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発達障害の児童向け療育・知育アプリを紹介――「日本Androidの会」福祉部セッションワイヤレスジャパン2015

「日本Androidの会」の福祉部では、スマホ・タブレットやウェアラブルデバイスを通して、日本社会の福祉向上とノーマライゼーションを実現することを目指している。その取り組みの一部が、ワイヤレスジャパン2015で紹介された。

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 ワイヤレスジャパン2015の初日にあたる5月27日に、日本Androidの会がIoT(Internet of Things:モノのインターネット)と、スマートデバイスと福祉をテーマにしたセッションを開催した。

 IoTセッションでは、毎年恒例になりつつある「メイドさん」をフィーチャーした講演が2つ行われた。スマートデバイスと福祉のセッションでは、発達障害のある児童向け療育・知育ゲームアプリ、障害のある人向けのウェアラブルデバイスの具現化、映画のバリアフリー視聴環境に関する講演がそれぞれ行われた。

 本稿では、福祉部関連の講演のうち、日本Androidの会 福祉部の長南大樹氏が行った、発達障害の児童向けの療育・知育アプリの講演についてお伝えする。

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「長南家の長男」である長南氏

 発達障害は、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害など、生まれつきの脳の発達過程が、通常と異なっていることに起因する障害の総称。長南氏が開発に取り組んでいるのは、アスペルガー症候群に代表される、知能障害のない発達障害の児童向け療育・知育アプリである。

 実際に制作して社会福祉法人に納入された例として、iPad用の絵合わせアプリが紹介された。一見すると単なる絵合わせをして遊ぶものにしか見えないが、発達障害の児童に対する工夫が随所に見られる。例えば、絵合わせの絵は「ねこ」「はたらくくるま」「でんしゃ」の3種類を用意しており、これは発達障害の児童に乗り物が好きな傾向にあることを反映したため。「好きなものから興味をもってもらう」(長南氏)という狙いがある。

photophoto 絵合わせは、ねこだけではなく、乗り物も用意
photophoto 「楽しくまねる技術を身につける」というコンセプトに、絵合わせは、ぴったりだと判断(写真=左)。タブレット(iPad)用アプリにしたのは、他社からの介入を嫌いがちな発達障害の特徴を反映したため(写真=右)

 そのほかにも、発達障害の児童への配慮が随所に見られる。筆者には、発達障害を抱える知人がいるが、ひとつひとつの配慮と、それを取る理由がありがちなものばかりで、うなずくことばかりだった。

photophoto ゲームが突然終了することへの戸惑いや、変化や予測不可能な事態を嫌う傾向に対して、ゲーム終了時に“幕を下ろす”ようにしている(写真=左)。スコアは成功体験を得るために重要なものの、他人と競うようなスコア付けはしないようにしている(写真=右)
photophoto 重ねるところを間違えたときは、×(バツ)を表示しないことで、自分で間違いに気付かせるようにしている(写真=左)。イラストも、動かす側をカード風にすることで、「カードの部分を動かすんだ!」というルールを分かりやすく伝えている(写真=右)

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