製品を日本に投入したい
―― 日本で御社の製品を販売してまだ1カ月ほどですが、反応はいかがですか?
キム・ヒチョル氏 販売店からの話を聞きますと、消費者の方々からの反応は非常に良いとのことです。やはり当社の製品はデザインを差別化のポイントにしており、日本にこれまでなかったタイプの製品を投入したことが、良い反応を生んでいるのではないかと考えています。
―― 日本と韓国や他国で消費者の好みの違いはあると思われますか?
キム・ヒチョル氏 各国で細かい好みの違いはあるかもしれません。ですが有名ブランドの洋服やカバンのように、いい素材を使いトレンドをつかんだ製品であれば、世界中の消費者に同じものが受け入れられるのではないでしょうか。当社の製品もそのような方向を目指したいですね。
日本の消費者の方々はデザインに関して非常に目が肥えており、しかも品質に関してのこだわりも意識が高いと感じているので、日本市場には常に最高の製品を投入しなくてはならないと思います。そして日本市場で得たフィードバックは、今後韓国や他国向けの製品の開発にも大きく役立つものになるはずです。当社にとって日本市場への参入は、今後のビジネス拡大に向けて大きな参考になるでしょう。
―― 今後はどのような製品を開発していく予定でしょうか?
キム・ヒチョル氏 これからもどんどん新しい製品作りにチャレンジしたいですね。Anymodeは常に時代のトレンドを先取りしていて、しかも新しい製品を次々に出す、そう思われる企業にしたいと考えています。
6月には全州大学とデザイン契約を結びました。全州大学は韓国でもデザイン系に強い大学です。同大学の学生を当社が支援しながら、彼らの新しいアイディアを製品に反映していくことができるものと期待しています。
―― 日本の消費者にメッセージをお願いします。
キム・ゴムスル氏 GALAXY S II用のAnymodeのカバーやケース類はただの保護カバーではなく、携帯電話やスマートフォンを「自分だけのもの」にできるファッションアイテムだと考えています。当社のデザイナーたちがそのように考えて開発した製品を、日本の皆様にもぜひ使っていただきたいと思います。
キム・ヒチョル氏 当社は素材やデザインで差別化を図っており、日本のメーカーさんにはない製品をこれからも次々に日本市場に投入したいと考えています。Anymodeはまだ若い会社ですし、日本市場への参入も開始したばかりですので、当社製品を使っていただき、さまざまな意見や感想をいただければと思っています。これからもいい製品を継続的に開発していきますので、店舗で当社製品を見かけたら、ぜひ一度手にとって見ていただければと思います。
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