10Gbpsの高速通信にも実現のめどが――ドコモが5Gの最新技術やサービス像を披露(1/2 ページ)
NTTドコモは11月17日から18日にかけて、同社の最新技術などを展示する「ドコモR&Dオープンハウス」を開催。同イベントの開催に先駆けて、11月16日にはドコモは次世代の通信技術とされる「5G」に関する取り組みを報道陣に公開した。
11月17日と18日の2日間にかけて、NTTドコモは神奈川県横須賀市の研究施設「NTTドコモ R&Dセンタ」で「DOCOMO R&D Open House 2016」を実施した。このイベントでは、NTTドコモが研究・開発しているさまざまな技術の研究成果が披露されていた。
今回のイベントの中で特に力を入れているのが、現在ドコモがLTE-Advanced方式を用いて展開している高速通信サービス「PREMIUM 4G」の次世代規格となる「5G」である。そこで同社は11月16日、DOCOMO R&D Open House 2016の実施に先駆けて、5Gの取り組みを主体とした同社の最新の取り組みを報道陣向けに公開した。
ドコモでは東京五輪を迎える2020年に、5Gの商用サービスを提供することを目指して技術の開発などを進めている。ドコモの5G推進室長である中村武宏氏によると、同社では10Gbps以上の高速通信に、1ミリ秒(1000分の1秒)以下の低遅延、そしてIoT時代に備え同時接続数を現在の100倍とするなど、5Gでいくつかの目標性能を定め、その実現に向けた研究を進めているという。
そして現在5Gは、W-CDMAやLTEなどの通信方式の標準化を進めてきた3GPPで、標準化が進められている最中だ。「2018年中に仕様が決まれば、2020年の商用サービスが実現できると」と中村氏。早期の標準化実現、そしていち早く商用サービスを実現するためにも、同社ではさまざまな企業と連携して5Gの実証実験に取り組んでいく。
Ericssonとの取り組みでは20Gbps超えも
そうした実証実験の成果の1つとして、中村氏はEricssonとの屋内外実験を挙げている。この実験では帯域幅が720MHzの15GHz帯を用い、1端末当たり10Gbps超、2端末同時接続でも20Gbps超の通信速度を既に実現しているとのこと。移動機側のチップセット性能の向上を考慮しても「2020年には数Gbps、さらにその数年後には10Gbpsの実現が可能な範囲に来ている」と話し、5Gで最も注目される要素の1つである、高速通信を実現するめどはある程度立っているとした。
HuaweiとのMU-MIMOでは10Gbps超えを実現
Huaweiとは、大規模なMU-MIMO(マルチユーザーMIMO)の実証実験に取り組んでいる。横浜メディアタワーの周辺に多くの移動機を設置し、各移動機の通信速度の合計が、ピーク時で11.29Gbpsを実現したという。MU-MIMOを用いることで狭い帯域幅でも高速通信が可能になるので、「周波数の利用効率はLTEの約5倍に向上している」とも中村氏は説明した。
その23台の合計通信速度をリアルタイムで測定しているところ。200MHz幅と、先のEricssonのシステムより狭い帯域幅を用いながら、合計の通信速度は10Gbps超えを実現。周波数利用効率が高いことが分かる
サムスンとは高速走行時の通信を実験
そしてサムスン電子とは、5Gの高速無線通信が、高速走行時も実現できるかどうかの実証実験を実施。5Gでは従来よりも高い周波数帯を多く利用するため、電波を面的に広く射出するのではなく、電波の指向性を高め端末に向けて直接電波を飛ばすケースが多くなる。そうした指向性の高い電波が、高速移動に対応できるかを富士スピードウェイで実験し、結果時速150kmの走行時でも、最大2.59Gbpsの通信速度を計測した。
Nokia、富士通との実証実験も
この他にも、ドコモ多くの企業と実証実験を進めている。例えばNokiaとの実証実験では、70GHzを超える高い周波数帯の電波を用いて端末に電波を飛ばし、追従する伝送実験を実施。さらに電波の様子を可視化できるデモも展示していた。
富士通とは、6角形の分散アンテナユニットを用い、アンテナをバラバラに配置することによって大容量化を実現する高密度分散アンテナ技術の実験を実施。会場ではアンテナを集中して配置するよりも高い通信速度を実現していたが、場所によっては集中配置した方が速い場合もあることから、適宜組み合わせを変えて設置することを想定している。
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