検索
コラム

3年前の「iPhone 5s」がいまだに“現役”の理由(1/2 ページ)

発売から3年がたとうとしている中で、いまだに売れている「iPhone 5s」。Y!mobileとUQ mobileが取り扱い、iPhoneを安価に運用したい層に訴求している。なぜ5sの人気は衰えないのだろうか。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 スマートフォンは半年〜1年ほどで立て続けに新製品が登場し、新機種も1年を過ぎると「過去の機種」になり、生産が終了するケースがほとんどだ。そんな状況下でいまだに売れ続けているモデルがある。Appleの「iPhone 5s」だ。

iPhone 5s
「iPhone 5s」のゴールド

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手キャリアは既にiPhone 5sの販売を終了しているが、2016年3月にソフトバンクが運営するY!mobileがiPhone 5sを発売。新生活前に発売したことで、4月から高校に入学する若年層によく売れ、3月以降のスマホの販売数が、2015年よりも約3倍伸びた。7月15日にはUQコミュニケーションズが運営する「UQ mobile」でも販売を開始した。

iPhone 5s
Y!mobileではiPhone 5sを発売した3月以降、スマホの販売数が前年比で約3倍伸びたという

 iPhone 5sは中古市場でも人気が続いており、例えばゲオ店舗の2016年6月における中古スマホ販売ランキングでは、ドコモ、au、ソフトバンクのいずれも上位はiPhone 5sかiPhone 5が独占している。

 iPhone 5sは、2013年9月に発売されたモデル。買い換えサイクルの短いスマートフォンにおいて、3年前のモデルを通信キャリアやMVNOが新規で取り扱うというのは異例だ。もちろん販売の数量はiPhone 6や6sには及ばないだろうが、5sに対する一定のニーズがあることは分かる。なぜ、5sがいまだに注目を集めているのだろうか。

格安SIMやスマホのデビューに最適

 Y!mobileとUQ mobileが扱い始めたのは、iPhone 5sが「格安SIMを安価に運用できるiPhone」という点が大きい(Y!mobileはMVNOではないが、ここでは格安SIMに分類する)。MM総研の調査によると、MVNOが展開している格安SIMの契約数は2016年3月末時点で、前年比65.5%増の539.4万回線まで増えている。FREETELが5月佐々木希さんを起用したCMを大々的に打ち始めるなど、MVNO各社はITリテラシーの高くない一般層へのアプローチを試みている。

 その際にネックとなるのが「端末」だ。日本では世界的にもiPhoneのシェアが高く、スマートフォンでは50%を超えている。iPhoneはシンプルな操作性から初心者にお勧めしやすい。しかし端末代が高く、SIMロックフリー版だと10万円を超えることもある。

 2016年3月にはiPhone 5sの純粋な後継機である「iPhone SE」が発売されたが、SIMロックフリーの16GBは4万7800円(税込、以下同)、64GBは5万9800円。確かに7万8800円〜10万1800円のiPhone 6sよりは安いが、格安とまではいかない。

 Y!mobile向けiPhone 5sの一括価格は16GBが5万4540円、32GBが6万4908円なのでiPhone SEのSIMロックフリー版よりも高いが、24回の「月額割引」を適用すると、16GBは実質1万6740〜5184円、32GBは実質3万8880〜2万5920円にまで割り引かれる。

 UQ mobile向けiPhone 5sは16GBモデルのみで一括価格は5万400円。端末購入アシストで支払い、「ぴったりプラン」に加入すると月1400円、「たっぷりオプション」に加入すると月1900円が「マンスリー割」として割り引かれ、24回分を引いた実質価格はそれぞれ1万6800円、4800円となる。

iPhone 5sとiPhone SEの価格(税込)
iPhone 5s(Y!mobile) iPhone 5s(UQ mobile) iPhone SE(SIMロックフリー)
16GB 32GB 16GB 16GB 64GB
一括価格 5万4540円 6万4908円 5万400円 4万7800円 5万9800円
毎月の割引 1512〜2052円 1080〜1620円 1400〜1900円
実質価格 1万8144〜5184円 3万8880〜2万5920円 1万6800〜4800円
※Y!mobile向けiPhone 5sの一括価格は108円の頭金を含む。

 ゲオの場合、ドコモ版iPhone 5sの良品は16GBが2万4800円、32GBが2万7800円、64GBが2万9800円(2016年6月のデータ)。ドコモ回線を使った格安SIMをSIMロック解除せずに利用できるので、auやソフトバンク版よりは高いが、iPhone SEのSIMロックフリー版よりは2万〜3万円安い。ゲオは「OCN モバイル ONE」のSIMを「ゲオモバイル」として販売しているので、中古iPhone 5sをセットで販売すると、さらに売れそうな気がする。

 このように、Y!mobileやUQなら実質1万円前後、中古ならドコモ版でも2万円台で購入できるiPhone 5sは、格安SIMと組み合わせて安く運用するのに最適なiPhoneなのだ。

ドコモ系列のMVNOがiPhone 5sを扱えば……

 iPhone 5sはソフトバンクやKDDIでなく、Y!mobileとUQが扱っていることに意味がある。Y!mobileはソフトバンクのサブブランドで、UQ mobileも事実上KDDIのサブブランドになっている。大手キャリアがiPhone 6sやSEを販売し、Y!mobile/UQ mobileがiPhone 5sを販売することで、同じiPhoneを扱うキャリア/MVNOですみ分けができるというわけだ。

 気になるのはドコモの動きだ。グループ会社のNTTコミュニケーションズが「OCN モバイル ONE」を展開しているが、ドコモとNTTコムの連携は今のところ見られず、ドコモもMVNOをサブブランド化する可能性は否定している。それでも、MVNO最大手のNTTコムがiPhone 5sを取り扱い、販路を広げられれば、さらに市場が動きそうだ。

基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る