SMSやキャリアメールとの違いは? 「+メッセージ」でできること、できないこと(2/2 ページ)
3キャリアが5月9日から提供する「+メッセージ」。SMSの後継となるサービスだが、何ができるのか? フィーチャーフォンや格安SIMでは使えるのか? 今、分かっていることをまとめた。
キャリアメールやiMessageとは何が違う?
キャリアメールは、「@docomo.ne.jp」「@au.com(@ezweb.ne.jp)」「@softbank.ne.jp」のメールアドレスあてに送信できるメールサービスで、+メッセージとは別個のサービスとなる。長文を送ったり、画像や動画を送ったりできるという点で、+メッセージと機能がかぶる面もある。
キャリアメールとのすみ分けについて、KDDI 商品・CS統括本部 商品企画本部 サービス企画部 部長の金山由美子氏は、「相手や目的に応じて、利用するコミュニケーションサービスは変わる。+メッセージは、日常のライトなコミュニケーションで使うケースが多くなるのでは」と説明する。
利用するメッセージサービスが1つ増えて、「どれを使うべきか」と困惑する人も多そうだが、(あまりないかもしれないが)電話番号を知らずメールアドレスしか知らない相手がいる、好きなスタンプがある、今のUIが使いやすい、といった人は、従来通りキャリアメールを使う方がよさそうだ。なお、3社ともキャリアメールは引き続き提供していく。
iMessageは、iOS端末同士でやりとりできるメッセージサービスで、設定した電話番号やメールアドレスから送受信をする。+メッセージなら、OSを問わず、Android端末とiPhoneでもやりとりができる。
互いに+メッセージアプリをインストールしているiPhoneユーザーが+メッセージアプリから送信したら、受信するのは+メッセージアプリのみで、iPhoneの「メッセージ」アプリで二重に受信することは起きない。逆もしかりで、メッセージアプリでiPhoneに送ったメッセージは、+メッセージでは受信しない。
複数の端末で使い回せる? SIMは必要?
+メッセージアプリを最初に使う際、電話番号で認証を行う。その際はSIMカードが挿入されている必要があるが、以降のやりとりは、SIMなし、Wi-Fiでも行えるという。LINEと同様、複数端末での使い回しは「できない」。直近に電話番号で認証した端末でしか+メッセージは利用できない。
データの移行はできる?
メッセージのデータは移行できるが、メールデータをサーバに保管しているわけではないので、microSDにいったん履歴データを吸い出してから、別の機種に移す必要がある。あるいは、キャリアが提供する移行ツールを使う方法もある。セキュリティ上は安心できるが、機種変更時にはちょっと手間がかかる。
フィーチャーフォンでは使える?
+メッセージの対象機種は、Androidスマートフォンとタブレット、iPhone、iPadだが、現時点でフィーチャーフォンでは利用できない。Androidベースのフィーチャーフォンでもアプリを追加することはできるはずで、3社とも「Androidフィーチャーフォンでも提供できるよう検討している」とのことだった。
海外からメッセージは送れる?
海外でも既にRCSを採用しているキャリアがあるが、海外から+メッセージを送信することは現時点では「できない」。NTTドコモ スマートライフビジネス本部 スマートライフ推進部 コミュニケーションサービス担当部長の藤間良樹氏によると、「規格は合っているが、(海外キャリアと)接続ができておらず、サービス開始段階では海外からは送信できない。ただ、将来的には対応する前提で検討している」とのこと。
格安SIMでは使える? Y!mobileは?
サービス開始当初、MVNOが提供する「格安SIM」では+メッセージは利用できない。しかし、MVNOへの提供も、導入希望に応じて検討を進めるとのことで、サービスによって個別に対応する形になるようだ。また、Y!mobileについても当初は対応しないが、ソフトバンク テクノロジーユニット モバイル技術統括 IoT事業推進本部 事業開発統括部 AIデータコンサルティング部 部長の千葉芳紀氏によると「対応に向けて検討している」とのこと。
関連記事
- ドコモ、au、ソフトバンク、SMSを進化させた「+メッセージ」を導入 RCSに準拠
ドコモ、KDD、ソフトバンクが、新たなメッセージサービス「+メッセージ」を導入する。SMSを代替するもので、全角最大2730文字のテキストを送受信できる。ファイルの送受信やビデオ電話などが可能になる。 - Googleが普及に注力 新しいメッセージング規格「RCS」って何?
「RCS(Rich Communication Services)」の普及に向けて、Googleがパートナーとの協業を強化するという。そもそも「RCS」とは何なのだろうか? - “メッセージング”が重要な決済インフラに 「RCS」もカギを握る
海外では、SMSやMMSがいまだ広く利用されている。これらが近い将来、オンラインコマースや決済の中心になりつつある。やがてはスマートフォンで花開いた“アプリ”文化も飲み込み、B2Cの世界を大きく変えることになるだろう。 - ドコモ吉澤社長インタビュー 「東京五輪では5Gを入れる」「RCSの検討は進めている」
Mobile World Congress 2018は「5G」一色の様相を呈していた。2020年に5Gを開始するドコモも、5Gを大々的にアピールしていた1社だ。そんなドコモの吉澤和弘社長にインタビュー。5Gの取り組みや導入が期待されるRCSについて聞いた。 - 3キャリアで一斉に「MMS」じゃなくて「RCS」を導入へ――KDDIは「au.com」の開始に合わせてスタートか
一部メディアが、日本の大手キャリア3社がSMS(ショートメッセージ)を代替する「RCS」というサービスを導入することを報じた。筆者が独自に確認したところ、複数の関係者が導入を認める発言をした。「キャリアのサービスは終わっている」という早計な見方はやめた方が良いかもしれない。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.