スマホ・タブレットの「OSバージョンアップ」ってどうなの?:ふぉーんなハナシ
スマホに見慣れない通知がやってきました。「OSバージョンアップ」だそうです。「別に困ってないし」で放っておいても大丈夫なのでしょうか。「よーし、速攻でインストールだ!」でよいのでしょうか。
スマートフォンやタブレット(以下、まとめて「端末」)の不具合・セキュリティ問題を修正したり、新機能を追加したりする「ソフトウェア更新」。その中でも、一番大がかりなのが「OSバージョンアップ」です。その名の通り、端末の動作をつかさどるOSをバージョンアップするものです。
OSのバージョンアップは、基本的に出たら極力早く適用すべきものですが、適用には慎重であるべきものでもあります。「何を矛盾することを言っているんだ?」と思われる読者もいらっしゃると思いますが、どちらも「真なり」なのです。
11月25日、手持ちの富士通製Androidスマホ「ARROWS NX F-02G」に、Android 5.0へのOSバージョンアップが配信されました。この更新を適用しながら、OSバージョンアップの「功罪」を改めて考えてみました。
OSバージョンアップのメリット
「見た目」が新しくなる
OSバージョンアップでは、端末のユーザーインタフェース(UI)を変更する場合があります。F-02Gの場合、Android 5.0へのバージョンアップでUIに「マテリアルデザイン」が適用され、ナビゲーションバー、通知パネルやパネルスイッチのデザインが変更されました。ロック画面もデザインが変わり、アプリからの通知を出せるようになりました。いろいろUIが変わると、新しい端末に買い換えたような気分を味わえます。場合によっては、「この端末、まだまだ戦えるっ」という思いを抱くかもしれません。
「新機能」が追加される
OSバージョンアップでは、端末のより“深い”ところに関わる新機能の追加を行うこともあります。F-02Gの場合、「マルチコネクション」(※)を適用するアプリを選択する機能と、端末設定項目の検索機能が新たに加わりました。
新機能の追加で、より端末を便利に使えるという利点がOSバージョンアップにはあります。
※Wi-Fi(無線LAN)とLTE/3Gのデータ通信を同時に待機することでより安定した通信を実現する富士通独自の機能。初搭載は、「ARROWS Z FJL22」。そういえば、ドコモ以外のキャリア(MNO)から新しいarrowsは出ないのでしょうか……?
ソフトウェア更新を継続して受けられる
OSバージョンアップ後のソフトウェア更新は、原則として新しいOSにのみ実施します。旧OSのままだと、不具合やセキュリティ問題が発生しても対処されません。そういう意味でも、早めのバージョンアップが必要なのです。
よほどのことがない限り、OSバージョンアップ以降のソフトウェア更新はOSバージョンアップ済みの端末に対してのみ行われる(写真は「GALAXY S5 Active SC-02G」の最新ソフトウェア更新の案内)
OSバージョンアップのデメリット
「見た目」が新しくなる
「あれ、これは先ほどメリットとして挙げたじゃないか!」とお思いの方。メリットは見方を変えればデメリットになり得ます。
UIの見た目が変わる、ということは操作方法も変わる場合があります。バージョンの整数部分が変わる「メジャーバージョンアップ」では、その傾向が特に強くなります。
今回メジャーバージョンアップをしたF-02Gの場合、ナビゲーションバーの「メニュー」キーが「最近のアプリ」キーに置き換わりました。Android標準に準拠した意味では良い変化なのですが、Android 4.4のF-02G(あるいは富士通端末)に慣れていると、予想以上に“大きな”ものになります。通知パネルやパネルスイッチの仕様変更も、同様です。
「新たな操作を覚えることがおっくうだ」という人にとっては、OSバージョンアップは苦痛になりうるのです。
新たな不具合が発生することもある
OSバージョンアップでは、OSそのものの更新はもちろん、プリインストールアプリにもOSに合わせた更新を実施します。その段階で、従来は発生しなかった新たな不具合が発生することもあります。
記憶に新しいところでは、ソニーモバイルコミュニケーションズ製の「Xperia Z2」「Xperia Z3」「Xperia Z3 Compact」の日本向けモデルがAndroid 5.0へのOSバージョンアップを実施したところ、一部地域でテレビを視聴できない不具合が発生し、バージョンアップの一時中断に追い込まれた事例があります。
ソフトウェアの世界では、不具合を修正したら別の不具合が発生したり、想定外の操作で不具合が顕在化したりすることもあります。ソフトウェアを大幅に書き換えるOSバージョンアップも例外ではない、ということです。致命的でない限り、目くじらを立てても仕方ないのかもしれませんが……。
動作が軽快になるとは限らない
海外ではOSバージョンアップを実施した端末が、日本ではそれを見送るという判断を受ける場合があります。それを受けて、「日本でOSバージョンアップしないのは(端末の発売元である)キャリアのせいだ!けしからん!」という論調をSNS上で見かけることがあります。
OSのバージョンアップ可否を決める要素はさまざまありますが、その中で見落とされがちなのは「動作速度」です。F-02Gの場合は、約1年前のハイスペックスマホだったこともあり、OSバージョンアップしても動作は軽快です。
しかし、古めの機種では新OSの新機能やUI変更がかえって動作を「もっさり」に(重たく)してしまう原因となりうるのです。事実、OSバージョンアップをした結果、軽快な動作が失われた端末もありました(具体的な機種名は挙げませんが、複数です)。
そうなると、あえてバージョンアップ“しない”選択肢も用意した方がいいのではないのか、と思うこともあります。もちろん、セキュリティ問題の修正アップデートが出る前提です。それが不可能なら、(実際にやっている例もありますが)割引クーポンを配布して機種変更を促すしかないような気もします。
このように、OSバージョンアップは「良い面」がある一方、「良くない面」もあります。個人的には、端末メーカーやキャリアは、功罪両面をしっかりと端末利用者に知らせるべきで、知った上でユーザーが選択できるようにすべきだと考えています。OSバージョンアップに当たっては、先に適用した人のブログやSNSの投稿、あるいはメディアのリポートを参考にするのも手です。
もっとも、使う側(私たち)が伝えられたこと、あるいは読んだことを理解し、判断できるかどうかは別問題なのかもしれませんが……。
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