Huawei、LG、ASUS、freetel――注目メーカーの最新SIMロックフリースマホ:はじめての格安SIM&SIMフリースマホ 第14回(1/2 ページ)
2014年は、さまざまなメーカーがSIMロックフリーのスマートフォンを投入し始めた。ミッドレンジからローエンドモデルが中心だが、キャリアが販売する端末よりも安く購入できるのが魅力でもある。4月以降に発表された注目機種と注意点などを紹介したい。
連載第5回では日本で買えるSIMロックフリースマートフォンを紹介した(→Nexus 5、iPhone 5sから1万円台の格安モデルまで――日本で購入できるSIMフリースマホ )が、ここ最近は状況が急速に変わってきた。HuaweiやLGエレクトロニクスといったいわゆる大手メーカーの参入も増え、端末のバリエーションに広がりが出つつある。ユーザーの選択肢も、2013年と比べて格段に増えているのが現状だ。今回は、こうした最新のSIMロックフリーモデルを紹介していきたい。また、各端末の紹介とともに、SIMロックフリー端末を購入する際の注意点や考え方などにも触れたい。
Ascendシリーズを一挙に日本で展開するHuawei
中国大手のHuaweiは、世界シェアでも3位を争うグローバルメーカー。海外では、ローエンドからハイエンドまで、バリエーション豊かなスマートフォンを販売している。このグローバルモデルの一部を、日本でSIMロックフリースマートフォンとして発売する。同社はスマートフォンのシリーズをAscendと銘打っており、ドコモからも同ブランドの端末が発売されたこともある。ドコモのAscendは日本向けのカスタマイズが施された端末だったが、SIMロックフリーモデルはグローバルモデルとほぼ同等。端末の名称なども、海外と同じとなる。
すでに店頭に並んでいるのが、ミッドレンジモデルの「Ascend G6」だ。フラットなボディのデザインは、金属筐体を使って好評を博した「Ascend P6」から受け継がれているが、スペックはやや抑え目だ。チップセットはSnapdragon 400シリーズの「MSM8926」で、メインメモリ(RAM)も1Gバイト、ディスプレイの解像度も540×960ピクセルで、現行のハイエンドモデルから比べればやや物足りない印象を受ける。ただし、LTEにも対応しており、ネットは快適。重たい処理が必要なアプリを動かさない限りは、レスポンスの違いもさほど感じないだろう。自分撮りを楽しめるための、広角なインカメラなど、この機種ならではの魅力もある。
“コストパフォーマンス”という観点を加えると、この端末に対する見方がさらに変わってくる。同モデルの希望小売価格は2万9800円(税別)。現行のキャリアモデルの一括価格が7〜9万円だと考えると、かなりお買い得に見える。もちろん、キャリアモデルは購入すると通信料に対する割引を受けられるため、本体価格だけで一概には比較できないことも事実だ。一括価格が7〜9万円の端末でも、最終的な“実質価格”は3万円前後になるケースは多々ある。逆に、そうした割引の出ないSIMロックフリーモデルとMVNOのSIMカードの組み合わせでは、より端末価格をシビアに見る必要があるともいえるだろう。このように見ると、必要十分なスペックを備え、2万9800円という価格を打ち出したAscend G6は、非常にバランスのいいモデルだといえる。
Huaweiは、SIMロックフリーモデルに対して戦略的に取り組んでおり、Ascend G6以降も端末を随時発売していく方針だ。現時点で明らかになっているスマートフォンには、厚さ6.5ミリで金属やガラスをふんだんに用いた「Ascend P7」がある。こちらのモデルは9〜10月ごろに発売される予定。Ascend G6より上位に位置付けられており、質感は非常に高い。スペックについても同様で、CPUはクアッドコア1.8GHz(HiSilicon製)、メインメモリ(RAM)も2Gバイトを搭載しているなど、現行のハイエンドモデルと比べても遜色ないレベルになっている。ディスプレイがフルHDなのもうれしいポイントだ。
ただし、ここまで質感やスペックが上がってくると、当然それが価格にも跳ね返る。Ascend P7の希望小売価格は4万9800円。Ascend G6よりちょうど2万円高いというわけだ。このように、SIMロックフリー端末は(ほかのどの製品でも当たり前のことだが)、デザインや機能がコストに直結する。キャリアモデルを購入する以上に、用意できる予算と必要な機能のバランスを見極めて端末を選ぶ必要がある。
Huaweiは、このほかにも7型タブレットの「MediaPad X1」や、8型タブレットの「MediaPad M1」をSIMロックフリー端末として用意している。SIMロックフリー端末を購入する際の有力な選択肢として覚えておいて損はないだろう。
LGも「G2 mini」をSIMロックフリーで発売
ドコモの「G2」やKDDIの「isai」シリーズでおなじみのLGエレクトロニクスも、日本でSIMロックフリー端末の販売に踏み切った。SIMロックフリー端末として用意したのは、4.7型のディスプレイを搭載したコンパクトモデルの「G2 mini」。ドコモが取り扱っている「G2」を小型化したような端末だ。
G2 miniは「G2 mini for BIGLOBE」として発表され、BIGLOBE向けの端末として9月に発売される。また、日本通信が同社のSIMカードとセットで、8月1日にAmazonで販売を開始する。価格は日本通信向けが3万4080円で、月1420円の2年割賦が設定されている。スペックはフラッグシップモデルのG2などと比べれば抑え目のミッドレンジモデルだ。CPUはSnapdragon 400(1.2GHzクアッドコア)、メインメモリ(RAM)は1Gバイトとなる。ディスプレイの解像度も、フルHDのG2やWQHDの「isai FL」と比べると低い540×960ピクセルとなる。
同じG2というブランドを冠しているだけに、特徴的な仕様は受け継いでいる。背面に搭載されたキーがそれで、ディスプレイを点灯させられるだけでなく、カメラの撮影などにも使える。また、端末をトントンと叩いてロックを解除する「ノックコード」に対応しているのも、この端末の特徴といえる。
実利用上うれしいのが、対応周波数だ。G2 miniは3G、LTEともに、ドコモの持つ800MHz帯に対応している。先に挙げたHuaweiのモデルでは、いずれも非対応となる周波数帯だ。800MHz帯は業界関係者から「プラチナバンド」と呼ばれ、広いエリアをカバーするために利用される。ビルなど、建物内への浸透もしやすく、エリアを広げるために重宝されている。ドコモは地方を中心に800MHz帯で3Gのエリアを構築していたが、最近では都市部にも利用されている。LTEでも800MHz帯は活用中だ。
ここで重要なのが、MVNOの多くがドコモから回線を借りているということ。端末が800MHz帯に対応しているかどうかで、エリアが異なってくる。SIMロックフリー端末は、基本的にメーカーが自由に販売するもの。どの周波数に対応するかはメーカーの手に委ねられている。そのため、キャリアが音頭を取って開発するキャリアモデル以上に、対応周波数がまちまちになりがちだ。いざ購入してみたら、使おうと思っていた場所で使えないということがないよう、対応周波数は忘れずチェックしておくようにしたい。
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