AIチップ搭載でさらに賢く Huawei「Mate 10」「Mate 10 Pro」はココが変わった(1/2 ページ)
Huaweiが新型スマートフォン「Mate 10」と「Mate 10 Pro」を発表した。従来の「P10」や「Mate 9」から何が変わったのか? 発表会の現地レポートをお届けする。
2017年10月16日(現時時間)にHuaweiは大画面スマートフォン「Mate 10」「Mate 10 Pro」をドイツで発表した。あわせて、ポルシェデザインとコラボレーションしたモデル「Mate 10 Porsche Design」も投入。この冬の最新モデルとしてハイスペックな端末が一気に3機種も登場する。ライカカメラを搭載した「P10」や、2016年に発売した「Mate 9」から、これら3モデルはどのように進化したのだろうか?
Mate 10 Proは画面のアスペクト比が18:9に
Mate 10は5.9型、Mate 10 Proは6型のディスプレイを搭載する。しかし両者の差は画面の大きさだけではなく、縦横の比率も異なっている。Mate 10は従来製品と同じ16:9のアスペクト比なのに対し、Mate 10 Proは18:9と縦に長い、最近各メーカーが採用を進めているシネマサイズのディスプレイを搭載しているのだ。
Mate 10はMate 9と全く同じディスプレイサイズだが、ベゼル幅を狭めることで横1.1mm、縦6.4mm小型化している。フロント面にディスプレイが占める割合は81.79%と広く、パッと見るとフロント全体がディスプレイのようにも見える。「ブラウジングや電子書籍を読むときなどに適した画面サイズ」とユー氏はMate 10をアピールしている。
Mate 10 Proは6型ながらも横幅は77.8mmで、Mate 10の78.9mmよりも細い。さらには5.5型のiPhone 8 Plusの78.1mmよりもスリムであり、大画面ながらも片手で持てるサイズを実現。ハンドリングの良さと多くの情報を1画面で表示できるのがメリットだ。
端末をそれぞれ持ってみると、Mate 10はベゼルの細さを確かに実感できる。前面いっぱいに広がるディスプレイも見やすく、ビュワーとして毎日使いたいと思わせてくれる仕上がりだ。ディスプレイ解像度がMate 9のフルHDからQHDに増えたこともあり、より精緻な描写が可能になった。
そしてMate 10 Proは6型とは思えない細身のスタイルが心地よい。背面は緩やかな3Dカーブ形状となっていることもあり、持ってみると手のひらでしっかりとホールドできる。サイズ感はひとまわり下の画面サイズと思えるほど。縦向きでも横向きでも従来のスマートフォンよりも表示エリアが広く、SNSのタイムライン表示や、ワイドサイズの動画を見るのも快適だろう。
Mate 10 ProはIP67の防水・防塵(じん)に対応したことも、大きな進化点だ。
カメラ周りのデザイン処理が新しい
ところで両モデルとも、背面側の処理はPシリーズや過去のMateシリーズとは大きく変えている。まずカメラはHuawei製品のほとんどが出っ張りのないツライチ仕上げとし、それを1つのアピールポイントとしていた。しかしMate 10シリーズではF1.6という明るいレンズを搭載したことからか、カメラ部分はわずかに出っ張りがある。
しかしカメラの位置を本体中央に上下配置とし、左右対称のデザインとしたことで美しい見た目に仕上げている。さらにはカメラに並行するように細かいストライプ処理を施したラインを左右に入れることで、一体化された背面が3つのパーツに分かれているようなデザインとしている。また背面の素材はガラスで、内側はカラーフィルムなどが挟み込まれた5層仕上げとなっており、光沢がありながらも深みのある色合いを出している。
ラグジュアリーなMate 10 Porsche Design
ポルシェデザインモデルとなるMate 10 Porsche Designは、Mate 10 Proのスペックをラグジュアリー化した製品だ。フロント側は画面の下にロゴが入るものの落ち着いたイメージ。一方背面は、カメラ周りの処理をノーマルのMate 10シリーズと90度向きを変え、縦にラインを入れている。この流れるようなデザインはポルシェのイメージをほうふつとさせる。価格は日本円で18万5000円程度となるが、その価格の価値を十分感じることができる。
高速化とAI処理が可能な「Kirin 970」を搭載
Mate 10シリーズの最大の特徴は新開発されたプロセッサ「Kirin 970」を搭載したことだ。Kirin 970はCPUとGPUに加え、NPU(ニューラルネットワーク処理ユニット)を追加したことで、高速化とAI処理を端末側で可能にする次世代のチップセットである。内蔵モデムは4×4 MIMO、5バンドのキャリアアグリゲーション(FDD×3+TD×2)、256QAMに対応し、理論値で下り最大1.2Gbpsとギガビット通信を実現。これは現時点の商用製品で最速だ。つまりKirin 970は端末側での処理だけではなく、クラウドへのアクセスも高速に行えるのである。
Kirin 970の高速化についてはユー氏がプレゼンテーションで画像認識処理の速さを他社製品と比較して説明し、13のシーンを自動判別するカメラの機能がデモされた。これらの差は実製品を使い始めていきなり体験できるというよりも、毎日使い続けていくうちにその速さが当たり前のものとなり、前の機種を使ってみると「こんなに遅かったのか」と感じられるものかもしれない。
実際にカメラを使って花や人物を撮影してみると、カメラが瞬時に被写体を判別して最適なモードに切り替えてくれる。「全体の色が暗かった」「赤い色がくすんで見える」といった撮影トラブルは皆無になりそうだ。
また高速化のデモとして、プリインストールされたマイクロソフト製の翻訳アプリを試せた。カメラで外国語をスキャンして翻訳する速度は早く、ほぼリアルタイムに翻訳が可能だ。HuaweiはKirin 970のAIシステムを開放しており、サードパーティーがAIに最適化したアプリを自由に開発できる。より高速処理が可能なアプリやサービスが、これから登場することが期待できる。
Mate 10シリーズはAndroid 8.0をベースにしたHuawei独自のUI「EMUI 8.0」を搭載する。マルチウィンドウへの対応は1つの売りとなっており、スマートフォンの使用中にメッセージが届いた時に、メッセージウィンドウをタップするだけで2画面をすぐ表示することもできる。18:9のワイド画面搭載のMate 10 Proに最適な機能の1つだ。
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