4G/3Gのデュアル待受スマホが国内登場! ソフトバンク「アメリカ放題」で混乱も:5分で知る最近のモバイルデータ通信事情(1/2 ページ)
4G/3Gデュアル待受に対応するMoto G4 Plusが国内発売。「デュアルSIM」活用は日本で普及するのだろうか? ソフトバンクのアメリカ放題がキャンペーン終了で混乱も。
ドコモ、下り最大370Mbps対応のモバイルWi-Fiルーター「HW-01H」を発売
NTTドコモは、下り最大370Mbps対応のモバイルWi-Fiルーター「Wi-Fi STATION HW-01H」を6月29日に発売した。ドコモオンラインショップでの本体価格は一括(総額)で2万736円(税込、以下同)。月々サポートを差し引いたいわゆる「実質価格」は1万368円だ。
HW-01Hは、ドコモが新しく提供を開始したTD-LTEの3.5GHz帯に対応しており、既存のFDD-LTEと組み合わせた3波CA(キャリアアグリゲーション)によって、東名阪エリアでは下り最大370Mbpsに、その他全国エリアでは332.5Mbpsに対応する。
下り最大370Mbpsに対応するモバイルWi-Fiルーターは、KDDIおよびUQコミュニケーションズとMVNO各社から「Speed Wi-Fi NEXT W03」が発売されており、理論上ではHW-01HとW03の下り通信速度は同じだ。ただしKDDI系のW03は、既に多数のユーザーがいる周波数帯を使って通信速度を下り最大370Mbpsに引き上げた。
これに対してドコモの場合、TD-LTEの3.5GHz帯に対応する機種がHW-01Hのみ。下り最大370Mbps対応エリア内で比較した場合、混雑具合などからHW-01Hの方が実効速度が高くなると考えられる。
海外旅行シーズンにあわせてローミングサービスが拡充、ソフトバンクは「アメリカ放題」終了で混乱
夏の海外シーズンにあわせて各社の海外ローミングサービスやキャンペーンの発表が相次いだ。
KDDIが7月22日に提供を開始する「世界データ定額」は、24時間/980円(非課税)で海外データ通信が利用できるサービス。980円を支払うことで、国内で契約しているパケット定額サービスの容量を海外でも使えるようになる。当初は8月から提供予定とされていたが、サービス開始が前倒しされた。
「利用開始から24時間、海外でのデータ通信が定額料金になる」という点はドコモの「海外1dayパケ」と同様だが、ドコモの場合は利用可能な高速データ通信量が30MBまでで、世界データ定額の方が使い勝手が高いのは明らかだろう。
またKDDIの世界データ定額は、海外で利用可能な通信量が国内で契約しているプランの範囲内に収まるのも特徴だ。コストアップにつながる無制限な定額制ではないため、KDDIとしても過大な負担の恐れが少ない。ユーザーとしても、24時間ごと980円の追加料金はあるが普段使っているのと同じ感覚でデータ通信が利用できる。双方にバランスの取れた良いサービスであるように思う。
このKDDIの世界データ定額に対抗してか、ドコモは海外向けのデータ通信定額サービス「海外1dayパケ」の通信量を無制限にするキャンペーンを7月14日から9月末まで実施中だ。通常は高速データ通信が30MBまでに制限されているが、キャンペーン期間中は韓国・台湾・グアム・サイパンの4エリアに限り、海外1dayパケでの高速通信が使い放題になる。現地での通信量は国内契約のプランと関係ないため、対象エリアで思い切りデータ通信をするならメリットは大きい。
ドコモとKDDIが海外向けローミングサービスを強化する一方、ソフトバンクの「アメリカ放題」では無料キャンペーンに関するちょっとした騒動が起きた。
アメリカ放題は、米国滞在中の音声通話やデータ通信が国内と同様に定額料金で使えるサービス。本来は申し込みが必要で、月額980円(データ定額パック・標準(5GB)以上を契約時は無料)がかかる。
しかし2014年9月のサービス開始直後から、キャンペーンとして申し込み不要・月額料金不要という状況が2年近く続いた。そのため多くのユーザーが、本来は申し込みが必要ということを意識しなかったのだろう。
このキャンペーンが6月30日にいったん終了とアナウンスされたことで、問題が巻き起こった。7月1日以降は正式に申し込んでいないユーザーに海外ローミング時の料金が課金されるという事態が起き、告知が十分ではなかったこともあって「予期せぬ高額請求が発生している」というユーザーからの報告が相次ぐ結果となった。
アメリカ放題はグループ企業のSprintのネットワークを利用するものだ。通常の海外向けローミングサービスとは異なり、ソフトバンクの端末はデータローミングを「無効」にしていてもSprintのネットワークには自動で接続し、データ通信が可能となる。このため「データローミングをオフにしていれば高額請求は発生しない」という一般的な対策が通用しなかったことも、アメリカ放題のキャンペーン終了に伴う影響が大きくなった原因といえる。
結果的に、ソフトバンクはアメリカ放題が申込不要・月額料金不要で使えるキャンペーン期間を7月1日以降も延長することを発表したため、キャンペーン期間終了に伴って高額請求が発生したユーザーを含めて救済される形となった。ただ、次回のキャンペーン終了に伴って再度同様のトラブルが発生する可能性があることを考えると、ソフトバンクを契約しており米国へ渡航予定がある場合はアメリカ放題を申込しておいた方が良いだろう。
あくまで個人的な見解ではあるが、アメリカ放題はキャンペーン期間終了後も申し込み不要とし、Sprintのネットワークに接続した場合に初めて月額料金が発生する―という仕組みの方がトラブルを避けられると思う。
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