ビックカメラが「ビットコイン」決済を導入した理由:モバイル決済の裏側を聞く(1/3 ページ)
ビックカメラは、2017年4月から一部店頭で「ビットコイン(Bitcoin)」決済を導入した。同7月には全店舗に対象店舗を拡大し、12月には決済限度額を10万円から30万円に引き上げ、ネットショップでもビットコイン決済に対応した。そもそも、ビックカメラはなぜビットコイン決済を導入したのだろうか。
最近、仮想通貨「ビットコイン(Bitcoin)」で商品の代金を支払える店舗やWeb通販サイトもジワジワと増えてきている。
その中でも、ビックカメラは対応店舗数で群を抜いている。2017年4月に有楽町店(東京都千代田区)と新宿東口店(東京都新宿区)に試験導入後、同7月には全店舗に展開。同12月にはWeb通販「ビックカメラ.com」でも使えるようにすると同時に、実店舗での決済限度額を「10万円」から「30万円」に引き上げた。
そもそも、同社はなぜビットコイン決済を導入したのか。また、同社の店舗でビットコイン決済をする買い物客に、特筆すべき特徴はあるのか。同社の広報担当者に話を聞いた。
決済手段を多くすることで利便性を向上させる
―― まず、ビックカメラがビットコイン決済を導入したいきさつを教えてください。
広報担当 お客さまの利便性を向上する一環として、私たちは店頭での支払い方法を充実させてきました。
例えば「Suica電子マネー」は業界に先駆けて(2005年1月から)導入を始めましたし、「iD」「QUICPay」「楽天Edy」「WAON」「nanaco」といった他の電子マネーも使えるようにしています。もちろん、クレジットカードやデビットカードも使えます。ここまでたくさんの支払い方法を用意している家電販売店は、他にはないと思います。
ビットコイン導入のきっかけ
広報担当 ビットコインについては、弊社が導入する前は小規模な店舗や一部のWebショップでのみ扱っている状況でした。
ですが、「新しもの好き」のお客さまから「ビットコインを店舗に導入しないの?」「ビットコインで支払えないの?」という問い合わせを多くいただくようになりました。
―― そんな問い合わせをする人がいるのですか。
広報担当 そうなんです。
2017年4月に「改正資金決済法」が施行され、仮想通貨を取り扱う「仮想通貨交換業」が登録制になりました。法整備が進む兆しが見えてきた中、(仮想通貨交換業を営む)ビットフライヤー(bitFlyer)から(ビットコイン決済について)お話をいただいたこともあり、ビットコイン決済の導入を検討することになりました。
ただ、前例のないことで、いきなり全店舗に導入したらどうなるか分かりません。(2017年4月)当時、「どういう人が使うのだろうか?」と考えると、中国のビットコイン保有量が多かったことから、まずは「(中国人を中心とする)免税のお客さま」が使うだろうと仮定しました。
そこで、全店の中でも免税客が特に多い有楽町店と新宿東口店に試験導入することにしたのです。
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