「スマートフォンの未来が見える」――KDDI、MS、富士通東芝がIS12Tに込めた思い
7月27日に世界に先駆けて登場したWindows Phone 7.5と、それを搭載した新端末「Windows Phone IS12T」の発表会で、KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏、日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏、富士通東芝 代表取締役社長の大谷信雄氏がそれぞれの思いを語った。
KDDIが7月27日、世界で初めてのWindows Phone 7.5搭載スマートフォン「Windows Phone IS12T」を発表した。発売は9月以降を予定している。端末の製造を担当するのは、東芝の携帯電話事業部門を母体とする、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(以下富士通東芝)。KDDI、日本マイクロソフト、富士通東芝の3社による共同新商品発表会では、KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏、日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏、富士通東芝の代表取締役社長 大谷信雄氏が登壇し、それぞれが新たなプラットフォームWindows Phone 7.5にかける思いを語った。
「選べる」だけでなく「最新のいいもの」も必要――KDDI 田中社長
最初にあいさつに立ったKDDIの田中社長は、今回のWindows Phone IS12Tの発売が「KDDIの『auらしさ=ワクワク感』をさらに増すもの」と胸を張った。これまで同社は“選べるスマートフォン”をコンセプトに、iidaの「INFOBAR A01」のような洗練されたデザインのもの、「G'zOne IS11CA」のようなとんがったコンセプトの端末などを含む幅広いラインアップをそろえてきた。しかし、単純にいろいろな選択肢があるだけでなく、「いいもの」「最新のもの」がそこになくてはいけないと田中氏。だからこそ、スマートフォンでの使い勝手を最重視して開発された直感的で使いやすいユーザーインタフェース(UI)や、オフィス連携などのユニークな機能を備えたWindows Phone 7.5搭載端末もいち早く国内市場に投入したかったという。
「かつてWindows Mobileを採用した『IS02』という端末も販売したが、Windows MobileとWindows Phoneは別もの。他キャリアさんが“Windows 7ケータイ”という名前の製品を出していて、いろいろ混乱する用語があふれているが、Windows Phoneはこれまでの製品とはまったく違う、新しいもの」(田中氏)
田中氏は実際にWindows Phone IS12Tを実際に触ってみた感想として、「最初の1日から1日半くらいは非常に取っつきにくい印象もある」と発言。ところがそれを過ぎると、段段気持ちよくなってくるという。非常にスムーズに動くという点もさることながら、People Hubに普段よく使っているSNSサービスを登録していくと、「本当のSNSの世界ってこうなるんだよ」というのが分かってきて、「じわじわじわじわ気持ちよくなってくる」。
「5分くらい触っただけで“こういうものだ”と認識するのではなく、使い込んでから評価することをおすすめしたい。スマートフォンの未来が、気持ちよさの次に見えてくる」(田中氏)
ようやくこの日を迎えることができた――日本マイクロソフト 樋口氏
日本マイクロソフトの樋口社長は「Windows Phoneは、Windows Mobileと呼んでいたものをリブランドして、根本からコンセプトを入れ替え作ったOS。Mangoというコードネームで呼んでいたものが、Windows Phone 7.5になる。Windows Phone 7.5が導入されるのは日本が世界で最も速いタイミング。日本マイクロソフトとしてもWindows Phone 7.5を総力を挙げて拡販し、巻き返しを図りたい」と話した。まさにこの発表当日、Windows Phone 7.5のコードが完成し、RTMになった(Release to Manufacturing/量産に入った)という。
