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携帯の電波がペースメーカーなどに影響を与える可能性は低い――総務省が指針に追記

ペースメーカーなどを装着した人が近くにいる場合、携帯電話から15センチ以上離れることを総務省は指針として定めているが、総務省の検討会で「影響はきわめて低い」との見方が示された。

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東京メトロが過去に発表したポスター

 優先席付近では携帯電話の電源をお切りください――。電車の中で見慣れたフレーズだが、これは総務省の「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」にもとづく措置だ(外部リンク※PDF参照)。

 総務省の指針では、心臓のペースメーカーなどの埋め込み型医療機器を装着している人が近くにいる際、携帯電話の所持者は15センチ以上離れる必要があることが定められている。当初定めた距離は「22センチ」だったが、2G携帯の運用停止に伴い、(3G以降の携帯の影響は比較的少ないため)2013年からは「15センチ」に見直された。

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総務省が2013年1月に改定した指針

 6月23日に総務省が開催した「生体電磁環境に関する検討会」では、上記指針に新たな内容が追記された。その内容は以下の通り。

  • 携帯電話(800MHz、1.5GHz、1.7GHz、2GHzのW-CDMA対応端末)の電波がペースメーカー以外の埋め込み型医療機器に与える影響を2014年度に調査。これは、電波利用機器の電波を規格上の最大出力で断続的に発射し、医療機器の感度を最大にするなど、極めて厳しい条件で調査した。
  • しかし、日常生活で携帯電話の電波を最大出力で継続して発射することや、医療機器の感度を最大にして使用することはまれである。
  • そのため、日常生活で調査条件と同様の状況になる可能性は非常に低く、調査で影響が確認された距離まで電波利用機器が近接したとしても、実際に影響が発生するとは限らない。

 かいつまんで言うと、埋め込み型医療機器の近くで携帯電話を使用しても、その動作に影響を与える可能性はきわめて低いということ。2013年度以前にはペースメーカーでも同様に調査を行っており、ペースメーカーに影響を与える可能性も低いといって差し支えないだろう。

 電車内の携帯電話に関するマナーは、関西のすべての鉄道事業者で、2014年7月から優先座席付近では「混雑時のみ」携帯電話の電源を切る――という形に見直したが、そのほかの地域でも、徐々に見直されていくかもしれない。

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関西の鉄道では、優先席付近で携帯の電源を切るのは「混雑時のみ」に緩和された

 追記された指針は総務省のWebサイトから確認できる(資料-生電12-6を参照)。

※初出時に「ペースメーカーなどに与える影響を2014年度に調査」との記述がありましたが、調査対象の機器は「ペースメーカー」ではなく「ペースメーカーや除細動器以外の埋め込み型医療機器」でした。おわびして訂正いたします。これに伴い、一部加筆修正しました。また、「電車内の携帯電話に関するマナーは、阪急電鉄・能勢電鉄全線で」との記述もありましたが、関西のすべての鉄道事業者で実施しているため、こちらも訂正いたしました(6/26 18:55)。

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