安定のHuawei、勢いの止まらぬOPPO、復活のXiaomi 2017年の中国メーカーを振り返る:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
2017年も中国メーカーがし烈な争いを繰り広げている。安定のHuawei、急成長で追いかけるOPPOとVivo、そして復活の動きが見えるXiaomiだ。2017年のこれら4社の動きをざっくりと振り返ってみよう。
SamsungとAppleを追いかける3位以下のメーカーは、2017年も中国勢がし烈な争いを繰り広げている。安定のHuawei、急成長で追いかけるOPPOとVivo、そして復活の動きが見えるXiaomiが1年を通して大きな話題を振りまいてくれた。2017年のこれら4社の動きをざっくりと振り返ってみよう。
充実した製品ラインアップでシェア2位が見えてきたHuawei
ライカのカメラを搭載したフラグシップモデルが好調のHuawei。春先のP10シリーズに加え、秋にはMate 10シリーズを発表しラインアップは鉄壁だ。プロセッサの開発も順調であり、Mate 10にはAI機能を搭載するNPUを統合した「Kirin 970」を採用。高速なモデムも搭載し、しかも省電力にも強いなどスマートフォンの心臓部分の開発でも今やトップメーカーになろうとしている。2つのフラグシップの存在はHuaweiのブランド力を大きく高めている。
P/Mateシリーズ以外にはnovaシリーズも2世代目となる「nova 2」シリーズを投入し、セルフィースマートフォンとして流行をうまく追いかけている。novaシリーズは欧州よりも中国や東南アジアなど、セルフィー需要の高い国で好評だった。それ以外にはエントリー系のYシリーズを複数モデル展開。PシリーズとMateシリーズにも低価格な「lite」モデルを用意し、コストパフォーマンスに優れた製品でボリュームを稼ぐことで販売数を伸ばしている。
その一方でサブブランド「honor」のラインアップを強固にすることで、Huaweiブランド製品の隙間をうまく埋めている。honorはハイエンドからエントリーモデルまで幅広い製品があり、Mate 10と同じKirin 970を搭載する「View 10」も登場。中国国内では「Play」の名を冠した低価格モデルも多く販売された。Huawei全体での2017年の新製品数はバリエーションモデルを含めると30以上となる。カウンターポイントの調査では2017年第2四半期にAppleをわずかな差で抜いてシェア2位となったが、2018年も引き続きAppleとの差を縮めていくだろう。
パーフェクトなセルフィー端末で基礎固めを強めたOPPO
OPPOの2017年も好調な1年だった。中国やアジア市場で同社をけん引するフラグシップのRシリーズは背面カメラを2000万画素+1600万画素とデュアル化した「R11」を投入。また後継モデル「R11s」「R11s Plus」ではカメラにAI機能を搭載し、最適なセルフィーの撮影を可能にしている。インカメラも2000万画素となり、カメラスマートフォンとしての総合的な性能は大手メーカーを含め群を抜いた存在になっている。
東南アジアなど新興国にはRシリーズのプロセッサをMediaTekとし、価格を引き下げたFシリーズを投入。「F3」はOPPOで最初のフロントデュアルカメラ、そしてF5はR11sのアウトカメラをシングルにしたもの。Rシリーズの価格は日本円で5万円台だが、Fシリーズは3万円台と東南アジアの消費者でも手の届く価格に抑えられている。
この2つのモデルの下に位置するAシリーズはさらに価格が安いものの、「A77」はイン1600万画素カメラとセルフィーに強いOPPOのイメージを損なわない存在だ。他社の同価格帯の製品と比べてもインカメラ性能がひときわ高いことから、新興国ではAシリーズの人気も強い。SNS利用の多い若いユーザーに絞った製品展開が受けているのだ。
成長市場に特化した展開を行っていることからまだ伸びしろがある一方、先進国へ展開しブランド力を高める必要もそろそろあるだろう。日本参入のウワサも気になるところだ。
OPPOを追いかける戦略も一段落したVivo
VivoもOPPO同様、中国や中国語圏ではハイエンドのXシリーズ+低価格なYシリーズ、インドなど新興国にはハイエンドのVシリーズ+Yシリーズという製品展開を行っている。中国では側面を丸めたエッジディスプレイにSnapdragon 800番台のプロセッサを搭載したハイスペックなXplayシリーズも展開していたが、2017年に新製品はなかった。
VivoもOPPOもプロセッサはSnapdragon 600番台を搭載することで、5万円台の価格を実現している。Vivoはその上のモデルを展開していたが、販売数拡大のためミッド・ハイレンジとそれ以下にリソースを集中する道を選んだのだろう。
2017年秋登場のフラグシップモデルである「X20」と「V7」はインカメラを2400万画素にし、OPPOより高画素だ(V7は1200万のデュアルピクセルで2400万画素相当とのこと)。Vivoの売りはカメラに加え高音質な音楽再生機能だが、今や消費者が最も気にする機能がカメラということなのだろう。しかしセルフィーカメラの性能は画質だけではなく、美顔エフェクトなどソフトによる効果も判断基準になる。OPPOがAIに注力するように、Vivoも今後は画質の中身を強化していく必要があるだろう。
ガートナーの調査によると、2017年第3四半期は世界シェア5位の座をXiaomiに抜かれた。次の一手を求める消費者の声にどう対応していくのか、2018年はVivoの真価が問われる年になりそうだ。
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