Microsoftは古くからモバイルデバイス向けのOSを手がけてきたが、コンシューマー向けスマートフォンの分野では、AppleのiPhoneやGoogleのAndroidスマートフォンに対し苦戦を強いられてきた。Windows Phone 7の投入により、海外ではMicrosoftに対する評価も上がっているといい、「これまで日本マイクロソフトが培ってきた、技術、ソフトウェア資産、パートナーとの関係、開発者向けのサポートなど、たくさんの資産をテコに、モバイルの世界でも勢力を拡大していきたい」と樋口氏。日本独自の機能を盛り込む、パートナーと共同で販促を行う、開発者のサポートをするといった、これまでPC向けのWindowsでやってきたことと同じように、日本でもWindows Phone 7の事業を進めていく。
すでに海外では、Windows Phone 7スマートフォンが11機種登場しており、35カ国の60事業者で展開されており、リリースから約7カ月で2万タイトルを超えるアプリが配信されているという。Windows Phone 7.5では、対応言語が5言語から21言語に増え、Windows Phone Marketplaceが利用できる国も18カ国から35カ国に拡大する。
Windows Phone 7.5の特徴は、樋口氏の説明が明快で分かりやすい。「従来のスマートフォンは画面にアプリケーションのアイコンが並び、自分が使うアプリケーションを意識しながら使うが、Windows Phoneはタイル状の大きなボタンで表現した『ライブタイル』が特徴。ボタンの奥にあるアプリケーションの状況もタイルの表面に表示される。アプリをキックして何かをする、という考え方ではなく、ユーザーがどういう目的で使うか、何をしたいかで操作するインタフェースが特徴」。そして、このタイルをカスタマイズして、ブラウザのお気に入りや特定のアプリのデータ、音楽、連絡先、メモなどを自分の優先受遺意に従って設計でき、自分の使いやすいようにカスタマイズしていくと「どんどん気持ちよくなっていく」。
スマートフォン市場で劣勢と伝えられるMicrosoft。しかし樋口氏は強気だ。「まだまだスマートフォンはこれからの世界。黎明期なので、いかようにでもこれから挽回できるし、まだまだ機能面でも進化する。Microsoftはハードウェアは作っておらず、ソフトウェアに特化した企業だ。ハードもソフトも1社で作る方が立ち上げは速いが、いろいろなメーカーと連携することでバリエーションや広がりができる。立ち上げには時間がかかったが、これはユーザーにもメリットの出る仕上がりになるまで時間をかけたため。機能面でもできはいいので、巻き返しという点では期待している。一度使うと満足度は高い」と自信を見せた。
IS12Tはスマートフォンの可能性をさらに広げる――富士通東芝 大谷氏
富士通東芝モバイルコミュニケーションズの大谷社長は、IS12Tが「富士通と東芝の技術陣が一緒になって作った初めての商品。富士通グループにとってスマートフォンはユビキタスフロントの重要な商品という位置づけで、スマートフォンが持つ可能性をさらに広げる商品だ」と話す。
親会社の富士通は、ケータイやスマートフォンの開発にヒューマンセントリック(人間中心)というコンセプトを掲げ、ブロードバンドリーダー、デザイントレンドリーダー、ケータイテクノロジーリーダーという3つの柱を軸にして“世界一使いやすい”ユビキタス端末を目指して商品を開発している。富士通東芝でも同様のコンセプトに基づき、IS12Tでは、LTE時代に向けて、ブロードバンドサービス対応を徹底追求したほか、お客様に選ばれ続ける新たな魅力を創出するためのデザイン、そして使いやすさや安心・安全を中心とした基本機能の強化などに尽力したという。
「実際に触ると実感できるが、扱いやすいサイズと重さを実現した。ボディカラーは欧州の文具をイメージしており、従来のスマートフォンと比べても新しさがアピールできる新鮮な色だと思う。ディテールも金属部品をあまり使わずカジュアルなデザインとした。1320万画素カメラとMilbeaut Mobileエンジン、32Gバイトの内蔵メモリなど基本スペックも高い。さらにスーパーはっきりボイス3という、高音域を拡張して相手の声を聞きやすくする技術などを取り入れて使い勝手を向上させている」(大谷氏)
大谷氏は「これからもお客さまの要望に応えられるスマートフォンを提供していく」と力強く話した。
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