Galaxy S7/S7 edgeは何が変わったのか? 防水/microSDスロット復活の経緯は?:開発陣に聞く(1/2 ページ)
Samsungの「Galaxy S7」と「Galaxy S7 edge」は、同社の最新技術を詰め込んだフラッグシップスマホ。S6シリーズから正統進化した2モデルだが、何が変わったのか? 韓国のSamsung本社で企画担当者に疑問をぶつけた。
Samsung Electronicsの「Galaxy S7」と「Galaxy S7 edge」は、同社の最新技術を詰め込んだフラッグシップスマートフォンだ。2月に開催された展示会「Mobile World Congress 2016」で発表され、3月11日から韓国や欧米などで販売されている。日本での発売は未定だが、5月11日に製品発表を予定しているNTTドコモをはじめ、2016年夏モデルとして登場することが期待される(サムスン電子ジャパンのサイトでは、Galaxy S7/S7 edgeの製品サイトが公開されている)。
そんなGalaxy S7/S7 edgeについて、Samsung Electronics本社でインタビューをする機会を得たので、Galaxy S7/S7 edgeで特に強化したポイントを中心にレポートしたい。なお、インタビューは日本の複数メディア合同で行われたもの。まずはGalaxy S7/S7 edgeの商品全般について、グローバル商品企画グループ 次長のソ・ジン(Jin Seo)氏に話を聞いた。
Galaxy S7/S7 edgeの特徴
- →Samsung、防水・防じん対応スマホ「Galaxy S7 edge」「Galaxy S7」とVRカメラ「Gear 360」を発表
- →今分かっている範囲で「Galaxy S7/S7 edge」と過去モデルを比較する今分かっている範囲で「Galaxy S7/S7 edge」と過去モデルを比較する
- →「Galaxy S7/S7 edge」の実機に触れてきた――2機種の違いや進化点をチェック
まずはGalaxy S7/S7 edgeの特徴をおさらいしておこう。Galaxy S7は5.1型、S7 edgeは5.5型の有機ELディスプレイを搭載しており、S7 edgeは、ディスプレイの端が丸みを帯びた「エッジスクリーン」を継承。エッジスクリーンには、よく使うアプリのショートカットを置いたり、定規や懐中電灯のツールを表示させたりできる。
Samsungが「世界最強」とうたうカメラは、Galaxy S7/S7 edgeで大幅に強化したポイントの1つだ。約1220万画素のアウトカメラには、1つ1つの画素が「撮像」と「位相差AF」を兼ねる「デュアルピクセルセンサー」を採用しており、より正確かつ高速なAF(オートフォーカス)が可能になったほか、より明るく撮影できるようになった。
Galaxy S6/S6 edgeでは対応していなかった防水・防じんに対応し、外部接続端子のキャップがない“キャップレス防水”も実現。同じくGalaxy S6/S6 edgeでは省かれていたmicroSDスロットが復活したこともトピックの1つだ。Galaxy S7は3000mAh、Galaxy S7 edgeは3600mAhという大容量のバッテリーを搭載し、ワイヤレス充電や急速充電にも対応している。
有機ELの特性を生かし、ディスプレイがオフの状態でも時刻やカレンダーなどを表示する「Always On Display」もサポートしている。バッグやポケットに端末を入れているときは、センサーが検知して自動でオフになるので、大きくバッテリーが消費することはないという。
LTEはCategory 9をサポートしており、仕様上は下り最大450Mbps/上り最大50Mbpsまでの高速通信が可能だ。
ゲーム関連の機能も強化した。ゲームアプリを1箇所に集約させる「ゲームランチャー」をホーム画面上に用意し、各ゲームへ簡単にアクセスできる。また、Galaxy S7/S7 edgeのディスプレイ解像度はWQHD(1440×2560ピクセル)だが、フルHDのゲームをWQHDにアップスケールしないよう調整することで、スタミナを抑えることができるという。このほか、ゲーム中に通知のポップアップを止めたり、ゲームのプレイ動画を録画したりすることもできる。さらに、次世代のグラフィックAPIである「Vulkan API」もサポートした。
