「1980円スマホ」で第3極目指すUQ mobile 量販店ではauスタッフも動員し“総攻撃”へ
UQ mobileは、1980円でデータ通信2GB/通話60分相当が利用できる「イチキュッパ割」を発表。量販店を中心に販売チャンネルも拡大し、auスタッフとの連携も図る。
UQコミュニケーションズは、格安SIM/格安スマートフォンサービス「UQ mobile」の値下げとサービス拡充を7月1日に行う。また新モデル「DIGNO L」も7月末に発売する。
今回発表した「イチキュッパ割」は、「ぴったりプラン」の月額2980円(税別、以下同)を13カ月限定で1980円に割引くもの。上位プランの「ぴったりプラン たっぷりオプション」も1000円値下げし、2980円で提供する。
ぴったりプランには月間データ容量1GBと無料通話分1200円(30分相当)が含まれているが、これをデータ2GB/通話2400円分(60分相当)へ倍増。たっぷりオプションもデータ6GB/通話4800円分(120分相当)が利用できる。イチキュッパ割は期間限定で14カ月目からは料金が元にもどるが、データ容量と無料通話分は倍増のまま、25カ月間続ける。
DIGNO Lは、KDDI(au)が発売した“ハンドソープで洗えるスマホ”「DIGNO rafre KYV36」がベースの京セラ製端末。端末価格は未定だが、UQの端末購入割引などを適用して実質0円で販売する見込みだ。
6月23日から、ユーザー専用の「UQ mobileポータルアプリ」も配信。データ通信の高速モードと節約(速度制限)モードをワンタッチで切り替えでき、データ残量もひと目で確認できる。UQ mobileは速度制限時の通信速度が上下300kbpsと、他の通信事業者に比べて比較的快適。300kbps通信ではデータ残量もカウントしないため、動画視聴は難しいが「SNSが無料で利用できる」として訴求する。
このほか、WiMAXサービスで行っている15日間の無料貸し出しサービスもスマホに拡大。「Try UQ mobile」として、端末+SIMカードのセットまたはSIMカードのみ(nanoSIM)を貸しだす。サービスはデータ通信のみで、音声通話はできない。
量販店ではauスタッフも動員して「総攻撃」
UQ mobileはKDDI子会社のKDDIバリューイネイブラー(KVE、2014年12月設立)が開始したMVNOサービスで、UQはブランド名を貸しているだけの関係だった。後に量販店での営業協力を開始し、さらに2015年10月にUQコミュニケーションズとKVEが合併したことで、一体経営がスタート。その間、SIMロックの解除義務化や総務省のタスクフォースで携帯電話料金の値下げ議論が行われるなど、MVNOには追い風が吹いている。
UQコミュニケーションズの野坂章雄社長は「スマホは新規参入で勉強させていただいた。(ぴったりプランで)思い切った価格設定にしたが、“ピッタリスマホ”というスタンスがどこまで浸透しているのか。そして政府主導の値引きなどこれで良いのか? と思う点もある。UQ mobileはこの夏、価格と価値のバランスが取れた『プレミアムなコスパ・スマホ』で市場の第3極を目指す」と、値下げとサービス拡充による攻勢を誓った。
軸となるぴったりプランは女性比率が44%と高く、無料通話を倍増することで通話へのニーズも8〜9割をカバーできると予測する。第三者機関の調査ではUQ mobileの実効速度はMVNO中トップで、ユーザーの満足度も高い。WiMAXで好評だった契約前の貸し出しサービスをスマホでも開始し、高い満足度をキープしたい考えだ。
そしてこの夏からは、販売チャネルも増強。WiMAXで築いた量販店の販売力を生かし、UQ mobileの取り扱い店舗を現在の200〜300店舗から1000店舗に拡大する。さらに、量販店店頭ではグループのauスタッフと連携してスタッフを4000人に増員する計画で、「UQと言えば量販店。4000人の1000店舗体制で総攻撃に出る」(野坂社長)と意気込む。販売スタッフを電話で支援するセールスアシストセンターも6月から稼働した。
量販店以外でも、いわゆる併売店での販路を拡大。中古端末販売のゲオモバイル/ゲオショップでは、指定の中古スマホと一緒にUQ mobileのSIMを契約すると、最大1万2000円の割引が受けられるという施策も行っている。
プロモーションにも力を入れ、モデルの堀田茜さんを起用したテレビCMを7月8日から全国でオンエア。WiMAX 2+のキャラクターでおなじみとなった「ブルーガチャムク」も、ガチャピンをUQ mobile仕様のピンクにイメージチェンジした。
通話込みで1980円という価格帯は、ソフトバンクのサブブランドであるY!mobileを始め、他のMVNOもサービスを投入。さらに親会社のKDDIも、iPhone SE限定で月額1980円のプランを用意するなど、これから激しい競争が予測される価格帯。野坂社長は「WiMAXで培った営業やサポートの全ノウハウを注入したい」と、格安スマホ事業への自信を見せた。
さらにWiMAXサービスについても、「キャリアアグリゲーションと4×4 MIMOで、下り最大440Mbpsに高速化したWiMAX 2+を年内に開始したい」(野崎社長)と述べ、データ通信で業界最速に返り咲くという考えも示した。
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