白から半黒、そして黒へ――携帯電話の開通でSIMカードに何が行われているのか:IIJmio meeting 9(2/2 ページ)
MVNOにMNPする際、旧SIMカードが解約されて携帯電話が使えない期間が生じることが問題だったが、この空白期間を最小限に抑える方法がある。IIJmioの担当者が「おうちでナンバーポータビリティ」を例に、MNPのときにどんな作業が行われているのかを解説した。
「おうちでナンバーポータビリティ」の仕組み
従来、IIJではユーザーがMNPで転入してくる場合、SIMカードは契約が発効した状態(挿せば利用できる黒ROM)でセンターから配送していた。MNPは、転出した携帯電話会社の解約と転入する携帯電話会社の新規の契約が、一気通貫で行われるシステムだ。
センターで黒ROMを焼いた瞬間、契約が発効するので、以前の携帯電話会社は解約になる。センターでプロビジョニングをしたと同時に、ユーザーの手元では持っている携帯電話(SIMカード)が解約される。しかし、センターからSIMカードをすぐに梱包して発送しても、そのカードがユーザーの手元に届くまでの期間、使うことができない時間が発生する。
9月16日に提供を始めた「おうちでナンバーポータビリティ」は、この携帯電話が使えない時間が最小限になる新たな開通方法だ。BIC SIMカウンターなどで行われる即日発行と同程度の待ち時間で、オンラインでも開通できる。
利用に特殊な申し込みは不要で、9月16日以降に申し込まれた契約については適用される。SIMカードは配送されてくるが、新SIMカードを待つ間も旧SIMカードは使える。そして、SIMカードが届いても、端末にただ挿しただけでは使えない。説明書に従って開通センターに電話をかけてプッシュトーンでコマンドを入力する必要がある。その数時間後にMNPの切り替えが行われて旧回線が解約になり、新しいSIMが使えるようになる。
この流れをSIMの色で見ていくと、SIMカードのプロビジョニングで、「従来は黒だったが、半黒で焼くということが、おうちでナンバーポータビリティの一番のキモ」と佐々木氏は説明する。
手元に届いたばかりのSIMカードは、データは書き込まれているけれど契約が有効になっていない半黒の状態だ。使えるようにするために、ユーザーに自動応答のセンターに電話をかける必要がある。電話でデータがすべて入力されると、それを見たオペレーターがプロビジョニングの専用端末を操作して当該電話番号の契約をする。つまり人が作業しているので、開通するまでに数時間、混雑していると、さらに時間がかかる場合がある。
切り替えを行った時点で、MNPの処理がすべて完了する。旧携帯電話会社が解約になり、端末にまだ旧SIMカードが入っていれば圏外になる。
好きなタイミングで開通できる
おうちでナンバーポータビリティには、電話が使えない状態が最小になること以外に、MNPのタイミングを自分で選べるという隠れたメリットもある。「この日にMNPしたい」という希望にオンラインでも対応できるのだ。
ただし、開通の電話はSIMカードが届いてから行うことになる。また、MNP予約期限日までに行う必要がある。期限日を過ぎる場合は、IIJの方でMNPを実施する。
ちなみに、IIJmioの契約が対面で行えるBIC SIMカウンターは、10月下旬現在、全国40店舗のビックカメラで展開されている。カウンターでは新規、MNPどちらも即日開通が可能。ファミリーシェアプランの場合でも、複数SIMカードの即日開通が可能となっているほか、SIMカードの再発行にも対応している。
2015年7月に開始したイオンSIMコーナーは213店舗で展開。新規契約とMNPが可能だが、ファミリーシェアプランを申し込む場合、2枚目、3枚目がデータ通信専用SMS機能付きSIMの場合は当日の開通はできず、IIJからの発送となる。また、SIMカードの再発行やサイズ変更などには対応していない。
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