韓国での価格はGalaxy S7が83万ウォン(約7万6000円)、Galaxy S7 edgeが92万ウォン(約8万4000円)。
海外でもニーズの高かった「防水」
Galaxy S7/S7 edgeは3月に発売されてから好調な売れ行きで、Galaxy S6/S6 edgeをしのぐ勢いだという。中でも売れているというのがGalaxy S7 edgeだ。ソ氏によると、特に評価されたのが「コンパクトなサイズで手触りがいいこと、暗いところで(きれいに)撮れるカメラ性能、キャップレス防水、強化されたエッジ、microSDスロットの搭載、バッテリー」だという。
Galaxy S5で搭載された防水性能がGalaxy S6/S6 edgeでは見送られたが、Galaxy S7/S7 edgeで復活。日本特有の需要ともいわれる防水は、海外のユーザーはあまり求めていないのかと思いきや、「スマートフォンは日常的に常に持ち歩くデバイス。手を洗うときや、雨の日でも使いたいというニーズが多くあった」(ソ氏)ため、再び搭載する形となった。microSDスロットについても、防水に並んでユーザーの要望が大きかったことから、復活させるたという。
Samsungのスマートフォンを体験、購入できる「Galaxy Studio」や量販店の売り場では、Galaxy S7/S7 edgeの防水性能をアピールすべく、Galaxy S7 edgeを入れた水槽を設置している。スイッチを押すと水があふれる仕掛けだ。ただ、水があふれていくときにタッチパネルが誤作動しているのは気になった。
Galaxy S6シリーズから採用している両面ガラスパネル+メタルフレーム、そしてS5からさらに薄くなったボディーに防水・防じん性能を加えることは難易度が高いはずだが、ソ氏は「技術的な制約があったわけではなく、さまざまな声があった中で、microSDスロットはどうやって搭載するか、防水(に対応させるにあたって外部接続端子)のキャップはあった方がいいのか、ない方がいいのかなどを確認してから採用した」と話す。
エッジスクリーンも強化
Samsungはこれまで「GALAXY Note Edge」「Galaxy S6 edge」「Galaxy S6 edge+」といったエッジスクリーンを搭載したモデルを投入してきたが、これらのモデルでエッジスクリーンをどのように使っているか調査したところ、「一番使われているのは、よく使う機能をショートカットに設定すること」(ソ氏)だという。そこで、Galaxy S7 edgeではエッジスクリーンを拡張し、「セルフィーを撮る」「○○に電話をする」といった特定の動作をショートカットにできる「タスクエッジ」や、先述の「クイックツール」などを搭載した。こうした機能は海外でも好評とのことだ。
上記エッジスクリーンの新機能は、Android 6.0にアップデートをしたGalaxy S6 edgeでも利用可能になる。過去機種であっても「最新の機能を利用して満足してもらうことを基本方針」(ソ氏)としているため、「Galaxy S7 edgeが発売される前に、S6 edgeはソフトウェアのアップデートで実現した(→Samsung、GalaxyシリーズのAndroid 6.0更新開始 エッジスクリーンに新機能も)。エッジの機能をより多くの人に使ってもらえるようにした」と話す。アップデートでさまざまな機能を追加できるのはスマートフォンの魅力だが、こうした姿勢はぜひ継続してほしい。
デザインはより滑らかに
デザインについては、Galaxy S6/S6 edgeから取り入れた流線型のボディーを継承し、「曲面の美しさを実現できるよう」(ソ氏)こだわった。さらにS6よりも滑らかなカーブを描かせ、S7シリーズはグリップ感を向上させた。カラーについては「S6もS7も、宝石の色をコンセプトにしている」(ソ氏)が、S6で特徴的だった「グリーンエメラルド」はS7/S7 edgeでは見送られた。その代わりかは分からないが、S7では「ピンクゴールド」が追加され、現在は韓国で販売されている。
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