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それは見事なまでの調和――新型MacBook Proを触れて感じた“上手な革新”(1/2 ページ)

今回発表された新生MacBook Proの魅力はどのようなものなのか。とりわけiPhoneユーザーが買うノートPCとして、どのような価値があるのか。Apple Special Eventの発表を交えながら、ハンズオン会場でのファーストインプレッションをお届けしたい。

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 10月27日(現地時間)、Apple本社に世界各国のジャーナリストやメディア関係者が集まった。同社の「タウンホール」にて、2016年最後となる「Apple Special Event」が開催されるからだ。9月のiPhone 7/7 PlusおよびApple Watch Series 2の発表時と比べて規模は小さいものの会場の熱気はすさまじく、Appleの新製品に対する期待の大きさが感じられた。

 今回、発表されたのは大きく3つ。

 1つは米本国向けの新サービス「TV」。これはApple TV、iPhone、iPad向けの新アプリ「TV」で、テレビ番組や映画をシームレスに検索して視聴できるというもので、とりわけApple TVの価値を大きく向上させるものだ。しかし残念ながら日本をはじめ米国以外では利用できない。

 2つ目はプロフェッショナル向けの映像編集ソフト「Final Cut Pro X」の大規模アップデートだ。これはUIデザインから基本性能まで大きく進化したものであり、映像業界におけるMacの重要性をさらに高めるものとなるだろう。

 そして3つ目がMacBook Proのフルモデルチェンジである。MacBook Proは2012年に行われたRetinaディスプレイ搭載以降、内部的なアップデートは随時行われてきたが、基本設計やデザインは4年以上変わらずに来ていた。しかし今回のフルモデルチェンジで基本設計からデザインまで全て刷新され、MacBookシリーズの基幹にふさわしい先進化が施された。

MacBook Pro
15型の新型MacBook Pro
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15型のMacBook ProはCore i7を搭載。廃熱のための冷却機構も新設計。これにより映像編集など負荷の大きい作業でも、静かに、しかし確実に廃熱が行われるという
MacBook Pro
13型のMacBook Proは、Touch Barありとなしの2種類がある

 新生MacBook Proの魅力はどのようなものなのか。とりわけiPhoneユーザーが買うノートPCとして、どのような価値があるのか。Apple Special Eventの発表を交えながら、ハンズオン会場でのファーストインプレッションをお届けしたい。

PowerBookから25年 MacBook Pro、大いなる飛躍

 「今年(2016年)は初代PowerBookの登場から、ちょうど25周年目にあたる。そしてこの25年間、AppleはノートPCの分野で先進的な製品を投入し、革新をしてきた」

MacBook Pro
MacBook Pro
2016年はちょうど初代のPowerBook登場から25周年

 冒頭、Apple CEOのティム・クック氏がアピールする通り、MacBookシリーズは常に先進的であり、すばらしいデザインと新しい提案を続けてきた。例えば、ここ最近では、前社長であるスティーブ・ジョブズ氏が封筒からそっと取り出したMacBook Airがそうであるし、そのディスプレイの美しさから世界中のPCユーザーにめまいを起こさせた初代のRetinaディスプレイ搭載MacBook Proなども恒例である。

MacBook Pro
Apple CEOのティム・クック氏
MacBook Pro
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キーノート冒頭では、iPhone 7/7Plusの好調ぶりとともに、日本でのApple Pay対応について詳しい紹介があった。今のAppleが日本を重視していることが分かる

 そして今回フルモデルチェンジしたMacBook Proも、数多くの新たな機能・提案が盛り込まれており、インパクトの大きさでは過去の名機に勝るとも劣らない。

 なかでも注目の新機能が「Touch Bar」である。これは従来のファンクションキーがあった場所に位置するマルチタッチディスプレイであり、利用シーンやアプリに応じて柔軟に機能が割り振られる。またこのTouch Bar自体もRetinaディスプレイであり、単純に機能ボタンが表示されるだけでなく、写真のサムネイルを表示したり、Safariの履歴をWeb画面のイメージのまま表示するといったことも可能だ。物理的なキーボードと従来のディスプレイを補完するタッチパネルディスプレイという役割分担は、任天堂の「ニンテンドーDS」をイメージすると分かりやすいかもしれない。

MacBook Pro
MacBook Pro
MacBook Pro
新型MacBook Pro最大の特徴となるTouch Bar。アプリやOSの使用状況に応じて、フレキシブルにディスプレイ部分の機能ボタンが変化する。タップだけでなくスワイプでの操作も可能だ

 このTouch Barを実際に目にすると、まるで印刷されたかのような高精細な表示にまず驚かされる。そして触れてみると、ディスプレイ部分はさらりとした硬質な質感でとても心地よく、指の動きにダイレクトに反応する。ファンクションキーの代わりとしての「タップ=押す」という動作だけでなく、長押しによるコンビネーションキーや、スワイプによるモード変更・遷移といった操作が可能となっており、その使いやすさは体験して数分もかからずに分かる。

 また何よりもすばらしいのは、Touch Barと各アプリとの連携だ。macOS Sieraの基本部分はもとより、メールやスケジュール、WebブラウザのSafari、メッセンジャー、iTunesなど、主要なアプリはそれぞれ独自にTouch Bar上のメニューを実装。他社製アプリでは、Microsoft製の「マイクロソフト・オフィス」の最新版なども、Touch Bar対応のデモンストレーションを行っていた。Touch Bar上の操作とアプリの動きは遅延なく連携しており、操作性はすこぶるよい。ハードウェアの新機構とOS、そしてアプリが見事に調和するところはAppleならではのこだわりといえる。

 実際、筆者はハンズオン会場でMacBook Proを短時間使っただけで「Touch BarなしのPCには、もう後戻りできない」と実感し、その後すぐに自分用のMacBook Proをオンライン購入してしまった。それほどまでにTouch BarとOS/アプリの連携はすばらしいのだ。

 なお、一部で物理的なファンクションキーに代わってTouch Barとなることに対して、「ESCキーがなくなってしまうのではないか」や「ファンクションキー利用を前提にした従来アプリが使えなくなるのではないか」「日本語入力がしづらくなるのではないか」という不安の声があった。しかし、これらは全て杞憂である。

 まず、ESCキーはTouch Barでも基本操作の1つとしてプリセットされており、必要に応じてすぐに呼び出せる。そしてキーの位置やサイズは物理キーの時よりも使いやすい。

 ファンクションキーを前提にしたアプリの操作については、キーボード上のFnキーを押すことでTouch Bar部分に従来のファンクションキーを表示させることができるので、これもまた問題ない。

 そして日本語入力の部分については、日本語入力ソフト側がTouch Barに必要な機能を割り当てれば済む話なので、これもあまり大きな問題にならないだろう。Touch Bar部分にどのような機能を割り当てるかはアプリ開発者に解放されており、それはサードパーティー製の日本語入力ソフトでも例外ではない。

MacBook Pro
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Touch Barはカスタマイズ可能
MacBook Pro
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Fnキーを押すことで、従来のファンクションキーを表示することができる

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