「若者」「女性」にも広がり始めた格安SIM――2016年上半期のMVNOサービスの動向を振り返る(1/3 ページ)
従来は「40代男性」「データプラン」を中心に普及してきたMVNOサービスだが、女性ユーザーの増加、音声通話プランの契約者増加など変化が出てきた。「タスクフォース」後は、どのような状況になったのだろうか。
「格安SIM」や「格安スマホ」という言葉を耳にする機会が増えた。総務省の「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」での議論(参考記事)と、それを踏まえた総務大臣からの要請により、大手キャリアの割引施策が見直されたことで、格安SIM・格安スマホに対する注目はより高まっている。
2016年前半(1月から6月)において、格安SIM・格安スマホはどのような推移を見せたのだろうか。MMD研究所が7月27日に開催したメディア向けMVNO勉強会「2016年上半期の振り返りと下期の展望」での報告を通して見ていこう。
用途:「メイン回線」にする人が増加傾向
「格安SIM」と呼ばれることの多いMVNOの通信サービスは、大手キャリア(MNO)の割高なデータ通信料金に対する節約目的、あるいは容量不足を補う目的で「サブ回線」として契約される傾向にあった。
MMD研究所の吉本浩司所長によると、2015年4月に行った調査でMVNOサービスを「メイン回線」として使っていると答えた人はわずか2.1%だったが、1年後の2016年4月の調査では5.6%になったという。1年間で割合が2.6倍増えたことになる。
MNOとしては格安な料金である「Y!mobile」(ソフトバンク)も含めると、4.6%から8.9%となった。後述するMVNOサービスにおける音声通話プランの選択率向上とあわせて見ると、低料金の通信サービスがより広く支持されつつあることがうかがえる。
ユーザー:「40代男性」中心で変わらず しかし若い男女ユーザーも増加
MVNOサービスのユーザーは、「30〜40代の男性」が中心であるといわれている。MVNOサービスをより広く普及させるためには、アーリーアダプター層、とりわけ若年ユーザーや女性ユーザーの比率を高めることが課題である(参考記事1/参考記事2)。
MMD研究所が2016年1月と5月に行った格安SIMに関する調査によると、両月の比較において、MVNOサービスのユーザーは40代男性が中心であることには変わりない。しかし、5月の調査では1月よりも「20代の男性」と「20代・30代の女性」の割合が高まっている。吉本所長の言葉を借りれば、格安SIMが「おじさんだけではなく、若者にも浸透してきている」結果といえるだろう。
関連記事
- 「音声SIM」を「端末セット」で――女性の「格安SIM」ユーザーの傾向
MVNOが提供する、いわゆる「格安SIM」は男性ユーザーの割合が高い傾向にある。だが、少しずつではあるが女性ユーザーも増えてきている。購入の傾向には、有意な男女差が見られるようだ。 - 女性は「格安SIM」に“不安”を覚える? MVNO2社が語る普及への課題と解決法
認知度の高まってきた感のある格安SIM。しかし、その購入者の多くは男性で、女性はまだ少ない。“不安”がつきまとうからだという。どのような不安が、阻害要因となっているのだろうか。 - 2015年度のスマホ+タブレットの出荷台数は過去最多の3794万台に
ICT総研は「2016年度 スマートデバイス市場動向調査」の結果を発表。2015年度のスマートデバイス出荷台数は年度ベースで過去最多の3794万台となり、タブレットの出荷台数予測は2016年度に951万台とPCの出荷台数に並ぶ見込み。 - MM総研、国内MVNOの利用状況を調査――「価格が高くてもキャリアの方がよかった」は少数
MM総研は、国内MVNOの利用状況に関する調査結果を発表。利用者の満足度は62.7%、推奨意向は67.9%で、「価格が高くてもキャリアの方がよかった」は少数にとどまった。 - シニア層の格安SIMユーザーは7.2%――MMDの調査
MMD研究所は、60〜79歳を対象とした「シニアのスマートフォン、タブレットの所有に関する調査」を実施。スマートフォン所有率は38.5%で、2015年より10.7ポイント増となった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.