実効速度は?――韓国で始まった超高速“150Mbps”のLTE-Advancedを試す:「GALAXY S4 LTE-A」でチェック(2/2 ページ)
韓国では7月から相次いでLTE-Advancedサービスが始まっている。従来のLTEの2倍の速度を実現するLTE-Advancedを、ソウル市内で実際に試してみた。
LTE-Advancedのメリットは“高速通信”だけではない
CAによる最速150Mbpsを体験するために、SK Telecom版のGALAXY S4 LTE-Aでソウル市内の通信速度を「SPEEDTEST.NET」アプリでチェックしてみた。今回端末を入手したカンビョンのITモール「テクノマート」内では、さっそく下り90Mbps前後の速度を記録。ITモールということもあってSK Telecomも重点的にカバレッジエリアとしているのだろう。ただし、いきなりの高速度に興奮してしまい、ここでは速度チェックの画面の撮影を失念してしまった。
続いてやってきたのはソウルの新都心ともいえるカンナム地区。オフィスビルが多く、学生も多数集まる繁華街でもある。地下鉄でカンナム駅に到着したのは18時前で、帰宅時間と重なり地下鉄の駅構内は多数の人が往来していた。地下では速度は期待できないだろうからと地上へ出てみると、こちらも郊外へのバスを待つ人で路上はかなり混雑している。もちろんバスを待つ乗客や道行く人のほぼ全員がスマートフォンを使っている。このような状況下で速度を計ってみると、数値は下り30〜40Mpbs程度。これでも高速ではあるのだが、LTE-Advancedの最速150Mbpsからすると物足りない。繁華街の混雑時という悪環境下ではどうしても速度が出ないものなのかもしれない。
翌日に気を取り直して、今度はソウル駅に近い繁華街、ミョンドンへ繰り出してみた。平日午前中のミョンドンはまだ人通りも少なく、回線が混雑していることもなさそうである。さっそく速度を計測してみると、いきなり下り105Mpbsを記録。100Mbps以上をあっさりと出してくれた。このままミョンドン内を歩いてみても平均して100Mpbs前後は出ており、ミョンドンエリアはしっかりとカバレッジに入っているようだ。
ミョンドンでここまで速度が出るのなら、SK Telecomの本社付近はさらに速度が出るのではないだろうか? 10分ほど歩いてSK Telecom本社ビルに到着し、付近でも速度を計測した。高層ビルに囲まれている影響もあってか、場所によっては思うほどの速度が出なかったが、ビルの正面付近ではしっかりと下り105Mpbsを記録した。
ただ、残念ながらそれ以上の速度を計測することはできず、150Mbps近似の速度体験はできなかった。とはいえ、YouTubeのHD画質の動画を再生してみると、バッファーの読み込みが速く、現時点でスマートフォンで利用できるサービスを使う分にはこれでも十分満足できる速度といえるだろう。
最後に速度を計測したソウル駅では下り70Mpbs前後に留まった。とはいえ、CAは2つの周波数帯を利用することから、混雑時でも極端な速度低下を招くことはないようだ。前日にソウル郊外で速度テストを行った際に、LTE対応端末でも同じ条件下で速度を測ったところ、環境が悪い条件だったことからかLTEは下り5Mbps。これに対しLTE-Advancedでは34Mpbsと約7倍もの差が出た。CAは通信速度の高速化だけではなく、都市部での混雑時の通信速度の安定化にも有用な技術といえそうだ。
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