「FeliCaはクラウドとの連携が必須」「キャリア市場にも進出する」――Huawei呉波氏に聞く、2018年の展望:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/3 ページ)
日本のSIMロックフリー市場でトップを走るHuawei。2017年12月には「Mate 10 Pro」と「Mate 10 lite」を発売した。Huawei自身は2017年をどう総括し、2018年はどんな戦略で臨んでいくのか?
「防水」ではなく「耐水」
―― 今のお話に、防水・防塵が含まれていませんでしたが、発表会では日本向けをアピールしていました。
呉氏 まず、厳密には「防水」と銘打っているわけではないことをお伝えしておきたいと思います。実際には、IP67に相当する「耐水」とうたっています。(他と)同じIP67ではありますが、宣伝に使う表現は、慎重にしているというのがその理由です。
耐水機能を付けるといっても、短期間で実現できるものではありません。これが決定されたのは、1年も前の話です。Mate 10 Proは10月にドイツで発表されましたが、決定はその1年前だったんですね。2016年の10月に防水を付けると決めていました。これは、まさに日本の消費者の声に応えた形で実現しています。
Mate 10 Proだけでなく、「MediaPad M3 Lite 10 wp」もあるので、タブレットでも耐水の新製品をお出しすることができました。どちらもプラスの反響をいただいています。家電量販店からのフィードバックとしてあるのは、他社の防水製品をたくさん売ってきたので、簡単に説明できるという声です。販売がスムーズになるといわれています。
liteシリーズを投入する狙い
―― Mate 10 Proと同時に、Mate 10 liteも発売しました。ドイツの発表会ではliteがなかったので、このタイミングで導入されたのは意外でしたが、狙いを教えてください。そもそも、各シリーズの下にあるliteとはどういう位置付けなのでしょうか。
呉氏 これを説明するには、日本のSIMフリー市場のマクロ環境を説明する必要があります。日本だと、キャリアのスマートフォンには購入補助があり、大体2〜4万円程度の実質価格になります。そのため、本体価格が8万〜10万であっても、消費者はスマートフォンは2〜4万円で買えるものと認識しています。実際、2〜4万円の製品が、一番売れていることもその証拠です。
弊社も、2〜4万円の価格帯で多くのユーザーを獲得したい。そのために、“3つのlite”を、2万円、3万円、4万円と、それぞれの価格帯で販売しています。2万円台はnova lite、3万円台はP10 lite、4万円台はMate 10 liteです。
これは面白い現象ですが、弊社がそういったラインアップにしてから、他のメーカーも、(ミドルレンジの端末を)○○liteという名前で発売するようになりました。弊社の場合、それぞれの価格帯に、異なるliteを出すことで、消費者が直感的に理解できるようにしています。
今回のMate 10 liteについては、特に家電量販店のスタッフから好評で、「売りやすい」といわれています。複雑な説明をする必要がなく、全画面で18:9、しかもカメラが前後合わせて4つ付いているので、それだけを伝えれば、消費者に刺さるようです。見てすぐに分かるスペックの高さだということですね。
―― ちなみに、地域によっては、Mate 10 liteという名称ではないという話も聞きました。
呉氏 欧州では日本と同じMate 10 liteですが、東南アジアでは、「nova 2i」という名称で販売しています。
―― liteは、あくまでliteシリーズとして存在していて、柔軟にブランドを変えている印象があります。nova liteも、「honor 8 lite」として売っている国がありますよね。
呉氏 そうですね。ただ、社内では、名前をどうするかは時間をかけて議論しています。一番の目的は、消費者が覚えやすく、分かりやすいネーミングにしたいためです。一応ですが、グローバルでは先進国向けの命名ルールがあり、名前はそれにのっとって付けるようにしています。
例えば、日本の方々が欧州に出張に行ったとき、現地の広告に同じ製品が出ていると、親近感を覚えるのではないでしょうか。実際に、ある日本の友人は出張した際に、Huaweiの広告が出ているのを写真に撮って送ってくれています。
Mate 10の投入を見送った理由
―― liteがあって、無印の「Mate 10」がなかったのも、意外な印象を受けました。これはProとliteに挟まれて、中途半端になってしまうからでしょうか。
呉氏 そうですね。発表会の翌日に、Twitterで「何でMate 10がないんだ」という書き込みがあったことを覚えています。確かに今回、Mate 10は日本にご紹介していません。日本市場に導入するのをMate 10にするのか、Mate 10 Proにするのかは、弊社の中でも議論がありました。最終的にMate 10 Proにしたのは、Mate 10 Proに耐水・防塵機能が付いているからです。長らくそういった機能が欲しいとご要望をいただいていたので、それに応えたいという気持ちもありました。
もちろん、どちらも出すという選択肢はありましたが、SIMフリー市場は年300万台のボリュームなので、一気にフラグシップモデルを2台も出すと、カニバリゼーション(共食い)になってしまう恐れがありました。これは、今年(2017年)の半ばに出した、P10とP10 Plusの教訓も踏まえています。
―― ということは、P10とP10 Plusは、競合してしまったということですね。
呉氏 例えば、Mate 10 Proの販売量を見ると分かりますが、2つのフラグシップモデルを出したときと比べて、Mate 10 Pro単体での販売量の方が(2機種合計よりも)大きくなっています。また、機種の数が増えると、それなりに経営コストが上がってしまいます。1機種に絞った方が、われわれにとっても、われわれのパートナーにとってもよかったのだと思っています。
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